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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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「おぅ、ちょっといいか?」

「え、あ、はい。」


両手いっぱいの繕い物を抱えて廊下を急ぎ足で歩いていれば手に持った荷物で視界が遮られる中届いた聞きなれた声。

「あー・・・とりあえず、それ置いてから俺の部屋まで来い。」

「分かりました。」

彼はそう告げるとさっさと歩いていってしまって、私はというと当初の目的通り自室へと急いだ。




「土方さん、」

「おぅ、入れ。」

扉の向こうで名を呼べばすぐさま返事が来る。
襖をすっと引いて中に入れば、彼は書状を広げ眉間に皺を寄せていた。
何か、重要な話、だったらどうしよう・・。

知らぬうちに緊張で表情を固めてしまっていたらしい。
彼は困ったように眉を下げて、それから自分の額に張り付いた眉間の皺を取り去って、苦笑した。


「お前に小言言うために呼んだわけじゃねぇ。んな顔すんな。」

「あ、はい。」

座れ、と言われて彼の向かいにおずおずと腰を下ろした。


「お前に聞きたいことがある。」

「はい。」

「永倉、原田、平助が毎晩どこに出かけてるのか、お前なら知ってるだろう?」

「え・・・?」


真剣に、問われて私は思わず間抜けな声を出してしまった。
私の反応は予想していたのだろう、土方さんは額に手を当ててため息を吐いた。

「わざわざお前に聞かなくても大体予想はついてるんだがな。
ただ、あいつら朝帰りだの平気ですっから昼の巡察に支障がでてやがんだ。」

「それは・・・、」

確かに、そうかもしれない。
毎晩、あんなところに行ってお酒飲んで朝帰りを繰り返していたら朝起きれなかったり、寝不足での巡察になることは非を見るより明らかだと思う。

と、少なからず私は顔に考えていたことを出してしまっていたらしい。
土方さんは多少、眉間の皺を濃くしながらそれでもふーと、重たい息を吐き出すだけにとどめた。


「で、とりあえず確実な情報として、お前の口から聞きてぇんだ。」

「・・はい。」


言って・・いいのだろうか。


実は、原田さんたちは行く前に大抵私に声をかけてくれる。
永倉さんは原田さんが私に声をかけることを嫌がっていたけれど(島原に行く、なんて女の子に伝えるのは抵抗があるらしい)
やはり幹部が3人抜けてしまうわけだし、何かあったときに自分たちがどこへ出かけたかを伝えておくのがいい、と言って納得させていた。

ただ、屯所に何かあったとき以外は秘密にして欲しい、とも言われている。

頭の中でいろいろと葛藤していたが、土方さんのまっすぐな視線で我に帰る。


「大方、あいつらから口止めされてんだろーがよ、黙ってるっつーのはお前のためにも、あいつらのためにもなんねーぞ。」

目を細めて土方さんは厳しげな口調を作って言う。
私は、心の中で3人に謝りながらゆっくりと口を開いた。



「原田さんたちは、その、島原に・・でかけています。」

「・・・やっぱりか、あいつら・・。」

「あの、でも、それは・・」


「わかってる。ここ最近、浪人たちとの斬り合いも頻繁だし、京の治安も悪い。いろいろ精神的に溜まってるっつーのも理解してる。ただな、隊務に支障をきたすっつーのは、見逃すわけにいかねぇだろうが。」

「・・・はい。」

「っち、」


土方さんは盛大に舌打ちをして、それから乱雑に立ち上がって襖を開いた。


「あの!」

「あ?」


しかし、彼が部屋から出て行くことはなかった。
私が、少しばかり慌てて声をかけたものだから怪訝な顔をしながらも彼は足を止め、ゆっくりと振り返ってくれた。

だから、鋭い眼光にめげそうになりながらも先ほどから考えていたことを恐る恐る提案する。


「原田さんたちが毎晩、その・・島原に出かけているのを見送っていた私にも責任はあります!」

「責任?あいつら幹部の行動をお前が制限できるわけねーだろうが。お前はんなこと気にすんな。」


「いえ・・、あの、ですから・・私が、原田さんたちを起こす、というのはだめですか?」



「は?」


このまま土方さんに任せてしまえば、予想通り原田さんたちはお説教を受けて、しばらくは外出も間々ならなくなってしまうかもしれない。
確かに、島原に通っている姿を見送るのは心が痛いけれど、彼らなりに気晴らしなら私に止める権利はない。
間接的に、私も外出禁止令に一役買ってしまったとなったら申し訳なさすぎて顔を合わせられない。

それならば、せめて・・、


「昼の巡察の時にしっかりと遅刻せず送り出せば、隊務に支障は出ないんじゃないでしょうか。」

「お前が毎朝、あいつらを起こして回るっつーのか。」

「はい。もともと朝餉のとき、声をかけて回っていますから。」


土方さんは眉間に皺を寄せて少し考えるそぶりを見せる。
この提案が通れば、少なくとも隊務に支障は出ない、と思う。
私なんかが提案していい立場にないことは分かっているけれど、夜の巡察で血まみれで帰ってきたときの彼らの表情とか、雰囲気がどうしても切なくて、

少しでも心の中が晴れるなら、私は手助けをしてあげていって思うから。


「いいじゃないですか。彼女にまかせちゃえば。」

「総司!?お前なんだってここに、」


顎に手をかけて思案顔を作っていた土方さんは聞きなれた声に思い切り顔を上げた。


「近藤さんにお土産をって思って探していただけですよ。で、左之さんたちを起こして回るんなら僕のところにも来て欲しいな。」


襖に手をかけてこちらを見下ろす沖田さんはまぶしいくらいの笑顔を貼り付けていた。


「総司、お前勝手なことぬかしてんじゃねーよ。」

「えー、だって、それが一番の方法だと思いますよ。
土方さんだって言ってたでしょ。隊士たちの精神的な問題も理解してるって。
なら、無理に押さえつけるよりも彼女の言う方法でしばらく様子を見るのもありだと思いますけど。」


沖田さんはズカズカと室内に入ってきて私の横、すれすれに腰を下ろす。


「僕も、最近は寒くなってきて朝起きるのが辛いところだし、千鶴ちゃんに起こしに来て欲しいな。」

「え・・、」







@あとがき

おはようございます!
相変わらず更新の時間が毎日バラバラで申し訳ない!!
時間が空いたときとか、こそこそと執筆してささっとUPして去る!みたいな感じで運営してるので、朝だったり夜中だったり、休憩時間にちょろっと、って感じで昼にUpするときもあるので、気が向いたときに覗いていただけると更新してるやも、です。

前回に引き続き、島原って単語が飛び交ってますが、たまに間違って吉原って書いてるかもしれません。見つけ次第直しているんですが、なんか花街は吉原の方が印象が強いんです。京都は島原、江戸は吉原、ですよね。うーん・・もう、どっちでもいいじゃないか!東京・・っじゃなかった、江戸女だっていい女はいっぱいいるさ!新八もそう言ってますし!ね。

ちなみに、花魁のお話は一度でいいから書いてみたい。
私、すっごーく花魁、それも太夫が着るような豪華な着物を一度でいいから着てみたいんですよ!花魁道中に応募しようかと思ったくらい!でも、あれは恥ずかしいので、せめて映画村あたりで着れたらなって。
「さくらん」って映画もすごく好きだったなー。土屋アンナが私の好み、真ん中直球!なので、いつか脇役でいいからそんなオリキャラを登場させて見たい。君菊ももうちょっと花魁っぽく登場してくれるって期待してたのに!意外と、あれ、なんか、ねぇ・・。1シーンしか出てこないって言うか・・・・。ちょっと寂しかった。

って、あとがきになってないですね。
えーーーーーーーーと、モーニングコールです!甘い展開なんて、あるはずが・・・・、あったらいいなー、とは思ってますが。とりあえず後日談ではみんなで千鶴を起こそう!ってノリで、めちゃくちゃ甘くしたい。。。

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こんにちは
ストーカーの遠村です(笑
もう、日中痛みとの戦いなんで気を紛らわせるにはサイト巡りだ!!ということで何度もお邪魔させてもらって、何度も作品読ませてもらって鎮痛剤代わりに幸せで痛みを和らげさせてもらってます。
昼食後早々にお邪魔したら…っきゃーーーvvまた素敵な気になるお話がっっ><
千鶴ちゃんが起こしに行くんだー…沖田さんが今回は、ということなのでどんな話になるのか本当に楽しみですvお越しに行ってもただでは起きなそうだな…。エロだけど漢な左之さんに対して、表面に出さないエロでちょっと意地悪な沖田…二人きりになったらとことんエロに変化する感じがします。包み込むような優しさの中にあるエロさを持つ左之(エロの中の優しさ?笑)に対してジリジリ心理的に追い詰めるように逃げ場を無くす沖田…。いやいや、エロの話をしに来たんではなくてー…。
甘い展開あったらいいなーvvってことで(笑

こちらこそいつも楽しませていただいてるのに、お礼の品を…なんて…嬉しいです^^
じゃなくて、こちらがお礼をしなくちゃという感じなんですけど…。

多分また夜にもお邪魔すると思います(笑
では失礼しました。
遠村 笑 URL 2008/10/29(Wed)12:36:56 編集
こんばんわー
>遠村さま

こんばんわー、いらっしゃいませー
そしてストーカー大歓迎でございますよ!!(*´v`*)

おたふく風邪の方は、だいじょうぶですか?
と、言っても、大丈夫なわけはないですよね(;;)私には、ただただ心配して身を案じることしか出来ないのが悲しいです。。少しでも気を紛らわせることが出来ていれば幸いなのですが・・・。

昼食後、ということは・・・、更新してすぐですね!わぉ!なんというタイミングでしょうか!昼少し前に更新して家を出たので、すれ違いの恋人たちのようですね~(笑)
千鶴ちゃんに起こしてもらう、なんて・・・羨ましすぎるシチュエーション・・。私が起こして貰いたい!なんて思いつつ執筆してます(笑)

いやいや、なんともエロって言葉が5回以上も飛び交って、思わず笑ってしまいました!ご期待してくれるならば!漢の中の漢!左之さんに頑張っていただきましょうか!あ、でも左之さんてば1回目はチキンなので、あんまり迫ってくれないかも・・。でも、最後の最後で漢を見せてくれると信じてますのでご期待くださいませ!!
じりじりと獲物を追い詰めるが如く!の総司には、もちろん、ドSっぷりを発揮していただこうと頭悩ませながらネタを考えてます。うーん・・・エロい展開・・、じゃなくて、甘い展開、甘い展開、、、甘いのとエロいのってどこらへんが境界線なんでしょうね?

えーーーと、ではでは、遠村さまが無事おたふく完治しましたら、お祝いになにか執筆させてくださいませ!!お邪魔にならない程度にちょこんとしたものを書きますので!!(><)

ではでは、ほんとーに、いつもありがとうございます!!
毎日、嬉しくて、執筆中、るんるん気分です!またお越しくださるときを、心からお待ちしております!!
千尋  【2008/10/29 23:27】
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薄桜鬼二次創作
小説はシリーズで連載しています。

        
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