「先ほどは本当にすみませんでした。わざわざ起こしに来てくださったのに大声で叫んだりして・・」
部屋から出てくるなり、千鶴は俺たちに向かって頭を深く下げた。
千鶴が着替えている間、俺らは部屋の前で並んで待っていた。
一般隊士が見たら珍妙な光景に見えてしまっているだろうが、あいつが目を覚ましたからさっさと隊務に戻るか、とこの場を離れるわけにもいかず、結局着替えを終えるのを待っていた。
「気にしなくていいんじゃない?僕らもいいものを見せてもらったしね。」
「・・お、沖田さんはどうしてそんな意地悪言うんですか。」
総司の言葉に、千鶴はぐっと顎を下げて半歩退がる。
あいつの言葉に含まれた意味が理解できないほど状況がわかってないわけじゃないだろう、ほんのりと頬を赤く染めている。
いいもの、って言葉は、まぁ否定はしねぇけど、千鶴にとっちゃ災難だらけの目覚めってところだろうよ。
「だって、・・・ま、そんなことよりさ。」
「・・?」
「平助君にお礼を言った方がいいんじゃない?」
総司は千鶴の抗議の言葉に普段の日課のように意地の悪い言い訳を返そうとしたのかニヤリと口端をあげた。でも、すぐに一度つぐんで平助へと話題を振る。
「平助君?」
「うん。僕らから君を守ろうと必死だったしね。」
「守る・・?」
「大変だったんだよ?新八さんがやらしい目で千鶴ちゃんのことみたりして。」
「総司!てんめぇ・・・なに自分のこと棚に上げて俺だけ変態扱いしてやがんだ。」
新八の文句を聞く耳持たぬな姿勢で受ける総司は楽しげな表情を作って更に言葉を重ねる。
「え、だって新八さんだってあられもない格好の千鶴ちゃんに見入ってた・・「だー!だから!誤解を招くようなこと言うんじゃねぇよ!!」
二人のやりとりをハラハラと見やっていた千鶴に、こっちは気にしないで平助んとこ言ってやれと視線で示してやれば素直に頭をぺこりと下げてから、くるりと身体の向きを変えた。
「珍しいな。お前が誰かを気遣うなんてよ。」
平助と共に広間の方へ向かった小さな背を見つめながら、嫌味の一つも込めて言ってやれば総司は肩をすくませながら答える。
「別に気を使ったわけじゃないんだけどね。ただ、平助君があまりにも必死だったからさ。」
「つか、俺は被害被ったっつーんだよ!」
新八が眉間に皺を寄せつつ文句を吐き出すが、総司はそれを笑顔で流す。
「え、被害ってなんのこと?」
「だから!おめぇが誤解を招くようなことを言いやがるからッ・・!」
「・・誤解って。・・・でも、僕の言ったとおり寝起きの彼女、可愛かったでしょ?」
「そ、そりゃぁ・・、っと、それとさっきのお前の発言じゃ意味合いが違ってくんだろうが!」
「ねぇ、新八さん。そんなことよりもさ、今日の昼の巡察、平助君のとこと、新八さんのところだよね?」
「って、そうだった!!」
あっさりと今までの話題を捨て去って、新八は焦ったように平助らの背を追いかけていく。
もともと巡察の準備のために先を歩いていた平助と千鶴、そして静かに彼らと共に前を歩いていた斉藤が新八の慌しい足音に失笑している。
「・・総司、」
「なに?」
「本気じゃねぇのなら、あんま余計なちょっかいかけんなよ。」
引っ掛けのような科白だなと、自分に対して苦笑してしまう。こんなんに総司が乗ってくるはずがない、と。
しかし、目の前の男はゆっくりと口端を持ち上げた。
「左之さん、僕さ、本気じゃないって言ったことはないんだけど。」
「・・・お前の千鶴への態度は本気で好いてるって態度じゃねぇだろ。」
返ってきた返答にあえて合わせてやる。そうしたら目の前の男は楽しげに目を細めた。
「本気だよ。僕ね、一度気に入ったら手放すのって我慢できないんだ。だから、僕から離れられないように捕まえたいだけ。」
あまりにも総司らしい言い分に、大げさにため息を吐き出した。
一番厄介な相手の出方をゆっくりと見ていたつもりだが、
「・・もちっと純粋に大事にできねぇのか、おめぇはよ。」
「無理、かな。」
一呼吸すら置かずに返って来た返答に、眉を寄せた。
「ねぇ、左之さん。前に言ったこと、あるよね。」
「何を、」
「見てるだけじゃ手に入らないよ、って。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・千鶴ちゃんを起こしに来たことって本当はないけど、一度だけ眠れないからって言う彼女に眠れるまでついててあげたことあるんだけど、、本当に危機感、ゼロだよ、彼女。」
「・・・だろーな。」
「だから、隙があるうちにつけこむべきって思うんだよね。」
「隙、ねぇ・・・。」
総司の科白に、無意識に視線は千鶴の背を追って、そうして、無意識に己を哀れだと叱咤した。
平助、斉藤、新八がそばにくっついて歩いてんのに、そう、ほんの一瞬、千鶴しか映らなかった。
周りの背景ぜんぶ真っ白に塗りつぶされて、あいつだけが視界に広がって、そうして思い知った。
本当に、見ているだけじゃ、この距離は縮められねぇな、。
@あとがき
えーっと、コホン。
本当に!!お久しぶりです!!(*^◇^*)
長らく、留守にしてしまって申し訳ありません!!そして、相互リンクしてくださっている皆様に挨拶に伺うことも叶わず・・・・・(><。)うぅ、ほんとうに、情けない。
でも、やはり1月の24,25の卒業展まで、なかなか時間が作れないみたいです・・。
更新はちょびちょびしていきます。が、薄桜鬼めぐりが出来ないことが悲しくて悲しくて・・(;□;)
いや、でも、1ヶ月我慢すれば時間いっぱい作れるのだし!!卒展と個展が終われば、あとは卒業式だけだし!!頑張ります!なので、あと1ヶ月、更新が不定期になってしまうこと、ご承知くださればとおもいます。
それと、モーニングコール後日談はこれで完結です!!
お待たせしてしまって申し訳ありません!!次は囮捜査と混浴騒動番外編の更新ですね(^v^)
新連載はNewタイトルじゃなくて、男たちの下世話な話の続編とか書きたいんですが。だめでしょうか(^0^;)なんのお話が読みたいか、拍手などで聞かせていただけたらう、嬉しいです。。
あ、完結したお話の続編とか全然OKですよ!!続編好きなので大歓迎です!!!
初めまして!
最近[薄桜鬼]にはまり
小説でも読んでみようかと探して見つけたサイトがココで
昨日で作品全て読んでしまいました!
とても楽しく文才がある方は羨ましいなぁとか僻みつつ見てました←
あたしは斎藤さんが大好きなんでお風呂の話とか興奮しっぱなしでした!((変態
これからも作品に期待しています●´∀`●
頑張ってください☆
はじめまして、管理人の千尋と申します。
メッセージありがとうございます!!
新しく薄桜鬼にはまって、って声を聞くとついつい嬉しくなっちゃいますv
小説の閲覧、ありがとうございます(^v^)
とりあえず、日常のわいわいとした雰囲気が好きで、基本的には自己満足で書いているので楽しんでいただけたのならばありがたいなーって思います!
あ、月さんは斉藤さん好きなのですねv
うちの斉藤さんは、ちょっぴりムッツリです(笑)
ムッツリって誤解を招いちゃいそうですが・・、なんていうか、我慢して自分の感情を押さえ込む節があるので、いつか爆発するんじゃないかなーって。
混浴騒動、楽しんで頂けてなによりですー
番外編もそろそろ書き始めますので、そちらも是非とも読んでみて下さいね(^□^)ノ
ではでは、本当にありがとうございました!!
いやー…今忙しいって書いてあったので、年賀状のお礼とかいろいろ書き込もうとか思ってたんですけど、もう少し千尋さんが余裕できてからにしようか…なんて思ってたらこんなに日にちが過ぎてました(汗
もっと積極的に書き込むんだった…それはそれで迷惑がかかったかもしれないけれど(笑
「モーニングコール 後日談」完結おめでとうございます^^左之さんがいい感じで締めてくれたので嬉しかったですv
沖田くんの「一度気に入ったら手放すのって我慢できないんだ。僕から離れられないように捕まえたいだけ」っていうのは、左之さんが言うように彼らしい言葉ですよね。
でもそんな沖田くんの言葉に左之さんも動きだしそうで…フフフーv
左之さんと千鶴が結ばれること前提で書きますが、例え左之さんが動こうとも沖田くんは結構ちょっかい出してきそうですよね。いろいろな(沖田による)障害を乗り越えて、めでたくゴールイン!(←かなり古い表現ですが;)て感じがします^^
そんなことを想像するのがまた楽しみな作品でもありますvv
年賀状本当にありがとうございましたv
ポストを覗くと左之さんがコッチを見ていて、あまりの嬉しさと感激で「ギャーーー!!目が合ったぁぁぁぁぁぁ!!!」と(笑)心臓バクバクさせながら、ポストから取り出しましたよ(笑
めっちゃ男前な左之さんありがとうございました
^^
…ss頂けるんですか?
気長に待ってます~~vv
千尋さんが落ち着いた頃で^^
うはーv楽しみだーーvvv
お久しぶりです!!(*^∀^*)
そして、またしてもお返事が遅くなってごめんなさいー(;◇;)
なんとか、なんとか修羅場と言いましょうか、山場を越えましたので、戻ってまいりました!!またお話し相手になってくださいね!!
あ、モーニングコール、お付き合い有難うございました!!
ダラダラと続いてしまって自分でもどうしていいのやら、と正直・・はい、いろいろと悩んだりもしましたが、無事に完結できてよかったです(^v^)
なんだかんだで、うちのお話は沖田vs原田って感じのものが多いなーっと今更ながら思いました。・・本当に、今更ですが・・(-へ-;)
でも、笑さんのおっしゃるとおり、原田×千鶴前提だったとしても、総司は必ずと言っていいくらいでしゃばります!そりゃぁ、もう、えぇー・・・ってぐらい間に入って引っ掻き回して大暴れして、隙あらば千鶴ちゃんを!って勢いです!そんな三人を描くのが楽しくて仕方ない私は、そろそろ落ち着いたほうがいい、と自分でも反省することしばしば・・です;
年賀状、無事に届いてしまったのですね・・・・;
時間がなくて着色出来なかったんです!と言うべきか・・あえて、シンプルに!と言い訳するべきか・・・(ーー;)
あ、SSはすでに書きあがってますので明日にでも公開ページ仕上げます!!
お待たせしちゃって申し訳ありませんでしたー(><;)
暴走左之さん・・といってもぬるいですが、楽しんでいただけたらなって思います!!!