【スクールライフ】シリーズ
「千鶴ちゃん、ちょいと先行っててくれる?」
「え、うん。いいけど・・」
春ちゃんは、女の子がすごく好き。
自分だって女の子なのに、口を開けば「女の子は護ってあげなくちゃ、」って言ってくれる。
くすぐったくて、でも、嬉しい言葉。
球技大会の準備が進められる中、一般の生徒は中央棟から正門とは反対側の昇降口を目指す。
そこを通れば普通の高校よりも2倍くらい広い大きな空間へと繋がっている。
白桜学園に入学して、初めての西棟、東棟合同の行事。
少しどきどきと脈打つ胸を沈めるようにしてぎゅっと胸の前で拳を握り締めた。
昨日の春ちゃんの話には驚いたけれど、この学園で生活している限り隠し通せるわけがないし、
第一、“隠す必要なんてない”と思っているから、親友である彼女にはちゃんと紹介しておきたい。
校庭に出て、綺麗に整備され、本当に大きな空間に思わず瞼を何度も瞬く。
それから、いっぱいの空気を吸って、よし、と己に気合を入れてから“彼ら”を探すために歩みを進めた。
「うっわ、なっちゃん、今日の髪型可愛いじゃん。」
「ほんと!?ほんと!?春くんてば本当にそう思ってる?」
「おー、ほんとに思ってる。なになに、今日は随分と気合入れちゃってさぁ・・、西棟の男どものためってのが癪だよね、マジでさ。」
「この前からずっとそんなこと言ってるよねー、春くん。大丈夫!私、春くんのことも大好きだよ。」
可愛らしく、今日のためだと言って何時間もかけたであろう髪はくるくると巻いてある。女の子って本当に、可愛い。一生懸命に少しでも可愛くあろうと頑張る姿は、本当に抱きしめてしまいたくなるほどだ。
なっちゃん---目の前の夏実ちゃんは、まぁ、多少自分を飾りすぎな一面はあるにせよ、それでも頭を撫でてやれば素直に可愛い笑顔を見せてくれる。なんで、自分、男に生まれなかったんだろう・・と思う瞬間はこういった場面に多い。
「さーんきゅ、なっちゃんにそんなこと言われちゃったらさ、正直、男どもに渡したくなくなっちまうよ。」
「えへへ、春くんって本当にその辺の男子よりぜんっぜん格好いいからついつい本気になっちゃいそう。」
「え、マジ?本気になってくれてぜんっぜんオッケーよ!」
と、そのとき、どこからか騒がしい音が風に乗って伝わってくる。
正確に声としてはさすがに聞き取れず複数の人間が騒いでいる、程度にしか状況はつかめない。
「ね、ねぇ・・何か・・、あったのかな?」
「・・わかんねぇけど・・、なっちゃんは危ないからここ、な?」
「え、あ・・・・・うん。」
動いちゃ危ないから騒ぎが収まるまでここにいろ、と意味を込めて肩を軽く叩けば不安そうな視線とぶつかる。
「だーいじょうぶだって。球技大会の時間になったら普通に友達と一緒に行きなよ。わかった?」
「・・うん。」
安心させるように頭を撫でてやって、それから急いで中央棟を目指す。
なんだか・・、嫌な予感がしてならない。
春が中央棟、校舎側の昇降口にたどり着く、数分前、千鶴は目的の人物を見つけて頬を緩めた。
「見つけた!平助君っ・・!」
「お、千鶴!!!」
友達と騒ぎながら校舎から出てきた馴染みの顔に、思わず頬を緩めて駆け寄った。
「あれ、平助、東棟の女子に知り合いいたんだ?もしかしてさ、彼女だったり?」
「べ、別にそういうんじゃ・・、い、いいからお前ら先に行ってろよ!」
「わーったよ。じゃ、彼女ちゃん、またね。」
「え、えっと、はい。」
一緒に居た友人にからかわれて彼は素直に頬を赤く染める。
ただの冗談だって私にだって分かるのに、こんなにも真面目に反応を返すからきっと友達も面白がってるんだろうなって思って、思わずクスクスと口元に笑みを作ってしまう。
「・・たく、あいつら・・。」
少し文句をブツブツと続けながらも彼は本気で怒ってはいない様子で友達の背を見送る。
「でもさ、千鶴と学校で会うってのもなんか新鮮だよな!入学したてってのもあるけどさ、この学校共学の癖にいちいち面倒だよなー。」
「うーん・・確かに、私も女子高気分で通ってるよ。」
「だな!俺だって男子校って感じだし。あ、そいや総司や一君たちとはもう会った?」
質問に首を横に振って返事を返せば彼はきょろきょろと回りを見回す。
しかし、もともと午後からの球技大会で今は準備委員の人たちが整備している時間。
人はまだらで見知った顔は見当たらない。
「家に帰りゃ嫌でも見ることになるけどさーせっかくだし試合とか応援してやりてーもんな!」
「うん、そうだね!確か、沖田さんと斉藤さんは別のチームなんだよね。」
「そそ、なんかさ、本当は最初は同じチームだったらしいけど総司が一君と対戦したいっていってチーム替えしたらしいぜ!ったく学校でも我侭だよなーあいつ。」
「君に我侭って言われたくはないなぁ・・。千鶴ちゃんにいつも我侭言ってるのは平助君も一緒でしょ。」
「って、総司!?気配なく後ろに立つのやめろっつてんだろ!!」
からからと笑って噂話をしていると、この人は大抵気配なくやってくる。
平助君は真後ろに立つ沖田さんに驚いてささっと横に身を退く。
「あれ、千鶴ちゃんは驚かないんだ。」
「・・沖田さんがこちらに向かって歩いてくるの見えましたから。」
いっつも、いっつーも、驚かされるのは私の役目、みたいになっているけれど!
私だって少しは成長しているはず!!うん、と自分の中で気合を入れなおして顔をあげた。
「こんにちわ、沖田さん。」
「うん。こんにちわ、千鶴ちゃん。」
改めて挨拶をすれば、嫌味のないアッサリとした笑顔を返してくれた。
こうしてみれば、本当に害のないような優しい人に見えるのに・・、とほんの少し考えて、でも視線を感じてそちらを見遣る。
「千鶴ちゃん。」
「は、はい・・」
「今、結構失礼なこと、思ったでしょ。」
「・・い、いえ・・、そんなこと・・。」
こ、心の中でも、いつだって沖田さんは優しい、って思い続けることにしよう・・。
@あとがき
こんばんわ!!
昨日は、拍手いっぱい頂いて・・ビックリしました(´v`;)
いや、嬉しいですよ!!すっごく嬉しいのですが!昨日今日とブログにアップしているスクールライフはまだ拍手の方にはアップしてません。拍手の方は設定と4、5話分執筆し終わったら一気にアップしますので、もうちょっとだけ待っててくださいね!!とりあえずはブログの方で紹介の意味を込めて「私のお兄ちゃんを紹介します」まで載せるので雰囲気を感じ取っていただければ・・と思います。
スクールライフ
「私の親友を紹介します」「私のお兄ちゃんを紹介します」・・こんな感じでシリーズにしていこうかなって思ってます。ブログにはお兄ちゃんを紹介します、まで更新したら通常の囮捜査とモーニングコールの更新に戻します(*^v^*)
以前紹介した設定では幼馴染と同居、としてましたが・・兄です。お兄ちゃんに変わってます!!なぜって・・・私がお兄ちゃん好きだからです(//へ//)優しくて格好よくて、妹大好き!なお兄ちゃんたちって憧れる・・・。。っと、いけない、いけない、、違う世界に旅立ってしまいそうだ・・。
元ネタとまではいきませんが小学生くらいのときに読んだ少女漫画で「七星におまかせ」っていうのがあって、なんかお兄ちゃんに憧れを持つきっかけとなった漫画なんですよねー・・。ちょっとだけ設定なんか参考にさせていただいてます。・・・七星・・で合ってたかな・・。
私信:笑さんへ
昨日のコメントに関してはあとで愛たっーーーぷり込めてお返事しますからね!!
第一弾のコメントの締めにはびっくりしましたけど(笑
えぇ…自分でもあのコメントの締めは異常者ではないかと思わせるものだったと…(汗
気付かなかったら、本当に怪しい人でした。
春ちゃん、男前ですねーvvこんな女の子が身近にいたら、憧れちゃうなー。美味しいです、春ちゃんvv彼女視点では、「なっちゃんになりたい…」なんて思ってしまったり…。ガサツな言葉遣いではなく、男の子を意識させる言葉遣いがまたいいんですよねーv
まず平助くんと沖田くんが出てきましたねv
私もおにいちゃん大好きです。この設定も好物です(好物はたくさんあります^^)
あまあま、べたべたなお兄ちゃん。
妹が可愛くてたまらない…考えただけで、鼻息が…。
本当に彼らがいてくれるのであれば…
新八さんが兄、左之さんが兄の友達、平助くんは弟、沖田くんと一くんは兄の部活の後輩もしくは弟の部活の先輩。土方さんは…んー…担任…?いやいや、いとこ。
左之さんが兄だと恋愛できないし、ここだけは譲れない(笑
彼らが本当の兄弟だったら、絶対妹命っっになりそうですよねvvv
またお邪魔させていただきます~~~vvv
お返事遅くなって申し訳ありません(><)
昨日の分にもガッツリお返事書いてありますので見てやってくださいね~
わぁ~春ちゃんへのコメントもちゃんとある・・(//∀//)
そうなんですよ!ガサツで言葉遣いの悪いとか、行儀の悪かったり態度が悪いとか・・そういうんじゃなくて、女の子を大事にするちょっと紳士的な女の子が書きたかったんです!!格好良いですよねーそういう子は!!
平助君、沖田君、と続くと・・次はもちろん彼ですよ!!
お兄ちゃん設定って・・・おいしいですよね・・・(´v`)
学園ものっていうより兄妹ものって考えて書いているので、他のお兄ちゃんたちも早く活躍させたいです//
あ、妹命!!なお兄ちゃんって・・素敵ですよねぇ~・・・・
新八がお兄ちゃんで、お兄ちゃんの親友に左之さんってのもありですよね!!結構憧れるシチュエーションですね(//▽//)
あ・・なんか、いろいろと・・ネタが浮かんできた感じです!!
笑さんが鼻息荒くするほどベタベタなおにいちゃん書けるように頑張りますです!!!