沖田さんはズカズカと室内に入ってきて私の横、すれすれに腰を下ろす。
「僕も、最近は寒くなってきて朝起きるのが辛いところだし、千鶴ちゃんに起こしに来て欲しいな。」
「え・・、」
じっと覗き込まれるようにして顔を近づけられて思わず緊張で体を固めてしまう。
「・・・やめろ、総司。」
私の頬に手を添えようとしていた沖田さんを一喝して、土方さんは盛大なため息を吐き出してから私に視線を合わせた。
「お前に任務を言い渡す。」
「はい!」
「原田左之助、永倉新八、藤堂平助、この三人に対し、昼の巡察に間に合うようしばらくの間起こしに回ってくれ。」
「はい!」
「ただ、声をかけるだけでいい。室内に入ってまで起こそうとはするな。」
「え、でも・・」
そんな声かけだけで起きてくれるんだろうか。
「・・・あいつらだって新選組の幹部任されてんだ。声をかけられただけで起きねぇよーじゃ組長返上だってことだ。」
「あ、はい。わかりました。」
そういうものなんだろうか。
ほんの少し空いた間に沖田さんは眉をひそめていた。
しかし土方さんはそれを無視するようにして、言いたいことはそれだけだ、と私を部屋から追い出す。
でも、まぁ、これでなんとか三人の自由は確保されたんだし、とそのときの私は何も知らずに顔を綻ばせていた。
「素直に、男の部屋に入るなって言えばいいのに。」
「うるせぇよ。」
「それよりも、なんで朝の声かけに僕が入ってないんですか?」
「てめぇは飲み歩いてねぇんだから自分で起きられんだろうが。」
「えー・・、僕も彼女の可愛い声で目を覚ましたいのに。」
「お前の場合、起こしてもらうだけじゃすまねぇだろ。」
「土方さんだって、彼女に声をかけてもらいたいくせに。」
「・・・・・うるせぇ、用件済んだならてめぇもさっさと出て行きやがれ!」
「・・はいはい。」
「え?」
平助君は予想以上に驚いたような顔をして大きな瞳をさらに丸くさせた。
「するってーと、俺らが昼の巡察に間に合うようにお前が朝、起こしに来るってことか?」
口をパクパクさせて、言葉が出ないと言った様子の平助君に変わって、原田さんが再度確認を取るかのように私が伝えた事柄を問い直す。
「はい。なので、島原に行くのもお酒を飲むのも今まで通りでかまいませんが、せめて屯所でお休みになっていただけると助かります。」
朝帰りとなると、起こす起こさないの問題ではなくなってしまう。
土方さんの部屋から出たあと、そのまま私は原田さんたちを探した。
丁度、眠そうな顔をして昼の巡察から帰ってきたらしい2人を門近くで見かけて、声をかけたのだ。
「それはかまわねぇが・・本当に土方さんからの命令なのか?」
「はい。あの、差し出がましいことをしてしまって、すみません・・。」
毎朝、起こしに行く、なんて、やはり気分のいい申し出ではないはず。
2人が怒ってしまわないか少し心配になったけれど、どうやら彼らは別のことでなにやら眉をひそめていたらしい。
「いや、千鶴が俺らのために提案してくれたんだし!むしろ感謝してるって!!」
「だな。土方さんの説教は長ぇし、確実に外出禁止令が出るのも目に見えてるからな。」
自分たちの最近の夜遊びが隊務に支障をきたしていると言うことは彼らも理解しているらしい。
だからこそ、多少ばつが悪そうにしていた。
「えっと、あまり早くに起こしに行くのもあれなので、朝餉の一刻ほど前に声をかけに伺いますね。」
「ああ!わかった!!」
「まぁ、新八には俺らから伝えておくぜ。」
「はい、よろしくお願いします。」
「で、どーする?左之さん。」
「どーするって、何がだよ。」
「いや、なんかさーただ素直に新八っつぁんに伝えるのもつまんないじゃん。」
千鶴の背を見送って、なんとなくぼんやりとしていた。
しかし、平助のつまらないの言葉に怪訝に眉をひそめてそちらを見やればなにやら楽しそうに口元を緩めている姿が目に映る。
「平助、お前くだらねぇこと考えてやがるだろ。」
「べっつにー。たださー、新八っつぁんのことだから、突然千鶴が起こしに来たら驚くんじゃないかなーってさ!」
「・・・ま、あいつのことだからすっ飛んで起きてくんじゃねぇか。」
「なぁなぁ左之さん。」
「あー?」
「やっぱ新八っつぁんには黙ってよーぜ。」
ニヤニヤと新しい遊びを見つけた子供のように目を輝かせる平助を見やって、正直、ガキだな、とため息を漏らす。
「別にいいぜ。ただ、何かあったら平助、お前が責任とれよ。」
「何かって、新八っつぁんだぜー?何もないって!」
からから笑って部屋に戻る背中を見送って、とりあえず平助ではなく千鶴の身を案じる。
まぁ、起こしに来るのは部屋順から言って俺が新八よりも先だろうから様子見で着いてってやるか。
そのときの俺は、千鶴同様に事態の深刻さにまるで気づいちゃいなかった。
@あとがき
とりあえず、前日はこれでおしまいです。
翌日からのモーニングコールに、みなさん胸どっきどきなわけですが!
個人的にはあまーい展開を書きたいっちゃ書きたいのですが、なんとも、そこまで進展してくれるかどうか・・・まぁ、朝だからね、朝から迫るってのもあれですしね、・・・・うん。。。。。
とりあえず、一日目、二日目、数日後、って形で更新していきたいと思ってます。
今回のお話では、一君と土方さんはモーニングコールを希望してませんので、残念だから出演は友情出演程度かと。なんか、一君大好きなのに、動かしづらい。どういうわけか左之さんとの大人な会話友達になっていく・・(笑)
そういえば、話は変わりますが、珍しくドラマを忘れず見てます。
わたし、ドラマ見ないんですよ。嫌いとかじゃなくて、どうしても忘れちゃう・・。アニメとかドキュメンタリーは絶対忘れないのですが、なんか、面倒になっちゃうんですよね、ドラマって・・。相当好きな設定でなければ見ません。ですが、とりあえず今「ブラッディ・マンディ」を毎週欠かさず見ております。原作を持ってるのですが、ああいうバイオテクノロジーとかウイルスとかハッキングとか、好みど真ん中的中!なのです。
ハラハラするし、スカッとするし、見ていて時間を忘れちゃいますよねー。ってことで、今週も忘れないようにがんばってテレビの前を陣取りまする!!
それも本当に気になるところで続きなんて…ありえないからぁぁぁ>△<
左之さんの最後のあの言葉はなんですかっ!何が起こるんですかっっもう気になって気になって…また今日も数回通うかもしれない(ストーキングで訴えられない程度に抑えるつもりですが…)。
千鶴ちゃんが起こしに来てくれると聞いた平助くんの興奮ぶりは可愛い^^新八さんの反応はもちろん楽しみですけど、きっと平助くんは「千鶴が起こしに来てくれるんだー」ってなかなか寝付けなさそう(笑
…今回はなさそうですが、土方さんと一くんを沖田の企みで千鶴ちゃんに起こさせたら、一体どんな反応を示すんでしょうね…土方さんは「総司の野郎…」とか言いそうですけど、一くんてどんな反応示すんでしょうかねー…。
「斎藤さん…朝ですよ」の一言で目をカッと見開いたり…?
一くんくらいなら部屋に入る前に気付いたりしてそうですね…。
モーニングコールを読んでて思うのは、朝の起きかた一つでもキャラが出て面白いんだろうなーと思うところですね。
おたふく早く治しますっっ
脅威の治癒力で完全完治に向け頑張りますっっ!!!
甘い展開&ドS沖田楽しみにしてますーーーーっvvv
なんだか、すごく楽しんでいただけているみたいで嬉しいです(*^-^*)
何が起こるのでしょう、私も行き当たりばったりで執筆しているので、その場の盛り具合で変化するやもです(笑)もう!何度でもいらしてくださって大丈夫ですよー!ストーキングばっちこーい(受け止めてみせます!!)
あれですね、千鶴が起こしに来るーってわくわくする平助って可愛いvv今さっき続きをアップしてきたのですが、そんな場面を入れればよかったです~(*´v`*)それにしても、総司なら確かに面白がってそんな企みを企てそうですね(笑)でも、あの土方さんがどんな反応を示すのか・・、ちょっと書いてみたくなって、あれ、どうしよう、ウズウズするかも、です(苦笑)一君は確かに、一言で目、見開いて飛び起きそうですよね!!あー、一君も書きたくなってしまったじゃないですか!どうしてくれるんですか!(*^口^*)・・・こそりと書く気満々です。ドS沖田と共に、こそりと・・(笑)
遠村さまのおたふくさんが早く旅立ってくれることを祈ってます!!
メッセージ、ありがとうございました!!!
いつもウチのヘタレサイトにお越しいただき有難う御座います!!!
そしてそして・・・リンクまで貼っていただいて!!!本当にありがとうございます!!
嬉しいです!!感無量の嵐です!!
お話も面白くて・・・会社で携帯で読んでてニヤけて危険でした。笑
原田さんが最高です・・・素敵です!!
混浴話の斎藤さんが妙にツボりましたね!
背中にかくまうとか、永倉さんのおばかっぷりも可愛くて素敵で格好良くて・・・
大好きです!!千尋様の話大好きなんです!!
すみません、初コメでおかしなことばっかり書いて・・・文章能力がなくて、トホホですよ・・
これからもお邪魔させて頂きます!
モーニングコールの続き、たのしみにしてますね!
厚かましくも瀬名もリンク繋げさせていただきました・・・すみませんストーカーみたいな真似を・・
ではでは、これからもサイト運営頑張って下さい!!いつまでも応援しております!!
瀬名63
ま、まさか、まさか、瀬名さまからわざわざ伺っていただけるなんて思ってもみず、感動とか驚きとか、とにかくいろいろ切羽詰ってます(><)
しかも、小説の方も閲覧くださったなんて、いやいや、なんていうか、照れくさいです///ありがとうございます。
混浴話では、新八には可哀相なことをしてしまったと少々後悔したのですが、うちの新八はこんな役回りです(笑)格好いい新八は瀬名さまのところでたっぷり堪能できるので、これでいいかなって(´v`)
り、リンク、繋げてくだるなんて、その、大変恐縮です//
わー、わー、本当に嬉しいです。ありがとうございます!!
こちらこそ、これからも応援しております!
お付き合いのほどよろしくお願いいたします。