【私の親友を紹介します！】

【スクールライフ】序章


私が通う白桜学園は、少し、変わっている。

校舎が二つ、男子と女子に分かれて建っているのだ。
でも、だからといって男子校、女子高という扱いではなく、あくまで共学という扱いなのだから不思議でもある。

授業にしたって、別々の校舎で行う。
大きく、まるで新築のような校舎は中央広間で繋がっている。
ここがいわば連絡通路と呼ばれる道でもあり、ある意味談話ルームのような役割を持っている。
お互いの校舎には立ち入りは自由だし、昼食をどこで誰と一緒にしようが問題はない。


しかし、やはり少しばかり複雑な条件がある中での学校生活・・
入学したては女子も男子も、どこか共学という実感が湧かず、そわそわとしながらお互いの校舎を行き来して慣れるのだという。



「ファンクラブ・・？」

「そ、ベタっちゃベタなんだけどさ。ほら、ウチの学校って変わってるじゃん？
授業が終われば会いに行けるってもさぁ、休み時間に往復なんて面倒なこと出来ないし、必然的に男子校、女子高な感じの雰囲気になるわけよ。」

「・・そ、そうなんだ・・。」


春ちゃんが呆れたようにクラスの中央で騒ぎ立てている子達を顎で指してため息を吐き出した。
彼女たちは、春ちゃんが言うには白桜学園西棟の男の子で誰が格好いいとか、よく騒いでいるらしい。


「あたしさ、基本的には女の子みんな大好きだけど、女ってちょっとばかしうっとーしぃ一面持ってるでしょ。あぁいうのは正直うざいっつーのかねぇ。」

吐き捨てるように言いながら、先ほどと同じように中央で騒いでいる子達を見遣って眉間の皺を濃くした。

葛城春ちゃん。入学当初、校舎の構造がよくわかっていなくて教室移動で困っていたときに声をかけてくれて知り合った女の子。サッパリしていて、男の子より男らしい一面がある子で、初対面で春くんって呼んで！と言われて驚いてしまったのは今でも時々思い出してしまう。最初は冗談かとも思ったけれど、本気だったみたいで女子高の雰囲気の強い東棟では人気者、でもある。

そんな彼女は男の子は、そんなに好きではないみたい。


「あ、千鶴ちゃん。」

「ん？どうしたの？」

「いやさ、明日って西棟の男子たちと合同球技大会ってのがあるでしょ？」

「え？あ、そっか！明日は体操着持ってこなくちゃね。」


私の言葉に彼女は、はぁ、と苦笑を漏らした。
そうして控えめな笑みを浮かべた後、私の頭を少し荒く撫で回す。


「うん、千鶴ちゃんは相変わらず可愛いな！でもな、そーじゃなくてさ、合同っつっても球技を男子共と一緒にってわけじゃない、なのにあのだだっ広い校庭で各種目に分かれてやる。ってことは、どういうことだと思う？」

「え？えっと・・男の子たちの応援もしに行ったほうがいいよね。」

「・・・・・・。」

今度は、控えめではなく豪快ににっこり笑顔を貼り付けて、乱雑に頭に乗せられた手が髪を掻き乱す。


「は、春ちゃんっ・・」

「いやー、まぁ、千鶴ちゃんはそうでいいんだ。そのままでいて欲しいっちゃーいてほしい。が、危険だ。はっきり言うけど、男どもは女子の球技を女漁りっつー目的もって見に来る。だから、気をつけろってこと。」

「・・・え？気をつける？何に・・？」

「・・ま、いいや。とりあえず忠告したし。あとは護ってやれば言いだけの話だしな。」


と、自己完結して彼女は今度は無感情な表情で自分の頭を掻く。


球技大会、かぁ・・。
お互いの校舎の立地条件が影響しているのか・・この学園では男子、女子で合同で行われる行事が多い。共学なのに校舎が離れているため、せめて、という感じで球技大会、登山、体育祭、文化祭、仮想大会（ハロウィン）など、本当に数多く、生徒からの要望で新しく何か別のものが行われる年もあるそうだ。


「女の子が喜んでいる姿は可愛いけれど男漁りしてる姿はちょっと、なぁ・・見たくない。」

「・・春ちゃんって男の子嫌いなの？」

「いや？嫌いじゃない。女みたいに女々しくない分、ある意味共感できる面も少なくないし、女の子を愛でる側としてはある意味仲間だ。」

「えっと・・・、」


彼女は、少し、変わっているけれど、すごく優しくてかっこいい、親友です。


「ま、私のことはどうでもいいんだ。
球技大会のことは当日にならなきゃ分からないし、特に向こうの男どもにどんな奴がいんのかいまいち分からない状況じゃ対策のしようがない。よって、それはどうでもいい。ただ、問題は女の子の方にも気をつけなってこと。」

「ん・・？どういうこと？」


「・・・あれ、誰のことで騒いでるか知ってる？」

「あれ？」

彼女がくいっと顎で指した先は先ほどと同じく西棟の男の子のことで騒いでいる子達。
今度は隠し撮りした写真がどうのって騒いでいるみたい。

「西棟で騒がれてる３人・・いや、４人か。」

「４人？」

「えっと、なんだっけな・・、２年の沖田と斉藤、１年の藤堂、あとはこっちでも歴史の担当してる土方。すっげー人気っぽい。」

「え・・・、」


挙がった名前に思わず幾度か瞬きして聞き返してしまいそうになる。

「あとは・・、付属大学の３年で原田、永倉、ね。合計すっと６人か。女の子たちはみーんな奴らに熱上げてるってわけ。」


春ちゃんは冷めた目をしてやれやれと肩を竦ませる。
私は、ゆっくりとした動作で彼女らを見遣って、そうしてすぐさま視線を己の足元に向ける。


「ファンクラブって言ってもさ、あれだよ。抜け駆けすんなよ、て感じの組織だわなーありゃ。話しかけに行くときは２人１組厳守！禁を犯すものは粛清されるってな！」

「・・・・・。」

私の酷く顔色の悪くなった様子を見て春子ちゃんは声色を穏やかに努めてくれる。


「ま、あんまり係わり合いにならないほうがいいよ。あたしの傍にいりゃ、とりあえず手出されないし。こっちも女の子は殴れない主義なんで助かるし、さ。」

「う、うん・・・。」


「ただ、」

「え・・？」

「もし、何かあったときは、遠慮せずに報告すること。これは、一番最初の約束、だよね。」

「・・・うん！」


私の力強い頷きに満足したのか彼女はにっこりと笑顔を作った。
問題が突然山のように積まれてしまったわけだけれど、不安に思う暇もないくらい彼女は私に元気をくれる。

こんな素敵な親友が、出来ました。

＠あとがき

拍手お礼SSの紹介ってことで、序章を載せてみました！！
あと１、２話分くらいはブログの方にもアップしていきますね（＾ｖ＾）
拍手では５話づつぐらいを目安に入れ替えていきますので、古くなったものはブログの小説一覧に収納していきます！！（拍手の更新はもうちょっと待っててくださいね！！）

序章、なので千鶴ちゃんとオリジナルキャラしか出ていないっていう・・ちょっと寂しい感じですが、次回１話目から平助たちもちゃんと登場しますよ！！（＞∀＜）細かい設定は拍手お礼にて更新しますので、もうちょっと待っててくださいね！！

ちなみに、春ちゃんはイケメンです！（笑
モデルは特にいないのですが色素の薄い髪でちょっとハーフっぽい容姿で女の子大好きで、喧嘩はその辺のチンピラなんて片手で捻られんぞ！っていうくらい強いです。どうして男に生まれなかったの！？っていう格好いいタイプなので、春×千鶴にならないように極力抑えつつ、千鶴のよき理解者として登場させていきたいなーって。あぁ、彼女は彼らには一応協力的です。お気に入りは漢！な左之とTPOをわきまえていそうな一君らしいので贔屓目に協力するそうです。平助とよく腕相撲をして勝ったら千鶴をやる！とか言っていますが、別に千鶴は春のものじゃありません。はい、脳内では設定がかなり個人的な妄想の域に達してて危ない感じです。

一応、春は第三者的な視点で居てもらおうっていうことで登場させるので物語にそんなに関わってはきません。多分・・。逆ハーってことなので、ちゃんと総司や左之さんが暴走しますので、どうかご安心ください！！って、これもなんかちょっと違いますよね・・（ーー；）うーん・・、でも、オリジナル設定ってすっごく好きなので、いろいろとご理解していただければと、ほんと、それだけです。


お礼SS出演者⇒原田、沖田、斉藤、藤堂、永倉、土方、山崎、近藤。を、一応予定しています。

もしかしたら・・風間様やら薫君が出てくるかもしれないですが・・なんとも・・、いえない・・。

次回スクールライフ「私のお兄ちゃんを紹介します！」

でも、囮捜査かモーニングコールの更新かもしれない。かもしれない予告はやめた方がいいかもしれない。銀魂なネタを引っ張ってきてもきっと誰も気づいてくれないかもしれない。でも、なんかいろいろストレス溜まっててやっちゃった感いっぱいなので、今日の更新は少ししたら消えちゃってる・・かもしれません。