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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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「そ・・総司お兄ちゃん・・」

しかし、戸惑いながらも小さく小さく新たな名称で奴を呼んだ千鶴ちゃんの声に、沖田への不満なんて吹っ飛び、一瞬思考が一切停止した。







「・・・は!?」




ちょっと、意味、わかんねぇ・・。
相手の先輩たちもぽかん、と少しばっかり間抜けな面を晒しているが、こっちも大差ない反応だったと思う。

「おい、沖田、」


「あ、平助君たちもこっちに気づいたみたい。」

「おーい、千鶴に総司、なにやってんだよ、こんなとこでさー。」

こっちが動揺しまくって説明を要求しようと名を呼べばその男はあろうことか、この騒然とした場に第三者を引き入れようとする。

校庭の中央からこちらに向かって元気に走ってくる奴を見遣って、沖田は笑みを深くした。
彼にはもう一人、同行者が居る。目を凝らせば、あぁ、と納得する。
あの男も話の話題である当人のうちの一人だ。確か、斉藤って言うんだっけ。

クールで格好いいってクラスの女の子たちも騒いでいたから間違いはないと思う。
クールかどうかは分からないけど、、見るからに寡黙なタイプだしさ、あの手のタイプは嫌いじゃないな。

とか、そんなことは今はどうでもいいんだ、


「お・・「そろそろ球技大会はじまるぜー。総司んとこって第一試合だろ?」

「あれ、そうだったっけ・・?」

「ってか、何この状況。千鶴なにしてんの?」

「あ、平助君・・、」

「・・・・・。」

千鶴ちゃんが平助ってやつと私の顔を何度も交互に見遣って、どうにかして場を収めようと必死な様子が視界の端に映る。そんな彼女の様子を沖田も気づいていながら平然と空気の読めないようなさわやかな笑顔を浮かべる。


「なんかさ、この人たちが僕たちと千鶴ちゃんが仲良く話してたのが気に入らないんだってさ。」

「は?意味わかんねぇ。千鶴と話すなってこと?」

「どっちかって言うと反対、だけど…まぁ、似たようなものかな。」


「どっちだよ。つか、こいつは?」


千鶴ちゃんを背に庇うようにして立っていた私に気づいた平助って奴は、物珍しそうに瞼を何度か瞬いた。
それはこっちの台詞だ、お前こそ誰だよ。と、言いたい。


「あぁ、その子が絡まれてた千鶴ちゃんを助けに飛び込んでった正義のヒーローってとこかな。」

「は?正義のヒーローって、なんだよそれ。ってか、千鶴!!」

沖田の発言に不審げに眉を寄せていた平助はすぐに奴の発言の気になる箇所に気づいてこちらを振り返る。
そのまま勢いをつけて私の後ろに居た千鶴ちゃんに駆け寄って肩に手を置いた。


「絡まれてって、よくわかんねーけどさ、大丈夫か?」

「う、うん。大丈夫だよ。」

「今度からすぐに俺らんとこ来いよ!追っ払ってやるからよ。」

「え、あ・・うん。」


「つか総司が傍にいたんだろー!?」

ぐるっとまたしても方向転換して、今度は沖田に向かって文句を言いに行く。
忙しい奴、というよりは犬っころみたいな奴だなー、と呆れ顔で眺めていたら、

「は、はるちゃん・・・」

控えめな声がかかる。

「・・・・・・、千鶴ちゃん、こいつらと知り合いだったんだな。」

「え・・う、うん。」


こくこく頷く彼女には私の不機嫌具合を理解されているらしい。
先輩たちに囲まれていたときとは若干異なるが、それでも可愛い顔を不安げに歪める。

不機嫌の原因を作った男は気づいていながらもやはりシカト決め込むつもりだ。


「千鶴ちゃん、さっきの言葉・・本当?」

「え・・?」

相変わらず納まりの見えない現場を纏め上げる気力も湧かず、とりあえず先ほどの彼女の発言にたいして問おうと口を開いたとき、


「ちょっと!」

それまで、次々と現れた介入者や千鶴ちゃんの発言に固まったり動揺したり、
実は声は発せずともそれなりに反応していた先輩たちだったが、しびれを切らしたらしい。


「あれ、まだいたんだ。」

「っ・・・、そ、総司くん。さっきの・・なに?お兄ちゃんって・・・。」

「そのままの意味だけど、そんなことも理解できないの?」

「だって、お兄ちゃんって、本当に・・?」

動揺、疑心、不安、いろいろなものが入り混じって唇が青くなっていく、そんな相手に対して沖田はにっこりと口元に笑みを浮かべた後、すぐさま鋭い視線と口端を弓なりに持ち上げた。


「総司、いい加減にしろ。場がいつまでたっても納まらない。」


しかし、沖田が何かを発する前に、待ったがかかる。
そこで、ようやく冷静に現場を見つめていた男が口を開いた。

「鈴原、お前たちが何故千鶴に詰問していたかは知らないが、彼女は俺たちの妹であることに間違いない。」


「お、れたちって・・・、」

「総司も俺も、この平助も彼女とは家族という間柄だ。理解できたなら去れ。それと、これ以上の詮索は不愉快だ、やめてもらいたい。」

「・・・っ、」

先輩の一人、鈴原、と呼ばれていた子が救いを求めるように沖田に視線を送る。
その瞳はいっぱいの涙を溜めていて、否定してほしい、と訴えている。


「一君の言うとおりだからさ、これ以上僕らの周りで馬鹿騒ぎしないでね。」

「っ・・、総司くん・・、」



「あ、それと・・君に僕を総司くん呼ばわりする権利、ないから。」








@あとがき

うーわー・・・日曜日に仕上げるつもりだったのに・・結局、日曜日はとにかく惰眠を貪ってしまいました。。申し訳ありませぬぅ・・(´□`)
あと少し!あと少しで「お兄ちゃんを紹介します」が終わりますー。頑張れ、自分!!
みんなの学ラン姿をオマケで描いたのに、やはりパソ君が不機嫌で画像取り込みが出来ず・・断念・・。

設定をちょっと補足ですが、白桜(はくおう)学園は制服に関しては自由です。
一応、学ランとセーラーはあります。しかし、制服を着るか私服を着るかはお好きにどうぞ、っていう自由な校風の学園。ただ、殆どの生徒が寮での生活なため制服で過ごす方が便利、ってこともあり制服着用が割合を占めています。

千鶴ちゃん含め、総司や平助君たちも制服着用。
ただし、一君と千鶴ちゃん以外は制服+私服といった組み合わせで着ていたりします。
ちなみに春ちゃんは学ランを着用中。なぜって、本人曰く「スカートなんて似合うわけがねぇ」だそうですが、線が細くて美形にも美人にも見えるので着たら似合うのに、と千鶴が思ってたり・・します。

春ちゃん(学ランとパーカーの組み合わせ。)

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こんばんは☆
ひっひっふー
ひっひっふー

はい。落ち着きました(笑

醜態晒しましたね~あぁ、恥ずかしい(笑


「総司お兄ちゃん」のあと、皆固まってるだろうに沖田くんは相変わらずですね(笑)まるで他人事のように振舞う姿に、自分が春ちゃんだったら後ろから蹴ってるかも(笑
平助くんは場を和ませるのにいいキャラですよねーv春ちゃんが言う「犬っころみたい」は当たってますしね。彼も千鶴ちゃんに何かあったら、物凄い勢いで飛んできそう。
一くんは、場をまとめるのに必要ですね。平助くんと沖田くんの会話とか聞いててイライラしてたんじゃないですかね。
そしてバッサリ自分達と彼女達の間に線を引きましたね。
そして、成り行きを面白そうに見ていただけかと思いきや「君に僕を総司くん呼ばわりする権利、ないから」ですからねーv
笑顔で言われるとメチャクチャ痛いですね。顔は笑っていても、眼光は鋭かったり。

この後もまた、色々あるんですよね?

続きも楽しみにしていますvvv


みんなの学ランの姿は…。パソ君が機嫌を直して取り込まれるように祈ってますーvvv










遠村 笑 URL 2008/12/01(Mon)22:02:46 編集
いらっしゃいませー☆☆
こんばんわー(^□^)
いやいやいや、落ち着いてくださってよかったですー
醜態だなんて思ってませんよ!ある意味、好いてもらえているんだなぁ、って嬉しかったです(//∀//)

呼び方はいずれ他の人も出そうとは思っているんですが・・、平助君だけは平助君のままです(笑)彼をお兄ちゃんって呼ぶのは・・、いやいや、ないだろうって思いまして(--;)
平助君って、春ちゃんから見ると千鶴ちゃんを人質にして、パシリ・・いやいや、遊んでやろーかなーとかそんな対象だと思います。どっちにしても犬ころに変わりない(^v^;)
一君と春ちゃんはある種の信頼関係が生まれたり・・な、関係だったりもします。お互いに、こいつはとりあえず信用していいだろう、って感じの。男の友情に近いかなー。あれ、春ちゃんって女の子だった気が・・・・。。。

えーっと、この後もいろいろ、あったりなかったり・・どうでしょう。もうひと波乱欲しいところ、ですか?うぅむ、期待されちゃうと・・沖田君を暴走させたくもなりますが・・でもでも、球技大会始まっちゃうし!(ここ、重要ですよ!)

次の拍手にて更新予定「私の家族を紹介します」で、ご期待くださればと思います。とりあえず、お兄ちゃん紹介はあとちょろっとで終わります!
学ラン姿も・・、いつか披露したいのですが・・、はい、ご機嫌取りしてみます!!
千尋  【2008/12/02 17:38】
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