「・・・・・。」
火照る頬を押さえつけても、熱が冷めてくれるわけじゃない。
けれど、こんな顔をいつまでも晒すわけにはいかない。
「・・・はぁ、」
どうも、最近、おかしい。
昨日の平助君の様子もおかしかったけれど、今朝の原田さんの態度も、いつもよりも過剰な接触だったような気がする。
そういえば、原田さんや平助君たちが島原へ頻繁に出るようになったのは、連夜ともいえるほど夜の巡察で浪士との斬り合いが続いているのも原因のひとつだった。
人を殺すためにあるかのように言われる人斬り集団、新選組だけれど、人が自分と同じ人間を斬り殺して、まったく自分の心に負荷をかけないかと言われれば、きっとそれは違うと思う。
慣れた、慣れないの問題ではない。
自分たちはそういう存在だと、人を何人何十人斬り殺してきていまさら心を痛めるはずがないと、そう思いきっているだけで、それはただの固定概念。
見えないかもしれないけれど、少しずつ、少しずつ、自分の中にたまっていく何かがあるはずなんだ。
だからこそ、無意識に酒を煽って紛らわせようとしているのかもしれない。
それが、過剰な接触の理由のひとつでもあるんだと、思う。
だからと言って、私に状況を変えるだけの力なんてないのだけれど。
なんとなく、朝からいろいろと考えて重たくなってしまった頭を振る。
そうしているうちに辿り着いた永倉さんの部屋の前。
「・・・・・・。」
原田さんのところで時間がかかってしまって、随分と遅くなってしまったけれど、彼が起きた様子はなかった。
だって、目覚めがよければ一番にご飯を食べに来る人だもの。遅れるときは大抵寝過ごしているのが原因。
「・・・永倉さん、起きてらっしゃいますか?」
とりあえず、返事はありません。
しかし、もう、やすやすと室内に入るものか、と心に新たに決意をして、私は再度襖越しに声をかける。
「永倉さん、千鶴です。もうすぐ朝餉の時間です。起きてください!!」
「・・・・・・・んー・・、」
室内には足を踏み入れず、ほんの少しだけ襖を横に引いて声の通りを良くする。
遠めに見ても布団の中には人の気配があって、何度目かには微かな反応を見せてくれる。
これなら、何事もなく起こすことに成功するかもしれない!なんて、気持ちを躍らせたが、
微かな反応を返してきたものの、その後は再び眠りに落ちてしまったらしく、うんともすんとも反応が返ってこない。
「な、永倉さん!ごはん!食べちゃいますよ!!」
これなら少しは効果が出るだろうか、
・・・・・・。
どうやら、あまり効果は得られなかったみたい。
少しだけ身じろいだ後、でも気持ちよさそうに暖かな寝床に身を沈めている。
「な、永倉さん、少しだけ失礼しますね。」
これ以上、ここから声をかけてもきっと彼を起こすには至らないだろう。
そういえば、昨日も彼はお酒を飲んでいたようだ。
外出したわけではなかったけれど、食事の後、熱燗を持って部屋に向かった姿を目にした気がする。
そっと襖を自分が通れる分だけ開けて、体を滑り込ませた。
そうして、少し荒れた感じで布団の上で気持ちよさそうに夢の中に旅立っている人物を見遣った。
「・・・・・・。」
体は平助君より全然大きいのに、彼と同じように子供のような寝顔を見つけてしまって、思わず声をかけるのに躊躇する。もう少し、寝かせてあげたい、なんて・・、まるで母親が子供の寝顔を見て思うようなことだ。
でも、やはり、ここで起こさなければ後々、彼に迷惑がかかる。
「永倉さん、永倉さん、朝ですよ。起きてください。」
座布団一枚分程度の隙間を空けて布団の横に腰を下ろして呼びかける。
しかし、やはり身動ぎはするものの目を覚ます様子はない。
原田さんたちを呼んでこようか、と少し思って、でも先ほど受けた彼からの過剰な接触を思い出して顔に熱がこもる。だめだめ、今顔をあわせればきっとまともに目を見ることが出来ない。
自分の力だけで起こさなくては、
そう思って、再び声をかけようと口を開きかけたとき、
「永倉さん、」
むくり、と彼が寝ぼけ目のまま体を起こした。
「・・・・・。」
しかし、焦点は合ってない。どこか寝ぼけているような様子が窺える。
「おはようございます、永倉さん。」
「んー・・・あれ、千鶴ちゃん・・・」
「はい。・・よかった、起きてくださって。もうすぐ朝ごはんですからね。」
「・・・・・・・。」
こちらを見遣った瞳は、それでもどこかぼんやりとしていて、何か違和感が残る。
「永倉さん?」
「・・・えっと、なんで千鶴ちゃんが俺の部屋にいるんだ?」
「え?」
んー、と考え込む彼は、それでもどこか眠そうで、考え込みながら再び夢の中に落っこちてしまいそう。
「あれか、こいつぁ夢か!だよな!じゃなきゃ千鶴ちゃんが俺の部屋にいるわけがねぇ!!」
「え、えっと、あの・・」
なにか、おかしい、よね。
妙な食い違い、なんとなく、彼は思い違いをしている。
「うっわ、俺ってなんでこうリアルな夢見てんだろ。しかも、千鶴ちゃんに起こしてもらうとか、末期だよなー。」
「永倉さん、これは夢じゃなくて、」
彼は目をパチパチさせて、スッキリしたような顔でこちらに向き直った。
「夢ってんなら、堪能しなくちゃもったいねぇよな!」
「え?・・・・・あの?」
「まぁ、んなとこいないで、こっちこっち、」
「あの、永倉さん。話を聞いてください!」
「それにしても、起こしてもらう、なんて夫婦みてぇだよな、左之たちにはこっぱずかしくて言えねぇな。」
まるでこちらの声を聞いてくれず、しかも離れていた私の腕を引っ張って、自分が寝転んでいた布団に隙間を作ってポンポンと叩く。
ここに、入れって、そういうことですか?
@あとがき
えー・・・、新八っつぁんが大好きで大好きで、なんで彼のお話が少ないんだ!といろんなサイト様を巡りながら嘆いていたのですが・・・・、ごめんなさい。難しい、ですよね、新八さんってば、だめだよ、難しいよ!!(;□;)
そもそも、彼のルートがないので、千鶴ちゃんとの過度の接触というかコミュニケーションは微妙に妄想で補うしかないって言う、ね・・。恋愛ルートないと、やっぱり作り物なお話になるっていうか、なんていうか、うーん・・二人がいちゃぱらしてる絵が一枚でもあれば原稿用紙何十枚も書けるのに・・・。。。。次のタイトルでは新八っつぁんリベンジ目指します!!ってことで、今回は見逃していただきたい・・・・。(-△-;)
あ、それと、拍手用のお話執筆しております。
何もないとやっぱり寂しいですし、せっかくなので、学パロならぬ家族パロで無茶させていただこうかなって(笑)まだ設定とかあいまいなのですが、家族って言うよりはルームシェア的なノリです。少女漫画にありそうな感じの王道を目指そうかと(*^v^*)がんばります~!!
あ、一応一緒に住むのは沖田、原田、斉藤、藤堂、永倉の5人で、他土方さんと山崎くんが出演予定です。
し…新八さんがこう来るとは…。隙間を作ってポンポン、て…でも憎めない笑顔なんだろうなぁ…。ポンポンてやってる新八さんは。
新八さんは実際長生きされてて、資料とかもかなり残ってるから、ゲームで恋愛とかって無理だったんですかね。断念したとかってどこかに書かれてましたしね、確か。いちゃぱらなイラスト、1枚は欲しかったですね。恋愛攻略できないなら誰かの分岐の途中でもいいんで。
沖田さんが黙ってないってことなのでvv本当にいつどういう形で登場するのかが楽しみですっvvvそろそろ足音が近付いてきてるのでしょうか…?
拍手用のお話、楽しみにしてますvvv近所に住む人たちは、男前がたくさんいるからウハウハしそうですけど、住んでみたら…凄いんです状態なんでしょうね(笑
こちらも楽しみにしてますっ
今夜もお邪魔しましたvv
新八っつぁんをピュアにしすぎてしまって、少し不安だったのですが、どうでしょう・・(^ー^;)きっと、本来はもっと女慣れしてると思うのですが、私の個人的な希望により、こうなりました(笑)
本当に、当初の予定通り攻略キャラのひとりだったら、どんなによかったか!!大好きなので、せめて、せめてハグの一枚、1シーンでいいからあってもよかったなーって涙しました(;;)
遠村さんが期待なさっているので、ついつい沖田くんに無茶をさせたくなるじゃないですか!!(笑)いやいや、一応、年齢制限かけるものは書かないつもりなんですが・・、ちょっとね、悪戯くらいなら・・・(´v`)って、タイトルがモーニングコールなんていうさわやかに対して内容が大人向けって、あれですよね;
拍手のお話は、いつもに増してキャラが壊れてる感いっぱいなんですが(--;)えと、頑張りますね。千鶴ちゃんの貞操を守ってみせます!!(笑)
今夜もいっぱい愛を受け取ってしまいました!!
ありがとうございました!!!