忍者ブログ
期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
[99]  [96]  [94]  [91]  [90]  [89]  [88]  [87]  [86]  [93]  [83
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


「・・そういえば、左之さんってどうしてるの?」

「どうしているもなにも、昼の巡察はお前の組と左之の組だっただろう。」

「あぁ、うん、そうじゃなくってさ。」



総司はどこか言葉を選ぶかのように言い淀む。


「・・左之さんは、千鶴ちゃんに会いに来てるの?僕一回もここで会ってないんだけど。」

「・・・あいつは、来てはいない。」


俺の返答に総司は小さく「やっぱりね、」とだけ言う。

平助も新八も総司も、そして他の組の組長たちも千鶴が目を覚ましていないかと幾度となく様子を伺いに来るが、左之助だけはあの夜から一度たりとも千鶴に近づこうとはしなかった。

仕事中や食事時など、普段と変わらない様子なため気づくものは少ないが、
それでも、あいつの様子がどこかおかしいと・・総司だけではなく平助や新八も気にしている。


「・・・気にしてるんじゃない?やっぱりさ、」

「菊池のことを、か。」


原因があるとすれば、彼女がこうして床に伏す怪我を負わせた男の存在。
彼女はすべてを見届けた。

雪村に、自らも背負うと告げられたとき、あいつは苦笑いを浮かべていた。
嬉しいのか、悲しいのか分からない。そんな表情を作って、彼女の言葉を受け止めた。


未だに引きずることではないと、俺は思ってはいるのだが・・
やはり目を覚まさない雪村に対して、負い目を感じているのだろうか。


「・・自分の組の人間が彼女を傷つけた、そのことに対して負い目を感じてるのかもしれないけどさ、でもそれはどうしようもないことだし。」


目を細めながら総司はぶっきら棒い言葉を吐いて捨てる。
自分自身、雪村に手を出したことであの現場を作り出してしまったという事実を

忘れ去ってしまいたいのか、
気にしないといいながらも、左之の様子を見て素直に雪村の顔を見れないのか、



「雪村が目を覚ましたとき、そんな顔をしていたら不気味がられるぞ。」

「・・・なにそれ、」


眉をひそめる総司に部屋の奥の小さな棚に申し訳ない程度に置かれた小さな手鏡を指差した。
それを目で追って無言で手鏡を手に取り自らの顔を見る。




「・・・あれ、僕も左之さんと似たような顔してる?」

「顔でも洗って来い。」



「えー・・これって顔洗って治るかなぁ。」


笑っているのに、その顔には笑みがなく、
心配で、不安でしょうがないと訴えてくるかのような

新選組の幹部が揃いも揃って、と土方さんは嘆くかもしれないけれど、




「・・間違っているとは・・思わない。」

「え?」


「なんでもない。俺は夜の巡察だからそろそろ支度をする。」

「あぁ、そっか。夜は斉藤君の組と井上さんとこだっけ?」



それに頷きで返事をする。


あいつを部屋に一人残していくことは普段ならば避けていたかもしれない。
ただ、今このときは、一人にしてやりたいと思ってしまった。



「・・総司、」

「うん、分かってるって。」


珍しく、総司は情けないほど笑みをくしゃりと歪めた。



「・・大丈夫、何もしないって。僕もあと少ししたら出るから心配しないでよ。」

「心配など、していない。」

「・・そっか。」


心配とは、誰に対してのものなのか。

総司が何かしでかすかもしれないからと雪村を心配しているとでも言いたいのか、
もしくは俺に心配されると思うほど自分の顔の酷さに気づいたのか、



「斉藤君、」

「・・なんだ。」


二歩、三歩と部屋を離れ始めてから、遅れて掛けられた声。


「千鶴ちゃんが目を覚ましたらさ、左之さんには知らせなくていいよ。」

「・・総司、お前・・、」



「そんなに弱い人じゃないよ、あの人は、」









@あとがき

なんだろう、シリアスモード続行中・・?
ただ、本編は珍しく真剣なノリだったために後日談では残ってしまった傷痕がどうなっていくのか、をちゃんと読んでもらいたいなぁって気持ちがあるのです。
次第にほのぼの、わいわい、ぎゃあぎゃあな感じになっていくと思いますのでよろしくお付き合いくださいませ!!

アンケート、接戦ですね!!
なんだかすっごく楽しみです!!1週間ほど設置しようと思っているアンケートなので11日前後を〆切にしようかなーって思ってます。一応、1位になったキャラは短編でお話書かせていただきますので(*^◇^*)ノ



そういえば・・節分、なんて行事に気づきもせず素通りしてしまったのですが・・。
私は、ものっそい行事に疎いんです。節分などはまだしもクリスマスとかバレンタインとか、みんなでわいわい騒ぐような大きなイベントごとにも興味がなくて・・

うーん・・。せっかくなんで、行事ネタでお話かきたいなー・・。今更ですが(´◇`;)

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
い・なーい!!
左之さんがいなかった…。


でもまぁ…左之さんが来ない理由も何となくわかりますけど…あぁっ><早く千鶴ちゃんに目を覚ましてもらって、左之さんと沖田くんを笑顔にしてほしいなぁ。
もちろん、平助くんや新八さんもね。一くんは顔にださなそうさし(苦笑
早くみんなの笑顔が戻りますようにvv

実はアンケートまだ投票してないんですよ…。
迷っちゃって;
もちろん左之さんが一番読みたいんだけど、沖田くんも…とか、土方さんがいないのがちょっと残念ですが(笑
やっぱり左之さんかな…どうしよう…


投票締め切りギリギリにぽちっと押しに来ると思います^^

次回作も楽しみにしてますーvv
遠村 笑 URL 2009/02/08(Sun)21:01:28 編集
・・・・・・えっと、左之さん探してきます!
ごめんなさーい!!!(><)


今回の件で、いろいろと後味が悪そうなのが左之さんと沖田君ですよねぇ・・やっぱり。左之さんのことは後半出番がどどーッと押し寄せてくるので問題ないとして、沖田君がどうなるのか、私にも分かりません・・。いや、毎回のことながら、彼、難しいんです。。


あ、アンケートはどうぞお気軽にぽちっと!

土方さんとか山崎君を入れるべきかなーとは思ったのですが・・、このブログ、あまりにも土方さんいない率高くないですか?私が言うのもアレですが、普通土方さんは必須ですよね?私自身、ゲームで土方さんにはメロメロでした。かっこいいって素直に思うんです。でも、どーーーしても、土方さんが書けない、登場させて上げられない症候群なんです。なんででしょう・・男前過ぎて?大人な香りが強すぎる?べらんめぇ口調は左之さんで十分?

・・・・えーっと、そんなわけで、左之さんに一票どうぞ!(笑)
千尋  【2009/02/09 20:50】
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
プロフィール
HN:
千尋
性別:
女性
職業:
社会人
趣味:
ゲーム
自己紹介:
薄桜鬼二次創作
小説はシリーズで連載しています。

        
■参加させていただいております!
千鶴総受けアンソロジー
左千お題企画
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[06/25 れみ]
[05/06 しょう]
[03/22 足跡ぺたり]
[01/21 足跡ぺたり]
[10/28 シロ]
カウンター
フリーエリア

ただいま、五年生に夢中です!


竹谷が揃ってこその五年生!!


拓人は凛々しい顔が一番スキ!


拓人が普通に一番男らしいと思う。

『黒と金の開かない鍵。』|little-cheese

















バーコード
ブログ内検索

Copyright (c)Heretique All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  Photo by Kun   Icon by ACROSS  Template by tsukika


忍者ブログ [PR]