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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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「・・・・・・」

「あっ・・あー!!なんも言うな!今の忘れて!!」


自分の言った言葉に赤面して、バタバタと顔の前で手を振った。


「うわー、俺みっともねー・・ガキみてぇ・・」


私から顔を逸らして床を見つめながら平助君はブツブツ呟く。
俯き加減の頬や耳はうっすら赤く染まったままで、私は無意識にその頬に手を伸ばしていた。


「っ・・ち、千鶴?」

「えっと・・、平助君」


触れるか触れないか、そんな寸前で彼は慌てたように身を引いた。


「私も、嬉しいよ。」

「え・・・、」

「だって、本当にはじめてだもんね。巡察でしか外に出れないし、それに、今日はちゃんと女の子の格好で町を歩けるし、原田さんにも永倉さんにも感謝してるけど、やっぱり平助君に一番ありがとうって、言いたい。」

「・・・、千鶴。」

目を丸くする平助君がおかしくて、おもわず笑みを零せば少し照れたような複雑な表情を浮かべて彼は頭を掻いた。



「お嬢さん、大丈夫かい?」

「・・え?」


そのとき、部屋の開けたままだった障子の向こうで身なりのいい年配の女性が顔をのぞかせた。
さっきは息も絶え絶えで何も考えられなかったけれど、そういえば焦った平助君が茶屋に飛び込んでいって女将さんが世話を焼いてくれたんだ。


「あ、はい。大丈夫です。ご迷惑おかけしてすみません・・。」

「具合がよくなったのなら良かったわ。お茶のおかわり置いておきますね。」


女将さんが両手で支えるように持っていたお盆を慌てて平助くんが受け取る。


「奥の座敷にお布団引いてありますからね。」

にっこりと女将さんは人の良さそうな笑みを浮かべてから、用は済んだとばかりに踵を返す。


「え・・・え?」


なんだか妙な展開に慌てて腰を上げてお茶のお盆を抱えた平助君と一緒に女将さんが出て行った障子を開いた。
しかし、彼女の姿は既になくて一寸先にある階段を降りる音が静かな廊下に響いていた。



「・・へ、平助君?」

「・・・・・悪い、千鶴。あんときは焦っちまってて・・、ここが何の店なのか気にせず入っちゃった。」


ほんの少し頬を染めて、とんでもないことをさらっという平助君の顔を、思わず凝視してしまう。


「ね、お布団って・・もしかして・・」

「もしかしなくても、多分、そういう店」


さーっと顔から血の気が引いた。
きっと平助君から見たら真っ青なんだと思う。


「へ、平助君、出よう!もう十分休んだし、大丈夫だから!」


ハッと息を詰めて、出れば何の問題もない!と平助君の腕を取る。
しかし、彼はそこを動く気はないのか私が引いてもその身体は重心を部屋に置いたままだった。


「・・・平助君?」

「あ、あのさ・・千鶴、」


そういえば、と・・ふと思う。
女将さんの言葉に驚いて廊下を覗き込んだのは私だけじゃない。
平助君だって驚いて目を丸くしてお盆の上のお茶を零しそうになっていた。

なのに、普段の彼だったら慌てて「やっべー、出よう!」って、そう言ってくれるはずの場面で、彼は口を噤んでいる。


「ここに入っちゃったのは偶然だけど、さ・・ま、まだ時間あるし、ただお茶飲むだけなら問題ねーだろ?」

「え・・・でも、」

「下は普通の茶店っぽいから、なんか甘味とか持ってきてもらおーぜ!」

「あ、平助君・・」


私の返事を避けるように、平助君は立ち上がってバタバタと廊下に出て行った。
その背を呆然と見詰める私は、なんだか嫌な雰囲気に胸を押さえた。


「餡蜜と団子頼んできたからさ、ここで食おうぜー」


部屋に戻ってきた平助君は、何かを吹っ切るように笑顔を振りまく。


「平助君・・」

「んー?」

「餡蜜とお団子食べたら、ここ・・出ようね。」



「・・・・・」


ピクリと眉間によった皺に、胸騒ぎがして、畳み掛けるように言葉を続けた。


「原田さんや永倉さんと合流するんだよね?」

「・・・・・」

「今日の夜の巡察は平助君のところの組だし、あんまり遅くなっちゃだめだもんね。」

「・・・・・」


返事を拒むかのように黙り込んで俯いてしまった平助君に、私は無理やり作った笑顔で詰め寄る。



「ねぇ、平助君・・」

「・・・・っ!」


ぎゅっと目を瞑って何かに耐えるように表情を歪めてから、彼は勢いよく立ち上がって先ほど甘味を頼みに下りた階段に駆け寄る。


「悪いけど、さっきの甘味なしでいいや!後でまた頼みに行くから!」


「・・・・平助、君?」

女将さんに甘味を断って、部屋に戻ってきた平助君は、どこか真剣な目をしていた。





@あとがき

平助君、暴走のシリーズです。
えーっと、はい、どうせ未遂ですが、艶っぽいお話になっていくかもしれませんので、このシリーズは自己責任でご覧くださいませ。って、ここに注意書きしてもしょうがないですね。ま、基本は平助君なのでわいわいさせますよ!(*^∀^*)

あいっかわらず、GWからプレイはじめた緋色DSをやってます。
時間が空いたらちょこちょこ進めていたんですが、あんな画面がちっこくても、泣けるものですねー・・(;□;)PS2版では、真弘が好きでたまんなくて飽きるほどやったので、DSでは流すかーとか思ってたのに、普通にガッツリやっちゃいました。おそるべしー!
好きキャラは真弘、拓磨、遼、祐一、慎司、って順ですが、基本はみんな大好きです(^v^)あ、ゲーム本編はやっぱり真弘と慎司君はなんか贔屓目ですが格好いいなって思ってます。必死に守ろうって姿が可愛い・・

緋色はPSPとか追加要素があったけれど、薄桜鬼PSPにあるかなー・・つけてくれないかなーとか、必死に願ってます。本編は追加か難しくても、新八の特別スチルとか!!なんか、そーゆーのが欲しいですよね!

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