「総司、平助。」
「あ、一君。」
と、そこで沖田さんからの少しばかり棘のある視線に耐えかねて視線を彷徨わせたらある人物の姿が映る。
無感情、というよりはどこか眠たげな様子の斎藤さんが校庭の中央からこちらに向かって歩いてきた。そういえば昨日彼は準備委員を手伝わされていると言っていた。準備委員ではなく、委員の手伝いというところがなんとも彼らしい。大方、土方先生から頼まれたんだと思う。彼はあの先生に対しては絶対の信頼を寄せている。
「なんだ、本当に委員の手伝いなんかしてるんだ。土方さんからの頼みなんてきくことないのに。」
「・・そもそもお前がサボって抜けた分を補っているんだが。」
「あれ、僕って準備委員?」
沖田さんの物言いに斉藤さんは呆れたように眉を微かにひそめた。
普段感情を面に出さない人だから今の仕草でも充分伝わってくる。
「お前たちはチーム打ち合わせは終わったのか?」
「あ、そうだった!」
平助君は斎藤さんの言葉にサッと先ほど別れた友人たちの足取りを探すように校庭を見回した。
「打ち合わせって言っても試合の順番確認とかでしょ?面倒だなぁ・・・。」
「時間になったらきっと探しにきてくれるよ、なーんて言うなよ?総司!んじゃ、オレちょっと行ってくるよ!千鶴もまた後でな!!」
「あ、うん!応援に行くからね!!」
「おー!楽しみにしてる!」
沖田さんの嫌みをバッサリと両断した平助君は拗ねたように眉間にしわを寄せる彼を無視して元気いっぱいに手を振った後、背を向けてチームメイトのもとに向かった。
「総司、お前も早く行け。」
斎藤さんが短く告げる。
チラリと何か言いたげな視線を斎藤さんに向ける沖田さんもはぁ、と小さくため息を吐き出してからまたね、と私の頭をちょんっと撫でてから背を向けた。
やっぱり、学校という組織の中で見ると見慣れた人たちも少し変わって見えるんだなぁ、なんてしみじみ思っていたら、ふと、視線を感じた。
「斎藤さん?」
「学校には慣れたか?」
穏やかに微笑んで彼はそう問うてきた。
しかし、私は一瞬質問の返事を返すことよりもその笑みに息を詰めてしまう。
「千鶴・・?」
「あ、えっと、はい!友達も出来ましたし、楽しいです!昨日話した春ちゃんって子、すごく格好よくて女の子にモテモテなんですよ!」
私がそう声を弾ませて言えば、その内容…というよりかは、私の楽しそうな様子に安心したように彼は微かに目元に笑みを作る。
「左之や新八にはよく報告してる姿を目にするが…やはり直接お前の笑顔を見ると安心するな。」
「え・・・と、心配してくださって嬉しいです!有難うございます。それに学校では斎藤さんたちにも会いに行けますし!」
「・・そうか。いつでも会いに来るといい。」
普段、私が学校での出来事を原田さんや永倉さんに話しているのを少し距離を置いて聞いている彼は、
無関心のように見えて、ちゃんと私のことを気遣って、見ていてくれる。
暖かい安心感と、どこか、気恥ずかしさで思わず俯いてしまう。
頬に集まった熱を、気づかれてしまうのは・・嫌だった。
「では、俺はそろそろ行く。まだ準備の仕事が残っているんだ。」
そう言って彼は私の頭をひと撫でしてから校庭の奥に設置された委員待機所に向かった。
そうして私はようやくホッと胸をなで下ろした。
彼との会話が不快だったわけじゃない。
これは、それとは正反対のどこかあったかい安堵のため息。
元気をもらって、嬉しくて暖かい気持ちをいっぱい胸にしまい込んだ安心感。
しかし、同時にそんな小さな幸せな気持ちを踏みにじる影がすぐ傍に迫ってきていた。
「あんたさ、一年だよね?」
「っは、はぁ、はぁ・・・、はー、疲れた。」
なんだか無性に私を焦らせた嫌な感じの胸騒ぎ。
なっちゃんと別れたあと、昇降口まで全力疾走して息があがる。なっさけねぇ…
普段、こんな距離を全力で走ったところで息一つきれたことがないというのに…焦って、焦って、焦りが余計に空回りをする。
中央棟の校庭側昇降口に着き辺りを見回す。時間が時間だから割と人はまだらだ。
それより、と目的の人物の姿形を探す。視線をさまよわせて、それから校庭へと出る。
さっき聞こえてきた声。確かに聞き取れなかったし、彼女が必ずしも関わってるなんて言えない。
けど、自分が居たのは東棟校舎で校庭に面した通路だ。風に乗ってきた声は恐らく校庭では周りから少し死角になる水飲み場裏あたり。んなの、呼び出しくらってる現場以外に考えらんねぇし…!!
ちらほらと準備に走ってる連中を一瞥して、それから目的の場所まで走る。
しかしたどり着いた先には先客がいた。
@あとがき
非常に疲れてて、お腹すいてて、眠たくて、どうしようもない千尋です!こんばんわー!!
お話的には少し中途半端なところですが、長くなってしまうのでとりあえずカットしました!
次回くらいが山場、でしょうか・・。いや、でもそんなこともないかもしれない。どうでしょうかね・・。うーん・・とりあえず、恒例の呼び出しです!早めに決着付けておかなくちゃいけない問題点だったのでアッサリと一番最初に持ってきました。やっぱりあんなに格好いー人たちと知り合いだと、どうしたって問題山積みですからね!
高校の方では沖田、藤堂、斉藤、と頻繁に会えますが・・大学生である原田、永倉とはどうしたって接点が少なくなってしまう・・のが悩みの種です・・。どうやって彼らを活躍させようか・・・。
そういえば、卒業旅行行きたいねー・・なんて友達と会話をしてまして、
ふと・・行くなら函館とかがいいなぁ・・京都で新撰組縁の地にも行きたいなー・・とか、そんなことをぼんやりと考えてしまいました(´v`)
どうせ行くとしても2,3月なので函館とか会津なんかは寒いですよねー・・やっぱり京都かなぁ・・。
書き込みをしていると、まさに交換日記のようで…(前にも書きましたけど)。中学生のころを思い出します…。
一くんが登場しましたねvv
一くんは、俺はお前のことが心配でたまらないあ!オーラは出さなそうなので、ポツリと言う言葉とか別れ際に頭を一撫でするその行動が堪らなく惹かれます。
微笑まれちゃったら返事するのも忘れちゃう気持ちわかりますよっ。
新撰組の人たちが微笑むと絶対瞬殺(恋に落ちちゃうという意味で)されちゃうと思うんです。
特に斉藤さんは…一番効力高いのでは…?
前回の春ちゃんの行動と、今回の不穏な空気は繋がるということですよね?千鶴ちゃんが絡んでると…。
学園モノには欠かせない「校舎裏の呼び出し」「先輩からの呼び出し」「ライバルからの呼び出し」…つまり「あんたさ、一年だよね?」デス!!
これですよーーーvv
自分が経験して怖かったとはいえ、こういう展開はワクワクします。
誰が来るの?春ちゃんだけ?それとも…とか。
…ま、私は同級生10人くらいに囲まれ「ねぇねぇ。まだ○○のこと好きなの?」とブラシを片手で遊びながら聞かれました…。場所は校庭の真ん中ですよ。
今となれば、これもいい思い出(?)ですけど…。
暴走左之さん、いつまでもお待ちしてますvv
今はこの後の展開が気になって仕方ないんでっ
では、またお邪魔させていただきますvvv
交換日記って、なんだか気恥ずかしいですね(//∀//)
あ、でも、本当に毎日コメントを書くだなんて義務を強いているわけではないので無理はなさらずに・・体調もまだ万全じゃないんですから!!
元気になったときに笑さんの愛とか妄想とかいろいろ詰まったものを一気にいただければ十分ですよー(*´∀`*)
一君が登場しましたー!!
なんだかんだ言っても、スクールライフでは沖田君、一君、平助君の3人が目立つ形となるかもー・・です!だって、やはり高校生同士の方がね・・・うん。
っていうよりも、どうしたって一君は千鶴ちゃんの頭を撫でている姿が似合うなぁなんて思ってしまうんです!!左之さんと一君の役目!ですよね!!
うーん・・普段クールと言うか感情を出さない人が、かすかに微笑む・・って・・破壊力抜群ですねぇ~・・(//へ//)
あ、1話目で春ちゃんが焦って走り出したのは、2話目の終わり頃に繋がってます。ちょっと今日の更新したお話までだと分かりにくい・・ですよね。明日、(もう明日、な日付ではありますが)続き更新するので、一応の辻褄が繋がるかなー・・と。それにしても・・笑さん!呼び出しなんてくらったことあるのですか!?(@◇@;)って、ブラシって・・そんな、楽しい現場なのか、ちょっと可笑しい現場なのかわからないじゃないですか!(笑)ま、まぁ、あれですね。思い返せばいい思い出ってことですよね(´v`;)んー・・でも、先輩から校舎裏へのご招待は頂きたくないですよね・・実際のところ・・。
ちょーっと、ゼミ展まで2週間きって修羅場な毎日なので、左之さんが千鶴にムラムラしてるのに我慢させちゃって本当に申し訳ないのですが・・あと少し!お待ちくださいませ!!
あれ・・・?左之さんが千鶴にムラムラしているのを妄想して、笑さんが興奮してる、の間違いだったりします?(笑)
ではでは、本日も笑さんからのコメントに大変癒され、励まされてしまった千尋でした!ありがとうございました!!!