「・・・・っ!!」
だからかもしれない、腹部に感じた痛みと熱が、どこか遠いものだと、思ってしまった。
「・・・・え、」
じわりと、暖かいものが腹部から滲み出る。
手を添えると、じわりと手にその熱が染み渡り、鉄の匂いが微かに香ってくる。
ゆっくりと、視線を下げる。
目の前の彼が刀を私の脇腹に滑らせ、そっと引いた。
そうして、視線を追わせれば酷く気味の悪いほど口元に笑みを浮かべた彼に行き着く。
「なんで、こんな・・、」
「なんで・・?」
彼はそれまで自分を覆っていた仮面を脱ぎ捨てたかのように口元を歪めて見せた。
「は、はは、はははは!・・よく、よく言えるね・・なんで、だなんてさ・・。」
可笑しくて仕方がない、そう言うかのように彼は声を荒げながら笑う。
しかし、それはピタリと止む。それから、急に態度を一変させてまるで親の仇を睨むかのように私に鋭い視線をぶつける。
「お、お前らは・・いつだってそうだ!!高い金払って酌させてるときは甘い言葉でしだれかかってくるくせに、いざ誘ってやれば実は好いた男が居るだの、なんだのと!!」
「そ、れは・・、」
自分はあくまで潜入捜査として見世に忍び込んだため、彼の申し出を断ったのだけれど、そんな言い訳に耳を貸してもらえる状態とも思えなかった。それに、この見世は遊郭などではない。あくまで、芸子が客に酌をして気分よく酒を飲んでもらう見世、夜の誘いはご法度であると前提になっている。
あまりにも身勝手な言い分にぎゅっと唇を噛み締める。
「ど、どうせ、金を気前よく出す奴には尻尾を振って擦り寄っていくんだろ!だったら・・」
じりじりと荒い息を繰り返しながら近づいて来る男に対して、力の入らない身体を何とか引っ張って後ろへと下がる。
「っ・・・、」
しかし、動いたことによって途端に脇腹の傷がじわりと熱を持ち、激痛を訴えてくる。
ぎゅっとお腹の傷を抑えて、それでも止血には程遠くて、次第に足元へと赤は落ちていく。
「・・・・はぁ、はぁ、・・・っ、」
なんとか息を詰める。
こんなところで死ぬわけには行かないし、仲間であるはずの彼に殺されるわけにもいかない。
意識が朦朧としてくる中で、さきほど沖田さんが言っていたことをぼんやりと思い出す。
「ねぇ、千鶴ちゃん。」
「は、はい。」
「知ってる?この切り裂き事件の一番最初に殺された女の人のすぐ傍に、もう一つ骸が転がっていたってこと。」
「・・・え?」
「何が、おっしゃりたいのですか?」
「その女の人ってさ、その日、客の誘いを断ってその殺された男と一緒に居たんだって。」
「誘いを断ってって、いうのは・・」
「うん、夜を共に、っていう客の誘いを断ったにもかかわらず、他の男と出てしまった。」
「えっと・・、」
「まぁ、犯人が誰って分かったわけじゃないけど、再現は、出来てるよね。」
「さ、いげん・・?」
そう、そもそも、沖田さんが私を囮にと言い出した意味がようやく分かってきた。
彼は、再現をしようとしていたんだと思う。
男の醜い嫉妬の成れの果てを、
@あとがき
実は、そもそもこの連載は結構シリアスなものにしよう、と考えていたので・・あんまり気持ちのスッキリする締めにはならないだろうなぁ・・・と思っていて、多分次回の最終話でも多少後味の悪いものになってしまうかもしれません。
後日談では、平助君と新八っつぁんと一君の出番いっぱいでのほほんしたお話にしたいです!!
総司と左之さんばっかではずっこいですからね!!(*^∀^*)
あ、今日は夕方にもう一話更新できると思います!!
そーいえば、来月はバレンタインですねー。
本屋で働いているのでチョコ特集の本をいっぱい見かけます。
とは言っても、わたくし、実はチョコが苦手なので・・毎年あんまり関わらず通り過ぎてます。
チョコが苦手、というと9割方驚かれますが、意外とチョコが苦手な人っていると思うんですよねー・・。キットカットとか、クッキーとかアーモンドにチョコをトッピング!!もしくはチョコケーキは一応食べれますし、1か月に一回ぐらいは一口食べたくなるときもあるんですが。。。チョコの塊っていうか、チョコそのものが甘すぎて食べれないんですよねー。
中学、高校、と友達とバレンタインはチョコ交換イベントをしてきましたが、みんな私の好みを知っていたのでクッキーやらアーモンドやらケーキやら、気を使ってくれて嬉しかったのを覚えてます(^v^)
あと、あんこもダメなので、どらやきが食べられないんです・・和菓子とか、典型的な甘いものっていうのが苦手だと、女の子としてどーなんだろーって思うんですが・・、別に全部食べれないわけじゃないんですよ!!芋羊羹とか好きですし、サツマイモとかほんわり甘い系は大好きですよ!あと、アーモンドクッキーが好きで、笑さんからゼミ展の際に頂いた差し入れは、ものすっごく嬉しかったですー(//v//)
まぁ、そんなわけで、今年も乙女としてはまずい気もしますが、おそらく素通りです。
あ、友達との会話の中で「彼氏にもあげないの?」って聞かれたのですが、チョコ売り場もなんとなく苦手なので、あげたことないです。代わりに料理作ってあげるとか、そんなんで誤魔化してきたので、今後もチョコを手作りとかないんだろーなーって。
あ。。でも、チョコのパッケージデザインとかそういう視覚的デザインがものっすごく好きなので、香りを我慢してお店めぐりをしたことはありました。あの時は・・いろいろと悲惨でしたが。。。
今年は、友人との交換お菓子は微かにチョコをトッピングするだけのケーキタイプにしようかなーって。
素通りはしますが、お菓子交換は恒例なのでとりあえず何かは作ろうと思います!!チョコいらずで生クリーム系のお菓子の作り方、オススメレシピがありましたら教えてくださいませ!!(チョートケーキは好きなんです。カステラとイチゴが好きなのでv)
千鶴ちゃーーーーーーんっ大丈夫っっ??
でも、初めの話からするとこういった狂気的な犯人がいたわけだから、この展開は不自然じゃないですけど…きゃーーーーーっっいやーーーーーっっ、ですよ。
実はうっかり14をちょろっと読んでしまって…メチャクチャ気になるので、そっちに行かせていただきますっ
とぉっ!!
え、あ、えっと・・、大丈夫ですよ!!多分!!
でも、確かに、自分で書いておきながら・・千鶴ちゃん可哀相・・・(;へ;)とか、いろいろ思ったのですが、でもでも、千鶴ちゃんが怪我してくれないとお見舞いにならないんです!!むしろ、後日談のお見舞い話が書きたくてたまらないんですよ!!(笑
あ、ブログで2話更新ってなるとどっちが次のお話か分かりづらいですよねー・・。結構お話も溜まってきちゃったんで時間に余裕が出来たら、ちゃんと本館のサイトの移そうかなぁ、って思ってます。ブログって便利ですが融通が利かないっていうか、レイアウトに制限かかるので不便でもあるんですよねー(^v^;)