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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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「総司、てめぇ、なに考えてやがる。」

「・・別に何も。今行ったとおり、僕は早く切裂き魔が捕まってくれればなーって思っただけ。」

ニヤリと口元を歪めて告げる彼は、言葉とは裏腹に明らかにこの状況を楽しんでいるように見受けられた。

「沖田、さん・・?」





彼が、どうしてそこまで私を囮として使いたがるのか、分からない。
邪魔な私を見ず知らずの狂った辻斬りに襲わせようとしている、というわけでもないらしい。
かと言って、重要な囮の役を私にさせようとする意図がどうしたって見当たらない。

「総司、千鶴に、んな危ねぇ役回りさせられねぇだろ。」


そこまで、一歩退いて傍観に徹していた原田さんが、私の頬を執拗に撫で続けていた沖田さんの腕を掴みあげて、少し声色を低くして言う。

「左之さんまで土方さんみたいに回りくどい方法がいいっていうんだ。」

「そうじゃねぇよ。今後、どういう対策をねるかは土方さんに従うつもりではいるが、それとこれとは話が別だ。」


私と沖田さんの間に入り、私たちの距離を大きく広げてから原田さんは苛立ったように小さく舌打ちをした。


「こいつに遊女の格好させて囮なんてさせたら、そりゃぁ犯人とやらは引っ掛かってくるかもしれねぇが、こいつに危険が及ぶ可能性だって高い。違うか?」

「まぁ、そりゃぁね。でも、」

原田さんの言い分は沖田さんも理解していたようで、でも、彼は肩をすくめて見せるだけで意見を変えるつもりはない、と表情で語った。





「僕、千鶴ちゃんが遊女の格好したところ、見てみたいんだ。」


「・・・はぁ?」


先ほどの熱弁はどこにいったのでしょうか、と問いたくなるほど、彼は場に似合わない自身の個人的な理由を簡単に言ってのけた。

正直、眩暈がしそう、です。

沖田さんは、先ほど部屋を出て行った山崎さんが任務のために身に着けていた髪飾りを手の中で弄ぶ。傷の手当てのために邪魔なものをポイポイと外して床に置いていた彼が部屋を出る際に忘れていったものだ。簪の玉の部分を爪ではじいて畳の上に転がしながら、彼は原田さんに対して挑戦的な目つきを向けた。


「まぁ、代役うんぬんは僕もちょっとやりすぎかなとは思うけど、でも、左之さんだって、見たいでしょ?」

「だがよ、そんでこいつが怪我でもしたらどうすんだよ。」

「誰かが隠れてついていけばいいだけの話じゃない?そもそも山崎君にだって単独で行かせるべきじゃなかったんですよ。複数犯だった場合、彼のあの格好では対処しきれない。」

「あー・・、まぁ、そこは俺も同意するけどよ、」


いつになく説得力のある言葉に、原田さんは前髪のあたりを乱雑に掻いた。


「普段、男装ばかりさせててかわいそうだし、そういう意味では彼女のためにもなると思いますし、」

そうして、トドメの一言を原田さんに向けて発した。



「ねぇ、左之さんも見たいよね?千鶴ちゃんが遊女の格好したところ。」


それは、先ほど、彼が言った言葉だ。私の遊女姿がみたい、と。
それをここで原田さんに問うなんて、と私は背に嫌な汗が流れるのを感じた。


「・・・・・・まぁ、そりゃ、見たくないって言えば嘘になるがよ、」

「おいおい、左之さん!流されんなって!!」

横から平助君の野次が飛ぶが、畳み掛けるように、沖田さんは気持ちのいいくらいさわやかな笑顔を貼り付けて、私を背に庇うように立っていた原田さんを押しやって再び私を覗き込み、髪を結っていた紐を無遠慮に引っ張った。

「っ・・・、沖田さん、か、返してください!!」



「ねぇ、平助君だって、見たいでしょ?千鶴ちゃんの遊女姿。」

「・・・っう・・・、」

支えを失って髪はぱさりと肩に降りた。
そうして戸惑った様子の私を気にかけるでもなく、そのまま背後に回って両肩に手をかけてずいっと平助君の方に私の身体を押しやる。

「っ・・、沖田さん!?」

ずずい、っと平助くんの目の前に身体を押し出され、目と鼻の先にある平助君の顔を思わず見つめてしまう。


「っ・・千鶴、」

「平助君・・?」



「きっと、すごく可愛いと思うんだ、僕。」

「・・・・・っ・・・・・!!!」

「へ、平助!負けるな!お前まで総司の罠に引っかかってどうする!!」

永倉さんの声援を受けて、平助君はぐっと喉に力を入れた。


「俺・・・、俺は・・・・・、見てみたい、かも・・・」

「平助!!」


永倉さんの叫び声と、それまで沖田さんと原田さんたちのやり取りを遠巻きに見ていた土方さんの疲れたようなため息が漏れたのは同時だった。







@あとがき

沖田選手、見事に原田、藤堂、両選手を自分サイドに引き込むことに成功しました!!!

ってことで、もはや問答無用で千鶴ちゃんには遊女姿で囮になっていただきます!といっても、今回はそんなに長いお話にするつもりはないのでアッサリと・・・、いやいや、でも、アッサリ終わらせると総司の逆襲が・・・。え?短かったら千鶴ちゃんとナニができない?そんなの阻止するにきまって・・。え?なに?一君が総司を止めてくれる?・・あぁ、はい、わかりました。お願いします。

と、いうわけで、もしかしたらちょっと続くかもしれません(笑
沖田君、一君に活躍してもらいつつ、ちょっと千鶴ちゃんには頑張って身体張っていただきます!

次回の更新はモーニングコール後日談を1話更新する予定です!!
こっちは囮捜査と違ってコメディ雰囲気で明るい感じなので、アッサリ読んでいただける内容かと、思います。




そして、個人的なことでアレですが・・・昨日は眠すぎて早めに就寝しまして・・見事に黒執事の録画に失敗しました・・。なんだこれ、悲しすぎて泣きそう・・・。DVD、買う、お金ないです。緋色のPSPで手一杯・・。切ない・・・。

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こんばんはv
そうだよね、沖田くんは千鶴ちゃんの遊女姿が見たいだけなんだよね。
もちろん、犯人には捕まって欲しいとは思うけれど、自分の気持ちを優先すると…そうなるよね。
うん、実に沖田くんらしい。

と、思います(笑
上手く周りを巻き込んでいく手腕は流石ですね~。…手腕というより、「上手く周りを巻き込んでいく」強引さ…?かな。
左之さんも平助くんもその沖田くんの言葉にオチたわけですし。千鶴ちゃんが遊女の格好をした姿を想像させて落とす。
新八さんも落ちそうですね。
一くんと土方さんは絶対落ちなさそう。溜息つきつつ、見守る感じですね。
新撰組の人たちと一緒にいれば、安全かもしれないけれど沖田くんはギリギリまで助けなさそうなイメージが…ありますね。
「なんでもっと早く助けてくれなかったんですか」と言ってしまいたくなるくらいに。
「僕がキミが傷つく(怪我をする)ようなことすると思う?」と飄々と言ってみたり。
腹が立つけど、でも頼ってしまう…そんな沖田くんがやっぱり好きだ。

…と、勝手に愛を叫んでみる。


この展開から「攻める愛の一くん」は、なさそう…ですよね?
でも、私も攻める愛の彼は気になります。どうなるんですかね…羅刹の彼は耳からいただきます、してますしねー。結構攻めるタイプになるのは難しくないのかな。熱いものを持っていそう、とか(笑


暴走原田さん(笑
やばいです。
「ほら、お前も感じてんだろ?」
のセリフは反則ですってば><もう頭が噴火起こしてますよーっ!!
遠村 笑 URL 2008/11/15(Sat)22:22:46 編集
こんにちわ!!!
そうなんです!沖田くんはただただ遊女の格好した千鶴ちゃんが見たくて、そしてからかって遊びたいだけなんです!!君菊さんも美人で素敵だけど、きっと千鶴ちゃんだって負けない!と、私は思ってます(笑)

確かに土方さんと一くんは・・、そうですね、きっとあんまり反応も芳しくないんじゃないかと・・。でも、一くんは似合っている、くらいは・・、うぅん、でも遊女姿が似合っているってのも変ですかね。綺麗だ、とかは彼は言ってくれなさそうですし・・。


犯人に襲われたときに、沖田くんがどういう行動を起こすかは、一応一番のメインになるので・・コメントは控えておきます。。なんでもポロっと、しゃべってしまいそうなので(´v`;)でも、彼は無関心に見えて、千鶴ちゃんに関しては意外と熱い男だと信じております!!

えーと、、、すみません。私の一くんのイメージって、実は奥底では熱い殿方だと思っておりますので・・攻める一くんも、今後、出てくるかも・・しれませぬ。総司とはまったくの正反対で、でも彼は結構むっつりではないかと!(笑)無自覚なむっつり・・?(ーvー;)


っと、暴走左之さんも無事に急ブレーキかけてくださいましたので、ここでお返事も第2弾の方に移らせていただきます~~
千尋  【2008/11/16 12:44】
第2弾(笑
途中で送信してしまいまして…。

一気に頭が冷えました…。

左之さんの暴走、止まりました…噴火しまくる脳内は左之v千でピンク一色だったんですけど(笑



黒執事、面白いですねー。観たアニメは無料動画ですが、ああいうセバスチャンのタイプはやっぱり好きです^^遊佐さんのラウも気になりますが、セバスチャンのあの瞳に射られたら…もうどうなってもいいって思います。


電王のカレンダー20日発売でしたか…ちゃんと日付チェックしてなかったんで、「売切」という赤い文字が目に入った瞬間「あぁ、もう手に入らないかも…」とか頭をよぎりましたから、日付確認はしなかったんですよねー。
なら…予約してしまおうか…。
薄桜鬼グッズも…。
私は生まれも育ちも横浜で、「恋する遊び島」でしたっけ。今はその近く(自転車で15分くらいのところ)に住んでます^^
アニメイトも徒歩&電車で3~40分で行けるので、近いといえば近いかな。
高校時代は毎日のようにメイト通いしてましたね^^
今はちょっと恥ずかしくて足を踏み入れるのに勇気が要りますけどー…。


次回更新はモーニングコール後日談ですね!待ってました!!
では楽しみにしています^^

遠村 笑 URL 2008/11/15(Sat)22:36:38 編集
お返事も第2弾!!
黒執事面白いですよねー。原作は以前から好きだったのでアニメ化と聞いたときは少々不安でした。どこまであの綺麗さが出せるのかなーって。でも、すごかったですね!!髪の毛に至るまで丁寧で!小野さんボイスもセバスチャンにぴったりですしね!個人的には葬儀屋が大好きです!(笑)骨クッキーにときめきましたー


カレンダーって在庫がなくなったらおしまいって出版元が多いので、どうしてもほしいときは予約の方が安心ですよね。是非とも可愛いイマジンたちをお手元においてやってください!!(^∀^)

横浜はお買い物するにもすごくいいところだし、羨ましいです!!
大学に通うときは横浜のすぐそばを通っているので、寄り道したり、ぐらいでしか行かないのですが・・どこかですれ違っていたかもしれないですね!
アニメイトって年を重ねるごとにちょっと入りづらく、なりますよね。10代の時は余裕で入れたのに・・(´◇`;)いやいや、まだまだお互い大丈夫ですよ!!気合入れて押しかけましょう!!


これからモーニングコール後日談UPしてきますね!!
楽しんでいただけるように頑張ります!!
千尋  【2008/11/16 12:55】
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