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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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「騒がしくなってきたね。そろそろ左之さんたちが来る頃かな。」

「え・・?」





思わずぽかんと口を開けて立ち上がり大通りに目をやる沖田さんを見上げれば、彼は視線をこちらに戻す。


「僕が君を連れ出したこと、左之さんたちにとっくに伝わってるだろうし、遅かれ早かれ斉藤君が止めに入らずとも邪魔が入ってたって事。」


淡々と告げる彼は、もしかしたら、最初から私を少しからかってやる程度だったのだろうか。
けれど、普段より幾分も、沖田さんの様子は可笑しかった。


どこか、と指摘はできないけれど、でも、沖田さんは確かに、少しだけ怯えたように、あふれ出た感情を自分でもどうすることも出来ない、そんな表情で私を見ていた。

だから、邪魔が入る、そんなこと分かっていたとしても・・あの行為は、彼にとって本気だったのかもしれない。



と、しゃがみこんだまま考え込んでいた私に頭上からクスっと笑みが落とされる。
見上げれば、そこにはいつもの、微笑を浮かべた沖田さんがいて、ほんの少し安心した。


「ねぇ、千鶴ちゃん。何をそんなに考え込んでいるのか分からないけどさ、左之さんたちが来るって、言ったよね、僕。」

「あ、はい・・。」

「それ、直さなくていいの?」



「え・・・・・・・・!!!」



それ、と指差され、視線を自分の身体に向ければ、斉藤さんの羽織を脱がされたままの着崩れた着物姿の自分。襟元なんて、寛げられひどい有様で、胸元はいくつも赤い痕が残っていて、叫びたいやら泣いてしまいたいやらで、私の頭の中は一瞬、思考がすべて停止してしまう。




「っ・・千鶴!!」




と、ものすごく、私にとっては非常にまずい瞬間に、彼らは来た。


「へ、へいすけ、くん・・」

「千鶴!無事だった・・・か・・・・って、えぇ!?」



大通りから、小柄な影が飛び込んできて、そのまま私のところまで一直線に向かってくる。
少しばかり息を荒くして、それでも彼は私の姿を視認してホッと肩の力を抜いた。

そうして、ようやく視点が合ったかと思えば、ずざざざっと音を立てて後退した。



「な、ななな、なんで、・・・・!!」


「へ、平助君、あのね・・、これ、は。」


誤解している、というよりかは、混乱してしまっている平助君になんとか落ち着いてもらおうと立ち上がって彼へと一歩進むが、崩れて下がってしまっている着物に足をとられる。



「っ・・!」


転ぶ、と無意識に瞳を閉じるが、衝撃はなくて

代わりに、馴染み深い暖かな体温に包まれる。



「は、らださん・・。」


「大丈夫か?」


「はい、ありがとうございます。」



顔を上げれば、平助君と同じように少し動揺したような瞳とぶつかるけれど、
それでもどこか安心した、なんて表情をしているから、なんだか嬉しくて、少し伏せがちにお礼を告げた。



「・・・・・、」



じっと、私の姿を見下ろしていた原田さんがゆっくりとした動作で私を支えていた腕を解く。
ぬくもりが去る寂しさに、思わず顔を上げれば、困ったような瞳とぶつかる。


さっきから、平助君も原田さんも、困らせてしまうばかり・・。


「・・で、総司、どういうことか説明してもらうぜ。」


「・・・左之さんのことだから、大体察しはついているんじゃない?」

「まぁな、けど・・後ろで真っ赤になっちまってる二人にも分かるように状況説明してもらおうか。」



怒りを含んだような低い声色に、原田さんの背を見つめる。
なんとなく、空気が重くて、それの原因を作ってしまっているのはきっと私で、


「原田さん・・、」



無意識に呟いたそれは、彼の耳に届いてしまう。


「心配すんな、別に怒ってるわけじゃねぇよ。」


振り返った彼の表情は、普段向けてくれるものと寸分違わず優しくて、今度こそ身体の力が抜けていった。


「ただ、総司の返答しだいじゃ、どうなっちまうかわかんねぇけどよ。」

「え・・・・・!?」










@あとがき

こんにちわ(^∀^)

やっとこさ、左之さん登場させられました!!
千鶴ちゃんには可哀相な事をしちゃったかなーとは思っていたんですが、ある意味駆けつけた彼らにとって千鶴ちゃんの恰好はきっと、頭真っ白になるくらい衝撃的だったのではないでしょうか!

さぁて、この後の修羅場はどうなっていくのか・・書いている私としては楽しい展開だったりしますが、千鶴ちゃんにとっては・・・、なんていうか、

「はやく屯所に帰りたい・・(:へ:)」

なんて状態ですよね。




えと、お話はガラリと変わりますが、最近、どーいうわけか忍たまが可愛くてしょうがない状態です(*´◇`*)特に五年生と四年生と一年は組が可愛くて!!いや、もう、は組なんて10歳ですよ!かーわいいなーって!!特に最近は上級生がいっぱい出てくるので、小さい頃見ていた忍たまとは大分印象が変わったなーって思います。昔は本当には組と先生たちと兵庫水軍が割合しめてましたしねー。

うーん・・、バサラとか薄桜鬼とか忍たまとか、本当にそういう時代背景好きなんだなーって、改めて自分の時代劇好きに呆れてたりします。戦国時代+現代要素のお話って好きなんですよ。

あ、そういえば、今年こそは花魁道中に参加したいです!!
せめてなー・・もうすこし身長があれば・・・いけるんじゃないかなぁっておもうんですが・・(´へ`;)

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やたーvv
再びお邪魔しますv

左之さん待ってましたーvv
そうだよ、倒れそうな千鶴ちゃんを支えるのは左之さんの仕事だよ!(笑

千鶴ちゃんの姿は駆けつけた彼らの周りの空気を固めるのに十分過ぎるくらいの威力があったと思われます^^
純情少年の平助くんには、鼻血モノ…頭を殴られたぐらいのショックは与えたんでしょうね。

こんな風に沖田くんが振舞ってくれるおかげで(?)左之さんがカッコ良く登場してくれるので、私としては嬉しい限りなのですがvv

さっき書き忘れてしまったんですが(汗)、個展・卒展頑張ってくださいね^^
今月の24日に薄桜鬼の絵チャ予定していたんですが、今回は無理そうですよね……
また絵チャしますので、その時は是非いらしてくださいーーvv

ではでは「早く屯所に帰りたい…」と願う(笑)千鶴ちゃんの願いが次回届くのかっ?

楽しみにしてますーーーvvv


遠村 笑 URL 2009/01/12(Mon)22:14:56 編集
こーんばんわ!!
お返事第二弾です!!

左之さん、やっとこさ登場です!!
お待たせしちゃいましたー(>◇<)ノ

千鶴ちゃん、実は結構・・・際どい恰好しちゃってます。
沖田君の暴走、と言ってもいいぐらい外でそれはないだろう、って恰好にされちゃってます。・・・はい、楽しかったです(^∀^)千鶴ちゃんにムラムラする沖田君を書くのは、いつだって楽しくて止まりません!!(笑)

でも、結局いいところを左之さんに取られる沖田君も少し不憫ですよね・・。いやいや、でも、よく考えればある意味一番おいしいことをしちゃってるのは沖田君なのだから、どっちもどっちですよねー・・(苦笑)


平助君たちも部外者扱いはかわいそうなので、なんとかしてお話に絡ませたいのですが・・どうしても沖田、原田に出番を持っていかれてしまう・・(´へ`;)んー・・・困った・・・。


あ、24日の絵チャ、顔を出せなくてごめんなさいー・・
行きたかったのですが・・卒展一日目だったので、プレゼンとか搬入とかいろいろとありまして・・時間的には間に合ったのですが、家に返って来た途端にベットインしちゃいまして・・(><)
次回の開催のときは、是非ともお邪魔させていただきますね!!
千尋  【2009/01/30 00:11】
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