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状況の掴めぬままの雪村は自分にしがみついてる平助と、自分がしがみついてる俺を交互に見やり、そうして寝ぼけていた表情が次第に真っ青に変わっていく。


「あ、あの、この状況は一体・・。」


「何言ってるの?一君に自分から抱きついたくせに。どうせなら僕が一君と代わりたかったな。」

「え・・!?」

総司の言葉に雪村は俺の顔を凝視する。
状況の読めぬ彼女にとっては誰の発言だって真実だと信じ込んでしまうだろう。

自分から、という点に関しては間違ってはいない。だが、総司の言い方にはどうにも含みを感じて仕方がない。


「え、あ、えっと・・・」

混乱しながらも言葉を捜している彼女に、総司は満面の笑みを作って近づく。


「うん、だからさ、今度は僕に抱きついておいで。」

「え・・?」

「ほら、早く。」

「あ、はい。」



「総司の話に流されるな。」

「あ、一君てば余計なこと言わないでよ。」

疑問符を浮かべながらも総司の言葉に従おうとする彼女を引き止める。
総司から非難の声が上がるが、聞かなかったことにして視線をすぐに雪村に戻した。


「あいつのことは放っておけ。それよりも雪村、いい加減に俺の上から退いてほしいのだが、」

「え・・あ!ごめんなさい!!」


慌てて俺の上から退いて距離をとる。
去っていく温もりに、ほんの少しの違和感を感じながらも、すぐさま頭の片隅に押しやる。


「斉藤さん、重たかったですよね?本当にすみませんでした。」

「いや、アンタが意図してやったことではないと分かっている。」


そう告げても彼女の表情は晴れる様子はない。
ただ、浮かない様子の彼女を気遣ってやるだけの余裕が、今の俺にはなかったのも、事実。


「それから、いくら土方さんから受けた仕事だと言ってもお前に任せられるのは雑用が主だ。従って急ぎではない。無理をして深夜まで作業を続行する必要性は皆無だ。お前が寝坊して、結果的に振り回されるのは俺たちだ。」

「・・ごめんなさい。」


俯いて、顔色を更に悪くする彼女に対して、俺は自分の発言を撤回するべきだと己に言い聞かす。

本当は、こんなことを言いたかったわけではない。

彼女の性格を考えれば無理をしてでも自分の睡眠を削って仕事を終わらせようとするのは分かりきっている。寝かせておいてやろうと思ったのも自分だし、起こしに行くと言ってしまったのも自分だ。

彼女を責める必要など、なかった。なのに、どうして俺は・・





そこで、深刻そうに俯いて謝罪の言葉を述べる雪村を見遣り、新八がこちらを非難するように声を荒げた。


「斎藤、お前、もちっと言葉選べねぇのかよ。つか、千鶴ちゃんを起こしに行くっつった言い出しっぺはお前だろうが。」

「・・・・・・。」


言い返す言葉などありはせず、無言を貫いた。
新八はそれを納得いかないという表情で見ていたけれど、すぐに顔を逸らして俺から離れた。






「・・・新八」

「なんだよ。」

「千鶴を庇ってやりてぇ気持ちも斎藤の言い方がちっとばかしキツいのも分かるが、見て見ろよ。」

「何を、」


そう言って、顎をくいっと斉藤の方に向ければ新八は不機嫌そうに眉をひそめながらも俺に続いてそちらを見遣る。


「斎藤の顔。」

「・・顔?」

そうして、耳元を真っ赤にさせて千鶴に視線を合わせられずにいる斎藤を見やって新八は驚愕の表情を浮かべた。


「は?あの斎藤が照れてやがんのか!?」

「そーゆうこと。」

「いや、でも、まさか斉藤の奴が・・。」


未だに申し訳なさそうに俯き加減で斉藤を見遣る千鶴と、そんな彼女に何かを言おうとしながらも言葉を見つけられないでいる斉藤を見遣り、新八は何度も瞼を瞬いた。


「あいつ、こっち方面は、ほんと不器用な奴だよなぁ・・、」

「あ?こっち方面?」

「・・・・まぁ、お前もどっちかっつーと不器用な部類の人間だけどよ。」

「・・はぁ?俺がなんで出てくんだよ。」


そこで俺はわざとらしく大きなため息を吐き出した。


「一つのもんが心の中で大きくなっちまうと、途端に余裕がなくなっちまうって、そうゆうことだよ。斉藤の奴があんな風に余裕なくてしどろもどろになってるなんて、まず見れねぇ光景だしな。」

ちらりと新八に視線を寄越せば、じっと斉藤と千鶴を見遣ってる。

「・・・お前も、そういうことはてんで分かんねぇって面見せておいて、あいつのことだけは結構視線送ってるしよ。」

「・・何が言いてぇんだ、左之。」

「奥手ってことで誤魔化してっと、後悔することになるぜ。なんせ、お前の周りは強敵ばっかだからな、斉藤や平助・・、総司なんか何しでかすか分かったもんじゃねぇし・・・、なによりも、俺がいる。」







@あとがき

こんばんわ!!

やっぱり・・人数出すといろいろと大変ですね。自分で状況がよく分からなくなって千鶴ちゃんと同じ・・大混乱してます(´v`;)ま、結局のところ・・みんなライバルだぜ!!ってやつですね!
新八はノーマークなのに、出演リストには結構出てるな!って感じだったのですが・・・、実は、ちゃんと彼も恋してる一人だよ!ってことで、はい。結局のところ、逆ハーなんだから、みんながライバルなのは当然なんですけどね。

あれ、総司と平助は何やってるの?って思った方・・。彼らは、ただいま睨みあい中・・だったりします。

「っていうかさ、平助君どさくさに紛れて千鶴ちゃんに抱きつくとかしないでくれる?」
「うっせーよ!お前だっていっつも千鶴の隙みつけては悪戯とかしてるくせに!!」

みたいな会話してて、斉藤と千鶴はお互いに別の意味で俯いてぐるぐる思案中っていう・・収拾つかない現場です・・・だれかー!!まとめ役の人来てくださーい!!一君もあんな状態だし、誰もピシっとまとめてくれる人がいないよ!!助けて山崎君!!土方さん!!もう、こうなったら何様俺様風間様でもいいから!誰か来て!!


・・・なんか、疲れてるみたいですね(-へ-;)すみません・・。
ゼミ展も明日で最終日!!明日は昼から会場入りして、夕方片づけをして、夜は打ち上げパーティです。でも・・実は私・・大勢でわいわい騒ぐのって苦手なんですよね・・。せめて4人ぐらいがいい・・。ご飯食べるときは静かにリラックスしてっていうのが一番好きなので、飲み会って昔ほど好きじゃないんですよねー・・。

いや、でも、新八っつぁんと平助君と左之さんとだったらもう、どんちゃん騒ぎだろうが腹踊りだろうがこなしてみせますけれども!!・・・・だめだ、やっぱり疲れてるみたいです・・。

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こんばんは☆
いやー…
最近本当に一くんが愛おしくてなりませんv
左之さんや沖田くんは全てにおいて、好み(ど真ん中v)なんですが…でも不器用な一くんは彼らよりも私にとってツボなようですvvv

自分の口から出てしまったものは仕方がないとしても、一くんはきっと言ってしまった言葉が相手を傷つけてしまったとしても(正論でも)言い訳というか自分でフォローとかしなさそうですよね。
「さっきは悪かった」とかは言いそうですけど。
周りにいる彼らには分かってもらえそうですけどね、左之さんとか沖田くんとか。
あ、土方さんとかも、かな。
新八さんは左之さんに言われて、一くんの今の状況が分かったみたいですけど、平助くんは最後まで分からないのかな。
…平助くんは、色恋沙汰に慣れて欲しくないから、このままでいいんですけど(笑
もし平助くんが左之さんのセリフを言ったら…

「千鶴ちゃんを庇いたい気持ちも一くんの言い方がちょっとばかしキツいのも分かるけど、見てみてよ」

「一くん、こっち方面は、ほんと不器用だよねぇ…」

…いやだ。
こんな平助くんは嫌だ(泣
自分で書いてて「平助くん穢れないでーー(←?)」とか叫んでましたよ(笑
だからといって左之さんが穢れてるわけじゃないですけどね…。
すいません…千尋さんの作品で遊んでしまいました…。

最後の「強敵がいる」の左之さんのセリフで「なによりも、俺がいる」に、「そうだそうだ!!左之さんがいるんだぞーーー!!!」と(笑

一くんが愛おしいといいながら、やっぱり左之さん贔屓な自分がいたりします(苦笑


ゼミ展、明日が最終日なんですよね。お疲れさまでした(まだ明日が残ってますけど)vv
子供達は余程楽しかったのか、今でも話題になりますv
まだ展示されてた作品、欲しいって言いますしね。あそこに放置していたら「トイレ」「ノド渇いた」くらいしか言わないで、黙々と(…ではないか)遊びまくってると思います。親の元には一切来ないかも(笑


打ち上げ、楽しんできてくださいねvv
大勢も好きですが私も3~4人くらいがいいです。オタ話に火がつけば、静かに…なんてしていられないけれど、食事は少人数派ですv
ていうか、大勢の中で騒げるほどの体力はもうないので…ヨボヨボ

次回作品楽しみにしてまーーーすvvv

☆おやすみなさい☆



『何様俺様風間様』には吹き出してしまいましたv
遠村 笑 URL 2008/12/16(Tue)22:22:41 編集
こーんばんわー!!
こんばんわ!!

一君は・・・・私も大好きです!!でも・・・彼って沖田君と同じくらいに難しい人ですよね・・(^ー^;)左之さんみたいに余裕ぶってくれたほうが幾分もマシなのに・・・;

いやいや、でも、気に入っていただけたようでよかったです(^v^)
一君の言うことって大抵は正論なんですよね。でも、言い方とか伝え方が必ずしも正しいとは限らなくて・・、ある意味、そういうタイミングなどをはかるのは総司の方が得意って言うか・・空気が読めそう。彼の場合は読めてるくせに、わざと冷たいこと言ったり場を引っ掻き回すのですけど(ーー;)

平助君・・?
平助君に分かるわけないじゃないですか!!
だって、彼は自分の恋で精一杯なんです!!もう、千鶴ちゃんのことしか頭にないんです!!(*^v^*)

・・左之さんの台詞、平助君にしゃべらせちゃダメですよ・・(笑
ただの・・ギャグにしか・・・!!(//∀//)


コホン

えーっと、私も、結局は最後に左之さんを持ってきてしまうあたり・・贔屓しちゃってるんだなーって思います。(苦笑
いやいや、強敵だらけですけどね!!千鶴にとっては一番安全なのは近藤さんや源さんの近くだけなのかもしれない!!ってくらい、いろいろと周りが危険な奴らばっかですね!!千鶴ちゃんが大好きなので、あんまり迫られたりっていうのが多くなると可哀相な気もするのですが・・・でもでも、結局は、千鶴ちゃんはみんなのもの!ってことで(*^U^*)



ゼミ展、無事に終えることが出来てホッとしておりますー。
笑さんも、本当に遊びに来てくださって有難うございました!!
太陽くんたちも、いっぱいいっぱい遊んでくれてありがとう!
時間があればパーツ追加して、もっと豪華にしてプレゼント!!って送りたいのですが・・ごめんなさい(;;)追加を作ってる時間がないので。あ、あれだけでよければ差し上げますけどね(笑

打ち上げもたっぷり堪能してまいりましたよー。久々にお酒が入り、テンションがおかしかったようです(ーー;)いろいろと心配されちゃったけど、一応無事に帰宅できてよかったなぁって。
オタ話をし始めるととまりませんよね!ある意味、カラオケとか行くよりも全然盛り上がります(笑

いつか、沖田君はどうしてあんなにドSなのかについて、お話しましょうね!!(*^∀^*)



何様俺様風間様・・は、私が妹との会話で風間を呼ぶ際に使ってる名称です。結構・・似合ってません?(笑
千尋  【2008/12/18 23:23】
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