「さーてと、じゃあ一旦ここで別行動、な!」
「う・・うん、頑張ってきてね」
江戸までの道中は平助君を意識しないように内心必死だったけれど、それでも他の隊士たちもいるからある程度は自然に振舞うことが出来たと思う。
隊士募集の場に私がいては何かと問題だと考えて、江戸での滞在はほとんど父様探しを中心に行った。
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実家に帰って、一番最初に感じたことは落胆だった。
父様がいるなんて、そんな夢を見ていたわけじゃない。
それでも、せめて家に一度でも立ち寄ってくれていたらって思った。
足取りが全くつかめていない現状に微かにでも光を差し入れたかったけれど、そんな期待はあっさりと崩れた。
埃がたまった家の中に私が留守の間に変化したものはない。私が家を出てからここはずっと真っ暗だったのだと思うと少し寂しい。
「・・・?」
しばらくぼんやりしていたみたいだった。
家の玄関口で何か音がした。
カタカタと控えめな音はどうやら外で人が戸を動かしている音のようだ。
しばらく留守にしていたから滑りが悪いみたい。
「・・だれか、いるの?」
声をかけると小さく千鶴?と返ってくる。
「・・平助、君?」
「入っても、いいかな」
一応は他人の家、ということで玄関口で迷っていたらしい。
勝手に開けて入るのもなぁ、でも千鶴なら笑って許してくれそうだし、なんて・・そんな風に悩む姿が容易に想像ついてなんだか可笑しかった。
「どうぞ、入って!埃がいっぱい溜まっちゃってて、今から掃除しようかなって思ってたの」
「おじゃましまーす!」
戸を開けば、少し控えめに挨拶して平助君が家の中に足を踏み入れようとした。が、
彼はその一歩をそっと引っ込めて戸より外側で動きを止めた。
「どうしたの?」
「・・・あの、さぁ・・」
罰が悪そうに頭を掻きながら、平助君の視線はあっちにこっちに彷徨い歩く。
「何か、あったの?」
なんとなく、嫌な感覚を感じ取って眉を寄せながら問えば、平助君は曖昧な笑みを浮かべた。
「あー・・別にさ、なんかあったわけじゃねぇよ?ただ、さ・・」
彼は首を傾げる私に笑いかけながら、ま、気にすんな!と私の背を押す。
ぐいぐいと、問答無用に会話を終わらせる平助君の様子を不思議に思いながらも頷いて素直に玄関口を通り家の中に入った。
「それで、隊士集めはどうしたの?組長の平助君がこんな所に来ちゃっていいの?何か急ぎの用事とかあったの?」
畳みかけるように問えば彼は一歩、後ずさる。
「平助、君?」
普段だったら一気に聞かれても困るし!なんて言って笑うのに、今日に限っては口を噤んだままだ。
もしかして体調が悪かったのだろうか、と急に心配になり私のあとに続いて家の中に入った平助君との距離を詰める。
「平助君?・・・大丈夫?体調が、悪かったの?」
元気がない彼の顔を覗き込むと、少しだけ肩を揺らして、でもふるふると頭を振った。
「別に、体調は全然平気なんだけど・・、あーー!なんか俺らしくねぇ!千鶴!」
「う、え、あ・・はい!」
「えーっと、隊士集めは時間かけてじっくりやるから江戸についてすぐ行動!ってわけじゃねーんだよ。で、他の連中は江戸での滞在用の宿にいる。俺は・・千鶴のこと気になったから、こっちに来たんだ!」
息継ぎする暇もないほど、一気に私の問いに答えた平助君に・・私は口を挟む暇もなく、ぐっと息を詰めた。
「そ、そうなんだ・・えっと、気に掛けてくれて有難う!」
目を丸くして思わず呆けてしまったけれど、平助君が私を心配してここまで来てくれたことは素直に嬉しかった。だから、ほんの少し様子のおかしい彼を疑うことはせずに笑顔で家の奥へと誘った。
「で、親父さんは居たのか?」
「・・・・ううん、やっぱり、帰ってないみたい」
私のあとに続いて少し家の中を見回していた彼は、私が口に出すことを躊躇していたことをあっさりと口にする。
少しの苦笑を浮かべながら首を振れば、彼はそっかー・・、と罰が悪そうに頭を掻いた。
「あ、でもね、大丈夫だよ!元々・・そんなに期待していたわけじゃないし、江戸で情報集めだって張り切ってるし!」
なんだか、父様のことで平助君が落ち込んでしまうのは居心地が悪くて、私は努めて笑顔に徹した。
私の笑顔を受けて平助君も緩く微笑む。
「そっか、俺も手伝えることは何でもするし、隊士集めも親父さん探しもがんばろーな!」
@あとがき
お待たせしました。と、言っても展開的には中間点なので大した深い意味はないシーンですが、これからどどーと濃くなっていくと思いますので!!ちなみに、
>「笑顔で家の奥へ誘った」の「誘った」は「いざなった」と読んでください。「さそった」ではありません。
それで、ですね、当初から予定していましたが、これからの展開次第では大人向けの表現が入っちゃうかも、しれません。ので、元気でわんこな平助君が好き!って方は閲覧を控えていただいた方がよろしいかと、思われます・・。なんていうか、余裕がなくてがっついちゃう平助君、です(ーー;)でも、千鶴ちゃんへの愛はあるんですよ!私もえろっちぃ平助君より元気いっぱいで千鶴大すきーって抱きしめる平助君が好きですが、余裕のない・・でもいっぱいいっぱいな感じは平助君が適任かな、とも思うので・・それでも大丈夫だよ、って方はどうぞお楽しみくださいませ!
@にっき
お仕事始めの最初の一週間は無事に、終えました!
入社初日で残業でした!(^∀^)
忙しくて、覚えることもいっぱいですが、すっごくすっごく憧れて入社を希望していた会社だったので忙しくても楽しくて楽しくて頑張っていけそうです!どんな仕事なの?って質問にはちょっと答えづらいのですが、気づく人は・・気づくかも、しれません。
気づく人が居たら、よく見てるんだなーってビックリです。
私は、基本的にああいうのは見ないで飛ばしちゃうのです(^^;)
来週から休日出勤もするかもしれないので、更新は不定期ですが、頑張ります!!
あ、来週の乙女祭は12時からなので一般でふらりと参加できそうです。恐らく1時間も居られずに仕事に行かなくてはいけないかもしれませんが・・何箇所かお目当てを回って本買えたらいーなーって、思ってます(^v^)