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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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けれど、そのとき、

ダダダダダ!!!と、数人の人間がこの部屋の方に向かって走ってくる音が静かな室内に届いた。






「あの、原田さん・・」

「あぁ、分かってる。・・総司の奴だな・・・、」

「え・・?」

沖田さんが、こんな大きな音を出して廊下を走ってくるだろうか。
とかなんとか思ってるだろう千鶴に、曖昧な笑みだけを返して、俺はそろそろ蹴破られる勢いで開かれるであろう襖を見やった。


「ちーづーるー!!!無事か!?」

「千鶴ちゃんっ!左之に襲われたって本当か!?」


バタン!!! と・・・、

これはもう、襖が壊れたんじゃねぇか、と思うくらい力任せに障子を引いて駆け込んできたのは平助と、新八。
「あ、まだ一応未遂、みたいだね。」と、のんきな声色を出しながらも楽しそうに二人より少し遅れて姿を見せたのは総司。


「っ・・・、千鶴!・・・さ、左之さん!!無理やりとかってさー、ありえないってー!」

ぽかんと、固まってしまっている千鶴の少しばかり乱れた格好を見て、平助が慌てて傍まで駆け寄ってくる。頬を微かに赤く染めて、千鶴を見ないように気遣いながらも、落ち着かない様子で俺を引き剥がそうとする。

っていうか、無理やりとか襲うとかって、総司のことだろうが。
あいつ・・、自分でしでかしたこと人のせいにしやがって・・・・。

「平助、待てって。それに新八も、」

平助の腕を掴んで引き止めて、それから新八を見やって眉をひそめれば、あいつは俺の機嫌の悪さがが分かったんだろう。ここに飛び込んできたときの勢いをいくらか落ち着かせて、頭を掻きながら答えた。


「千鶴ちゃんがお前に襲われてるって、総司が広間に駆け込んできてよー、ほんとびっくりしたぜ。確かにお前起しに行ったっきり千鶴ちゃんが帰ってこねぇから心配はしてたんだがよー。」


それは、お前の横でにこにこ笑ってる総司がコイツを襲ってたせいだ!と叫んでもよかったが、あいにくと感情にまかせてんなこと叫ぶ気はねぇ。

じろりと、総司に睨みをきかせれば、奴はいっそう笑みを濃くした。


「なに、左之さん。」

「お前な、なに、じゃねぇだろ。」

「じゃぁ・・どうしたの、左之さん。」

「・・・・・はぁ、」

めんどくせぇことになったな、とため息を漏らせば総司はやたらと楽しそうに笑った。


「あはは、まぁ、なんにせよ、千鶴ちゃんが無事でよかったよ。事後だったらどうしようかなって思ったんだけど、僕のところから連れ出してからそんなに時間経ってないしさ、せいぜい最中かなぁって、」

「総司、お前な・・、」

もう、何を言っても無駄だな、こりゃ。
つーか、これ以上こいつにしゃべらせたら余計なことまで言い出しかねない。


「なぁ、これってどういう状況?僕のところから連れ出すって、総司のことも起こしに行ったのか?」

「え、あの、その・・はい。」

総司の言葉を聞いて平助が眉をひそめてから千鶴に問う。
しかし、まぁ、んなこと聞かれても千鶴としては答えづらいし、でも答えないわけにはいかねぇし、で困りもんだよな。

「あ、あの、平助君、あのね。」


「別に言いよどむ必要なんてないと思うんだけどなぁ。」

「沖田さん・・、」

「左之さんのところに行こうとしていた千鶴ちゃんをね、僕の部屋に引っ張り込んだんだ。」

「な!引っ張り込んだって!お前っ・・、」

「だってさ、新八さんだって千鶴ちゃんに起してもらったんでしょ?平助君も。で、左之さんはここ数日ずっと。僕だけ起してもらえないって不公平じゃない?」


「不公平って・・、まぁ。でもよ、引っ張り込んだっつーことは、お前、千鶴ちゃんに・・、」

「うん。押し倒して、脱がそうとしたんだけどね、左之さんに途中で攫われちゃったの。」

「「・・・・・・!!!」」

唖然、と言った様子の二人を目にして総司はさも面白い顔を見た、とばかりにケラケラ笑ってる。
事情を説明したとしても、俺が千鶴の肌に触れたのも事実だから、こいつらの勢いは到底とまらねぇだろうな。


なんか、もう面倒だし、と二人と総司が騒ぐ声を軽く雑音として流す。
間でどうしたらいいのか困った様子の千鶴を引っ張って、

「千鶴、」

「あ、原田さん。」

そうして、ようやくこちらを向いた視線に笑みを向けた。



「大丈夫だ。なんも心配いらねぇよ。」

「え、ですが・・、」



「総司!無理やりって左之さんじゃなくてお前のことだったんじゃん!!」

「そうだ!なーにが、『千鶴ちゃんが左之さんに押し倒されて泣いてるんだ!』だよ!お前らしくもなく焦って広間に駆け込んでくるから本気にしちまったじゃねーか!!」

「えー、でも、この部屋入ったら似たような状況だったから間違ってはいないんじゃない?」



外部の騒音をそっと聞こえないように千鶴の身体を腕の中に閉じ込めて、あやすように何度も頭を撫でる。

「とりあえず、お前が無事だったんで二人もはしゃいでるんだろうぜ。心配するようなことじゃねぇよ。」

「えっと・・、はい・・。」

「あとで、みんなで団子でも食いながら茶、飲もうな。」

「・・・はい!」




「あ!ちょっと左之さん!!なに自分だけ千鶴のこと抱っこしてんだよ!」

平助の声や未だに総司と言い合っている新八を見やって、千鶴は不安そうに俺を見上げてくる。
だから安心させてやるように額に口付けてやれば、ようやくはにかんだ様な照れた笑顔を浮かべた。

「そろそろ、起きるか。」
「はい。」









@あとがき

・・・えーと、少しばかり無理やり丸く収めた感が見え隠れしているようですが・・。ま、まぁ、あの、その、モーニングコール完結です!!(^v^;)お付き合いくださってありがとうございました!!

恒例、になりつつある後日談も、今後UPします!
後日談は少し番外編チックに、今度は千鶴をみんなで起そう!っという、完全なるお遊びです(苦笑)
モーニングコールで出番の少なかった一君、平助君、新八さんに活躍していただこう!とがんばって執筆中にございます。
とりあえず次回の更新は新しいタイトルの作品をUPしつつ、合間を縫って後日談も更新していきますので、もうしばらくモーニングコールにお付き合いくださいませ(*´◇`*)


一応、注意事項なのですが、各タイトルの話の内容は繋がっておりません。
少し内容に触れるシーンもないこともないのですが、どこかのタイトルで最後までいってしまったり、相思相愛になっても、別のタイトルでその関係は続いてません。続き物の場合は、一言添えてありますので、そちらで確認してから閲覧してみてくださいね。


と、そういえば、薄桜鬼の小説を書き始めてから、「気」という字を変換するときに最初に「鬼」って出てきます(笑
なんていうか・・いつでもどこでも、鬼がついてきてくれて嬉しいやら変換が面倒やらで複雑です。
いやいや、でも、嬉しいってことにしておこうと思います。鬼って字、好きですし!!(そういう問題でもないかな・・)

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こんにちはv
もしかして…upしたてだったりしますか…?
お返事の時間がちょうどお邪魔した時間と同じだったので。

モーニングコール完結お疲れさまでした。
やっぱり寂しかったりもしますが、完結されたから後日談があるんですもんね^^
後日談、彼らが活躍してくれるのを楽しみにしていますvvv
その前に新しいシリーズですねv
こちらも本当に楽しみにしていますvv

「っ・・、だめ、です。原田さん。」
「悪ぃ、もう、止められねぇ・・」

いいと思います。
というか、感動です(笑)言い辛かったですが、私も…続いてたら…と妄想が暴走しまくりでした(笑
そしたら未遂じゃなかったですね。それはそれで美味しい展開ですが…左之さんじゃないかな。
ここで止まってくれたから、左之さん!!て感じしますしね。
いっちゃってくれても全然構わないんですけど、モーニングコールの左之さんは漢ですから、素敵な兄貴でいてください…漢だ兄貴だと勝手に盛り上がって、左之さんには申し訳ないですね(苦笑

しかし、沖田くんが演技しまくりで、『千鶴ちゃんが左之さんに押し倒されて泣いてるんだ!』なんて…。そんな彼の姿がちょっと可愛かったりv新八さんと平助くんが走って行った後、こっそり舌を出してたりするのかなーとか。
「あーあ。行っちゃったぁ」みたいに。ちゃんとネタバレする辺り、またこれも沖田くんらしいですねー。
最後に額に口付けを落とす左之さんがまた…///
この瞬間沖田くんだけ見てそう(笑

本当に本当に素敵な作品ありがとうございましたvv
私の暴走にもお付き合いいただけて、感謝でいっぱいです。
次回作も楽しみにしてますvv

遠村 笑 URL 2008/11/13(Thu)12:05:15 編集
ただいま帰りましたー
こんばんわぁ~!!(^∀^)
お返事遅くなって申し訳ありません!!残業終えてようやく帰宅しましたー

っと、えーと、笑さんの書き込みが12時ぐらいなので・・、そうですね!UPしたてのほやほやだったみたいです!!これはもう、運命ですね!(すみません、調子に乗りすぎました。。。。。(==;)

モーニングコールお付き合い、本当にありがとうございましたー。
寂しいだなんて言っていただけて大変恐縮にございます!!
そして、はい、ウチでは恒例の後日談がまたも、しつこいってぐらいに、あったりします。。今回は、前回の脇役だった一君たちに活躍していただくのでそちらも是非楽しみにしていてくださいね!がんばりますから!


「っ・・、だめ、です。原田さん。」
「悪ぃ、もう、止められねぇ・・」

「でも、」
「いいから、お前が怖がることは何もしねぇよ。だから・・・力抜いてろ。」

なんて、どうでしょう?(笑)
っていうか、引っ張りすぎですね、このネタ。ごめんなさい。

でも、もし、こんな展開だったら・・って言うのがあったら遠慮なく言ってくださってOKですよ!!(^v^)b
妄想フル稼働で、横道反れたの書きますよー!!

まぁ、でも、今回のは、あそこで止められるのが左之さん、だと思うのでご勘弁くださいましね(^v^;)沖田くんだったら遠慮なく暴走させられるので!是非とも言ってやってください!!(笑)


あ、ウチの沖田君は自分の遊びのためなら抜群の演技力を発揮します!
コロッと騙されるのはやっぱり平助君と新八ですよね~・・左之さんは時と場合にもよる、かなぁ、と。普段は割りと豪快な感じもするので騙されるときは三人一緒に騙されたりって言うのもありそうですよねー。っていうか、総司は騙されることは絶対になさそう・・、っていうのが、なんとも複雑ですね(苦笑

*ちなみに、左之さんの最後のデコちゅーはバッチリ沖田くん見てますよ。後日談で、ちょろっとその時の話、出てきます!!どうしよう、笑さん、するどい!って、ちょっと焦りましたー(^□^;)


いえいえいえ、こちらこそ、本当に。返事になんでこんな長文なんだ!ってくらいなのに、いつもお付き合いくださって感謝してます!!ありがとうございます!!いつでも両手広げてお待ちしておりまする!!
千尋  【2008/11/14 02:41】
ドキドキ、、、
はちゃめちゃな流れで、
最後に千鶴が誰といるのか、
読んでるだけでドキドキでした!!
最後らへんを見ている時に、
あぁ、最後は原田さんかあ〜と
のほほんと和みタイムにはいっていたのです。
いつなにが起こるのか分からない沖田さん
よりも、落ち着いて行動する
原田さんの方が千鶴には良いかも…
でも沖田さん可愛い‼
私が千鶴だったら、絶対に惚れてますよ。
これからも応援しているので
頑張って下さいね‼
それでは。
アゲハ 2009/09/26(Sat)09:49:18 編集
ハラハラ・・・
こんばんは!
コメント有難うございました^^

本当に…はちゃめちゃな流れですよね・・・。
自分でもなにが書きたかったんだろう…と(--;)

なんだかんだと結局、原田VS沖田の構図が私の中ではあるようです…
いろんな意味でドキドキしっぱなしな沖田か、
ほんわか和ませてくれる原田か・・・・うーん、どっちが千鶴にとって幸せなんでしょうね(^▽^;)
でも、きっと原田にしろ、沖田にしろ、平助たちにしろ…みんなそれぞれの愛し方で千鶴ちゃんを幸せにしてくれますよねw

応援メッセージ有難うございました!!
確かにお受け取りいたしました!
千尋  【2009/10/11 00:03】
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