「へぇ、血の繋がりのない兄貴・・・。」
春ちゃんは、私の説明に目を細めて暗に不機嫌だ、と態度を前面に押し出した。
でもそんな不機嫌な態度と視線はまっすぐ沖田さんだけに注がれている。
「ねぇ、なんで君は僕にだけそういう視線をよこすのかな?」
「お前だけが気にくわないからに決まってる。
平助っつーやつは同年代だから兄貴ってのが不似合いに見えちまうのは仕方ないとして、昨日今日じゃなく数年前から兄妹してんのにお前からは兄貴っぽさが出てないんだよ。」
「なにそれ、兄っぽさってどういう物差しではかってるの?」
「独断による自分基準だ。そんなもん不確定なんてのは分かってる。が、少なくともそうそう信用できる人柄じゃぁないだろ。」
春ちゃんの物言いに、ハラハラと沖田さんと春ちゃんを交互に見遣る。
でも、沖田さんは何故か嬉しそうに笑った。嬉しそう、というと少し違うかもしれないけれど口元は少なくとも弓なりに上がっていて、楽しそうに見える。
「君は、千鶴ちゃんと違って勘がいい子だね。」
「そ、だから油断しないほうがいいと思うよ。学校では彼女には優秀な番犬がついてる。」
春ちゃんもまた、沖田さんの言葉に片方の口端を吊り上げて挑発するように笑みを浮かべた。
「ね、ねぇ、一君。」
「なんだ。」
「春と総司、止めなくていいの?」
そこで、一歩下がるようにして状況を見守っていた平助が横に居る俺に小声で話しかけてきた。
普通に話したところであいつらの、あの状況に変化をもたらすなんてことできそうにないが、どうしても小声になってしまうのは、心理的に自然、なのかもしれない。
「あいつの興味が欠片でも余所に移れば千鶴の危険が減る。」
「でもさ、それって春やばくねぇ?」
「そこまで柔ではないだろう。先ほどの剣幕を見る限り。」
と、先ほど春が殴りつけた外壁に目をやれば平助も目を細めてため息を漏らした。
「・・・確かに、その辺の男より強そうだよなー。」
「あぁ、千鶴にいい友達が出来て手放しに喜んでやればいい。」
「って、一君てば春のこと随分と買ってんだな。」
平助はニヤリと口端を吊り上げる。しかし、その笑みからはそれほど嫌なものは感じられない。
だからこそ眉をひそめたりするでもなく、淡々と返答した。
「どうだろうな、ただ、千鶴がよく嬉しそうにあいつの話をするだろう。」
「あーうん、学校の話になると絶対名前出てきてたもんな。」
「 だから、あいつが信じてる友人ならば兄である俺たちも受け入れてやらねばなるまい。」
「とか言ってさ、もっともらしく繕ってるけど、要は一君も気に入ったってことだろ?」
「・・・あぁ。」
「はは、やっぱりね。俺も春っていい奴だと思うぜ!」
「あ、あの二人とも・・・」
そこで、先ほどから総司と春を不安げな顔で見つめていた千鶴が焦ったような声色でこちらに駆け寄ってくる。
「ん?千鶴、なんで泣きそうな顔してんだよ。」
「は、春ちゃんと沖田さんを止めてください!」
「え・・?」
半ば自然に顔を上げて問題の二人を視界に映せば、どうやら先ほどよりも幾分過熱しているようだ。
「さっきから言ってんだろ。お前の傍に千鶴を返すのが不安なんだって!」
「君こそ話聞いてた?僕は彼女の兄なんだから家に一緒に帰るのだって変じゃないし、第一わざわざ君に許可をとる必要はないよね?」
「別に帰宅がどうこう文句つけてるわけじゃないさ、ただ、「ストーップ!」
平助が慌てて二人の間に入る。
このままでは、総司はともかく春の方が手を出してしまいそうな状況だ。
少なくとも、先ほど壁を殴りつけたところから見て彼女は冷静に和解、よりも手が出やすいタチなのだろう。
「総司も春も何やってんだよー?千鶴がビビっちまってるじゃん!」
「うるっせぇ!平助!」
「ちょっと黙っててくれる?」
ほぼ同時に二人から怒鳴りつけられた平助は一瞬、目を丸くして、しかし次の瞬間には二人には負けず劣らず声を荒げた。
「はぁ!?なんで俺が怒鳴られてんだよ!?意味分かんねーし!つか、おまえ等が騒いでるから落ち着かせてやろうと声かけてやったのによー!」
平助の言葉に総司も春も不機嫌に眉をひそめる。
「別にそんな気遣いいらないよ。僕としてはこの子が素直に僕の言うことを聞いてくれるまでは納得できない。」
「素直に言うことを聞けって?んなの、はい、なんて返事を返すわけがないだろ!
千鶴ちゃんみたいな優しい子がお前みたいな性格の悪そうな奴と一緒にいたら利用されまくって百害あって一理なしってのは目に見えてんだよ!」
「性格悪いだなんて、今日初めてあった君に言われたくないんだけど。」
「初めて会ったからこそ滲み出た性格の悪さが際立ってよぉく見えんだよ。」
「ねぇ、いい加減にしないとさ、さすがに僕でも怒るよ?」
「笑顔で脅し?別にお前が不機嫌になろうと彼女さえ守れれば問題はないよ。」
「・・千鶴、俺には無理。あれ止めらんねーって。」
今のあいつらに何を言っても収まる気配など欠片も見えず、落ち込んだように俯き加減で戻ってきた平助を責めることは到底出来なかった。
「でも・・・・さ、斎藤さん!」
平助を心配そうに見遣って、しかし問題の二人の過熱具合を視界に入れてさらに顔色を青くして千鶴は俺に縋るように制服の袖を引っ張ってきた。必死な様子の千鶴を安心させるように頭に手を置いて撫でてやれば、どうしてそこで頭を撫でられるのか分からない、といったきょとんとした目が向けられる。
「好きにやらせておけ。
春の方は頭に血が上ってるようだが総司はあきらかに調子に乗って遊んでるだけだ。
一応、総司だって相手が女であると理解している。さすがに手を出したりはしないはずだ。」
「・・はい。」
素直に返事をよこしてきたが、不安は拭えないのだろう。
眉をへにゃりと下げた千鶴を見遣って平助が元気よく彼女の肩をバシバシと叩いた。
「心配すんなって!千鶴は先に一君と帰ってろよ。二人が無茶しないようにオレが様子見てるからさ!」
「でも平助くん・・。」
「だーいじょうぶだって!心配すんなよ!じゃ、一君頼んだぜ!」
「・・あぁ、了解した。」
結局、総司と平助が帰宅したのは俺と千鶴よりも随分遅くで、平助の頬には赤い痕がうっすら残っていた。
@あとがき
ふぅー・・・なんとか書き直し、終わりました。
一回目よりもテンションがどこかおかしい仕上がりになってますが・・お許しくださいませ(;△;)
ま、でも、スクールライフ「私のお兄ちゃんを紹介します」は、完結です!!お付き合い有難うございました。次回タイトル「私の家族を紹介します!」は、12月下旬ごろ、拍手の方に更新予定です。
なんていうか・・、総司、一君、平助君、千鶴、春、のメンバーでお話を書くと・・沖田VS春のとばっちりを平助君が受ける、っていう可哀相な構図が出来上がっちゃうんですが・・どうしましょう・・(´へ`;)今度は平助君と春が同盟組んで千鶴を護る!!とか、そんなん書きたいです。可愛い感じの!!
11日から始まるゼミ展。
なんと1週間の期間なのに、オープニングパーティ、次期ゼミ生との交流会、打ち上げ(クリスマスパーティ)と3回も飲み会が企画されてるんですけど!!ちょっと・・、お酒を控えろと医者から言われている身としては・・辛い!!お財布も酒禁止令も!!なので、初日のお好み焼きと最終日のイタリアンだけ参加しようかなぁ、と。とりあえず食事メインでも平気そうだし・・。日曜日の次期ゼミ生交流会は・・、きっと大人数での、どんちゃん騒ぎだろうから・・・キャンセルしました。さびしいなぁ・・・、日曜日に来てくれた友人とか適当に捕まえて食事にでも行こうかな・・(;へ;)
春ちゃんのイラスト見て「おーーーvvvかっちょえーーーvvv」と奇声上げたのも覚えてます。
まず一昨日は『睡眠不足』で落ちました(苦笑
最近Wiiのテニスにはまってて、旦那と夜中の1時過ぎまでやることもしばしば…それをここ1週間ほど続けていたら、若い頃(十代)と違って少しの睡眠で疲れが取れるわけでもなく…><ガクーーーッときました…。
そして昨日は…絵チャってました。
絵チャの予定はもともとあったんですけど、始まる前にお邪魔して…そしたら書いたコメントが全てぶっ飛びまして…。いつもなら書きかけのコメントが復活してたんですけど、昨日は…それが出来ず落ち込みました~~(涙
で、今日は再度書かせていただこうと!
長くなったらごめんなさいっ
沖田くんと春ちゃんのやりあいが楽しいvv
お、そこまで言うか!とか(笑
「初めて会ったからこそ滲み出た性格の悪さが際立ってよぉく見えんだよ。」には、やっぱりわかる人にはわかるんだーなんて(笑
口元に笑みを浮かべてても、目は笑ってない構図って怖いですよ。それも男前な二人なら尚更…。マンガだったら、二人のバックには雷がビシバシ落ちまくってますね。
二人の間に入ろうとした平助くんが雷に撃たれそう(笑
一くんはその雷に撃たれない安全なところで待機とか。
平助くんも春ちゃんのこと「春」って呼んでるし、仲良くなりそうv
平助くんには申し訳ないですが、餌食となってもらって…(笑
とばっちりは受けそうですしね、あの二人の周りにいたら。とはいっても、赤い痕は痛々しいですが。
一くんとかはその辺の距離とかわかりそうで、その中には絶対はいらなそうですね。落ち着いて二人の行方を見守る一くん、て感じです。
この続きは拍手になるんですねvv楽しみにしてまーすvv
葉書、届きましたvv下の坊の心は動きましたよーv「行きたーい!!」って。
いよいよ今週から始まりますねvvv
我々は土曜日に行く予定ですv
お昼前に吉祥寺に着いて、お昼食べてから行かせていただきますー。
結構人の出入りは激しいですかね、やっぱり。あのDMには子供をひきつける玩具がたくさんあったので、人が来るんじゃないかと。
「大きくなったドラえもん」の体型の私なので、多分わかるかと(笑
当日お会いできるのを楽しみにしてますーvvv
お、お久しぶりです!なんて、お返事なのにその挨拶はどうかと思いますが・・本当に遅くなって申し訳ありませんでした!!
春ちゃんのイラスト、見てくださったのですねー
ありがとうございます!ですが、本当に男の子になりすぎてしまったので、さりげなく違うイラストに置き換えているかもしれません(^^;)
それにしても・・Wil・・・、楽しそうですね(*´∀`*)
私持っていないのですよ。なので、イメージがよくわかないのですが、臨場感があってすっごく面白い!って大人気ですよね!!
テニスなどスポーツのソフトは・・えーっとコントローラーを握って普通にリアルでやるように身体を動かしたりするんですよね!!運動不足なので、ちょっと試して見たいなーって思います(^v^)でも、寝不足はつらいけど、ついつい睡眠時間を削ってハマってしまう気持ちも分かるので、「ちゃんと寝ないとダメですよ!」なんて、えらそうなことが言えないのです(苦笑)
あ、絵チャをなさってたんですねー。
チャットの経験はありますが、実は絵チャって参加したことないんですよね;
今度絵チャされるときは教えてくださいね!こっそり、こっそり、遊びに行きます!!
えーーーっと、沖田君VS春ちゃん。初顔合わせからすでに険悪なムードのお二人ですが、みなさまの予想通り・・仲良くなる兆しなど全く、欠片もなく、このまま犬猿の仲!っていう感じでお話は続いていきます!!(^v^)
春ちゃんの人間観察は結構的を得ているので、きっと総司の腹黒なところはバッチリ把握しているんじゃないかと・・。でも、そのせいで番犬モードが色濃くて沖田君がなかなか千鶴に手が出せなくて甘い雰囲気に持っていきずらくなっちゃっているという微妙な悪循環・・。
あれですか、やっぱり春ちゃんを出し抜いてでも沖田君は千鶴にちょっかいを出すってのが彼らしいですかね。私としては、この連載は春ちゃんを大将に一君や平助を率いて千鶴守り隊!を結成していくイメージなんですが!(笑
どうなっていくのか、私自身よくわかってない連載ですが・・今後ともよろしくお付き合いくださいませ(*^v^*)
DMがちゃんと届いたようでホッとしました。
小さなスペースなのでゼミ生15人分のおもちゃなんてあっさりと収まってしまったわけですが、無事に展示会スタート出来てホッと一息つきました。
実は、ちょっと足りないパーツがあるので明日朝一で大学にいって急いで作って笑さんがいらっしゃる時間にはなんとか間に合わせたいな!って思ってます(苦笑)
一応、毎年日曜日が一番人の出入りが激しいそうなので土曜日は割りとゆっくりと見ていただけるんじゃないかなって思います。
あ、でも、なんだか今からドキドキしてきちゃいました・・。
テンパってるスタッフがいたら、多分それが私ですので(^v^;)