「・・・・・暖かい、」
雪村が目を覚ましたのは、あの夜から五日が過ぎてのことだった。
「千鶴ッ!!!」
「千鶴ちゃんッ!!」
朝餉の席で、早朝夜が明ける間際に雪村が目を覚ましたと知らせれば平助と新八は手にしていた茶碗の中身を勢いよく口の中に詰め込んだ。そのまま、立ち上がり、慌しく彼女の部屋に向かっていった。
「・・・平助くん、永倉さん、」
意識を取り戻したが、それでもやはり血が足りないのだろう、どこか顔色は悪いままだった。
それでも、彼女が意識を取り戻したという知らせは平助たちには吉報中の吉報のようだ。
へにゃりと泣きそうなほどに目元を下げて、彼女の布団に飛びついた。
「よかったー!!!マジでもう目を覚まさないんじゃないかって!!」
「おらっ、平助!んな風にしがみついてたら潰れちまうだろうがっ!!」
上半身を起こしただけの状態の雪村に対して、平助は遠慮なしにしがみついて、それを新八が足蹴にしている。普段ならば、朝も早いからあまり騒ぐなと注意もするが、今日くらいはこのまま放っておいてやろうという気になる。
「ほ、ほら!!千鶴が目を覚ましたら一緒に食おうって新八っつぁんと一緒に買ってきたんだ!」
「・・このお団子?」
「そそ!団子だけじゃねーんだ!えーっと、この饅頭もそうだし、あ、ここの芋羊羹は絶品だって源さんに教えてもらったんだ!」
「・・私と一緒に食べるために?」
「あったりまえだって!!」
きょとんと幾度か瞬きを繰り返して、平助と新八の顔を交互に何度も見て、それから、雪村は笑った。
「・・ありがとう、平助君。永倉さん。」
ふわりと、一瞬にして、この室内に色が戻る。
「え・・・、あ・・、いいってことよ!!さー食おうぜ!!早く食べちまわないと腐っちまうからな!」
雪村の笑顔に固まっていた新八が逸早く動き出す。
床に散らばってる食べ物は、幸いにも無事なようだ。
涼しい季節でなければ、悪臭を放っていただろう甘味で埋め尽くされた部屋に雪村は改めて嬉しそうに微笑んだ。
「・・千鶴、」
「・・ん?」
新八が茶を用意すると慌しく部屋を飛び出して、それから平助がおずおずと彼女の横に腰を下ろす。
「傷は、もう大丈夫なのか?」
「えっと、うん・・痛みもないし、大丈夫だよ!」
「そっか・・。」
「心配かけて・・、ごめんね。」
「あ、いや、いいんだ!!俺たちがちゃんと守ってやれなかったのが悪いんだしよー!」
しゅんと影を落とす雪村に平助は慌てて明るい声を出す。
しかし、勢いで発した己の科白に、再び口を噤む。
「・・・なぁ、千鶴、」
「・・・・・・お前ってさ、五日間も眠りっぱなしだったんだ。」
「え・・・、そんなに?」
「あぁ、でさ、新八っつぁんと一緒に千鶴が目を覚ましたら食ってもらおうって、こんなに甘味買い込んでさ、」
「うん、甘くて美味しそうな香りでいっぱいで、驚いちゃった。」
「・・・・・。」
「平助君?」
徐々に声色が落ちていく平助を、雪村は心配そうに覗き込む。
「・・怖かった。」
「え、」
「お前が目を覚まさないんじゃないかって・・・、俺、すげー怖かった。」
@あとがき
千鶴ちゃん!!目を覚ましました!!(^∀^)
でも、やっぱり彼は現れず・・ごめんなさいー。彼の出番はもう少し後になりそうです。まずは平助君のターンですよ!(*´v`*)
・・にしても、普通、五日も過ぎれば腐ってます、っていうツッコミはどうかしないでください。
無理があるのは分かっております。そこんところは、ほら、最初の頃のは斉藤さん、山崎君あたりが平助たちに気づかれないように、こっそりと処分してって感じだと思うわけですよ。もちろん甘味だけじゃなくてみかんとかの果物もいっぱいありますよ!・・入院先で受け取って嬉しいのって個人的には果物とか食べ物が嬉しいですよねー。でも、内科での入院だと差し入れされても食べられなかったりするので寂しい・・。
はい!今日の更新も終わりましたので、まーたいろいろと作業に戻ります!!
コメントと拍手お返事に、夜ぐらいにまた戻ってきまーす(●^v^●)
千鶴ちゃん、目が覚めてくれてよかったv
平助くんは本当に嬉しいんだ!!って全身で表現してますしね^^
お団子だ、饅頭だって千鶴ちゃんの前に出してる姿が目に浮かびます。そこで笑う千鶴ちゃんの笑顔も。
「怖かった」という平助くんの言葉にグッと…。
5日間も眠り続けていたわけですからね。
平助くんの気持ちが伝わってきました。
あと、左之さんに一票入れます。
ここで言っていいものなのか(笑
皆いいんだけど、やっぱり浮気はしない方向で(笑
土方さん、たしかに出てない比率高いですもんね。
左之さんに1票。
結果はどうなるのか…楽しみに待ってますvv
千鶴ちゃん目覚めの時がやってきましたー!!
目覚めてくれないと、ブログ閉鎖ですもん!必死です!!(笑
それにしても・・平助君と新八のお見舞いの品がぜーんぶ食べ物ってところが・・アレですよね。笑っちゃうところですよね(´v`;)
あの時代って輸血とかってどうなるんでしょう。できるものなのでしょうか?そのあたりの知識が全く無いので、想像で書いちゃったわけですが、鬼なので傷は塞がってももちろん血液は再生しないわけで、極度の貧血・・、いやいや出血多量ですよね;うーん・・、本当に自分で書いておきながら曖昧で・・(ーー;)いろいろと、す、すみません・・。
あ、アンケートにご協力ありがとうございます!!
〆切は13日に決まりましたので、結果をお待ちくださいませv
珍しく甘い感じでいちゃいちゃしたの書こうと思ってるので誰が1位になるか私も楽しみです!!