なにが、とか、誰が、とか、そんなことを考えるのは、しばらく自分の呼吸を整えることに必死で後回しにしてしまっていた。だから、とは言わないが、彼が私の様子を伺い、嬉しそうに口元を歪ませていたことに気づきもしなかった。
「っはぁ、はぁ、、、」
「・・大丈夫?千鶴ちゃん。」
「・・っ・・・、おき、た・・さん。」
なんとなく、分かっていた。背後からの襲撃とも言えるほどの行為。
こんなことをするのは彼しか居なくて、そうして同時に、この間の彼の言葉が私の中でゆらりと浮上してくる。
「僕のことも起こしにきてって言ったのに、どうして僕の部屋を通り過ぎて左之さんのところに行こうとしてるの?」
「・・ひ、じかたさんからお仕事の任を解かれたので・・、」
「違うよ。そんなことを聞いてるんじゃない。」
彼は、私の答えはお気に召さなかったらしい。
敷かれたままの布団に倒れこんだ私を覗き込むように膝を折ってしゃがみ、乾いた笑みを浮かべる。
「僕は、キミに起こしに来て欲しいって言ったよね。これは土方さんの命令とは別の話、でしょ?」
「・・でも、沖田さんは・・いつも寝坊などしないので・・、」
なんとか、震えずに声を発することが出来ただろうか。
彼の気に入るようか回答なんて、きっと存在しない。
彼は私が諦めてすべてをゆだねるような投げやりな答えを返せば、きっと温かみの欠片もない表情を作る。
かと言って、足掻けば足掻くほど、彼は嬉しそうに更なる追い討ちの言葉で私を下へ下へと突き落とす。
きっと・・・、起こしに行っても、それを避けようとした今と、なんら変わらない状況に陥っていたと、思う。
「・・キミは、学習能力がないの?僕が寝坊するとかしないとかも関係ないよ。
言った、でしょ?起こしにきてって。何度も同じことを言うのって嫌なんだけどなぁ。」
「・・す、みません・・。明日からは、ちゃんと伺いますので。」
今、この部屋を離れれば、きっとなんとかなる。
また夕方、縁側で一緒にお茶を飲んだり、原田さんたちと一緒にわいわい夕食を食べることも出来る。
私はこのとき、背筋を凍らせるような、肌に痛いほどの殺気を向ける沖田さんをただただ宥めることに必死だった。
「うん、約束。明日は、必ず一番に僕のところに起しに来てね。たしか、平助君や新八さんは自分で起きるんだよね?」
「・・はい。」
にこにこと、笑顔、なのに、どうしてこんなにも怖いのだろう。
普段から、少し意地悪なことを言う人ではあったけれど、殺す、と何度も言われてきたけれど、
こんなにも身の危険を感じるほどの妙な違和感は初めて感じる。
「それにしても、平助君も新八さんもさ、キミに起してもらってからそわそわしてる、なんて、笑っちゃうよね。普段から島原に通ってるくせに、変なところで妙に純情だよね。」
からからと笑ってはいるけれど、相打ちを打って和やかな雰囲気を作ろう、とはどうしても思えない。
だって、ようやく息を整えて布団から起き上がろうとすれば、彼は私のすぐ傍に手をついて、行動でそれを制する。口元も目元も笑っているのに、目だけが笑っていなくて、私がこの場を離れることを許さない。
「でもさ、なんか、苛々するんだ。」
「沖田、さん・・」
「平助君も新八さんも、島原行くの控えて千鶴ちゃんにお酌してもらうって言ってるし、左之さんなんて、起してもらうために昨夜もめいっぱい飲んでるし、さ。」
彼は、何を、言ってるんだろう。
じりじりと、歩み寄って、身を低くして、私の両脇に掌をついて、、、そうして、私を閉じ込める。
「ねぇ、千鶴ちゃん。」
「は、い・・。」
「僕ってさ、実はそんなに我慢強く、ないんだ。」
「え・・、っ・・・!?」
ダンっと再び布団に倒される。
中途半端に背を浮かせていた状態から力任せに押し倒されれば、当然の如く一瞬意識が飛ぶ。
「っ・・・・・・!」
打ち付けた頭がくらくらして、ぐらりと脳が揺れるような気持ちの悪い浮遊感を感じる。
「ねぇ、もし、千鶴ちゃんは僕のものだから手を出さないで、ってみんなに言ったら、どうするかな?」
「っ、な、にを・・言って・・・、」
きつく閉じた目をそっと開けば、彼の冷めたような、どこか苦しんでいるような、そんな表情が視界に飛び込んでくる。しかし、すぐにそれは消え去ってしまって、それからじわりと歪んだ笑みを浮かべた。
「平助君は諦めきれないってもっと積極的になるかもしれないし、左之さんなんて本気で怒りそうだよね。新八さんと一君は、どうだろう。あの人たちも千鶴ちゃんに気がありそうだけど、いまいちどの程度か分からないんだよね。」
縁側で一緒にお茶をするような、そんな明るい声色で話しているけれど、私にはそれを聞き取って頭の中でちゃんと理解するほどの余裕はない。
もがいて彼の下から這い出ようとすれば途端に捕らわれる手首。
怖くて、どうしてこんなにも彼が怒っているのか、
そもそも怒っているのか、楽しそうにしているのかも分からなくて、
私の中はめいっぱいの混乱と不安と、、、そして、あの一瞬の悲しげな表情に対する疑問。
「ねぇ、なんでさっきから目をそらすの?」
「・・・・・。」
「僕のこと、怖い?」
「・・・・・・。」
どう答えていいか分からなくて、こくこくと頷いて返答した。
そうしたら、彼はにっこりと微笑んだ。
「うん、素直でいいね。でも、」
「・・・!!!」
「最近、左之さんの匂いばっかりさせてるからさ、ちょっとだけお仕置きしようかな。」
早急な動きで噛み付かれるように首筋に彼は顔を寄せた。
それからちゅっと、音を立てて唇を寄せたかと思えば、そのまま歯を立てる。
「い、・・っ・・・・、」
本当に、噛み千切られるかと思うくらい首に激痛が走って、しかし私の身体はすぐにその傷を塞ごうとする。
それを許さないというように、彼は再度歯を立てて傷口を広げた。
「っ・・!お、きた・・さん・・、」
「・・・大丈夫?頚動脈にはいってないと思うんだけど。」
平然とそんなことを言いながら、彼は唇についた私の血を舌で舐めとる。
その妖美な仕草に、思わず心臓がドクンと高鳴った。
@あとがき
あの、えっと、申し訳ないです・・(-へ-;)
やーっぱり、総司ってなると、痛い感じになっちゃうんです。優しくて甘い演出を望んでいた方、本当にごめんなさい・・・。これでも彼なりの愛情表現のつもりなんです、多分・・。
ひとつ、注意事項なのですが、一応時間軸としましては平助君と一君がいる最初の屯所が舞台です。なので、実際には彼女が鬼だとか自己治癒力が非常に高い、などの情報は新選組メンバーは知りません、が、そのことには触れないで頂きたいのです。ちょっと、痛い場面で、どうして傷が治るんだ!?みたいな感じになると話が進みませんので、黙認していただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。
我が家は、ただいま中村優一くんで溢れています(ーー;)
なぜって?私が夢中になっていた電王を横目で見ていた妹がいつのまにか隣に座るようになって、一緒に見始めて、いつのまにか優一くんに夢中になって、そういでもってイベントとか全国を渡り歩くようになって、次第に家の中に彼のグッズスペースが拡大されていったからです。
確かに、私も優一くんは可愛いと思います。微妙に年下でショックでしたが、とりあえず、可愛いし格好いいとは思います。でもね、でもね、家の中でなんでもかんでも優一くんだらけだとね、ちょっと怖いのですよ。
妹が旅行中にさりげなく片付けしてます。
きゃーきゃーきゃーvv
沖田くん、怖っっ!!でもそんな沖田くんを見てるとゾクゾクしてきますvvvきたきたきたーーーってな位に興奮もしてます。
ちょっと危ない血が騒ぎ出し始めてますよぉぉvv
鬼畜沖田最高です!千鶴ちゃんはちょっと痛いかもしれないけれど…耐えてっ(笑
鬼畜な沖田くんのためにっ耐えてくださいっ。とかお願いしてみたり。
友人の話だと電王は、電車マニアや声優FAN、ライダーFANが集まった結果、物凄いFAN層になったらしいと。ウラはお母さん対象ですから(笑)声聴いた瞬間、腰砕けましたしねー^^
ブログのウラは、アイコンを探して見つけたんですけど、ここのブログさんが辞めてしまうという話ですので、ちょっと悲しいですね。
でも、あのアイコンはあそこが定位置なので消えることはないと思います(笑
画面見てたら。にょろっと沖田くんが出てきてくれると…いいなぁ…。
沖田君、ようやく登場させることができました!!
鬼畜沖田を書こうとしているわけじゃないのに、いつのまにかいじめっ子してるっていうミステリー。困ったものです;(*^v^*)
千鶴ちゃんは健気な子なので耐え抜いてくれますよ!!
・・・ん?それでいいのでしょうか。ちょ、よくよく考えたらダメですよ!誰かがストップかけないと沖田君ますます止まらなくなっちゃいますって。って、わけで、そろそろ第三者にも登場していただきますー。沖田君ばかりいい思いはずるいですから~(笑)
そうですね、電王は結構いろんなファンが集まってあそこまでファン層が広がったのでしょうね~。私は声優ファンってことで、惹かれたのが最初でしたし。
ウラちゃんのアイコン、いつまでも定位置に置いてあげてくださいね~。遊びに行って、ついでにウラちゃんにも癒されてます///
あ、沖田君が画面から出てきたら苛め抜かれて死ぬと思うので、私はウラちゃんがいいなーなんて(苦笑)学生沖田君なら大歓迎ですけど!!(^□^)