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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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「新八さん、」


平助と同じようにバタバタと走ってくる様は、まるで兄弟のように似ているなぁ、とぼんやり思う。


「おう、さっきからウロウロして何してんだ?」

「千鶴ちゃんを探してるんだけど・・、新八さんは見てない?」


総司の質問に永倉は眉を寄せる。
それから顎に手をやって、あれ?と首をかしげた。


「千鶴ちゃん?あー・・・なんか、見たような、見てねーような・・」

「見てないなら別にいいけど・・、って新八さん今帰ってきたばかり?」



永倉からうっすら酒の匂いを感じ取って総司はほんの僅か距離をとる。
自分も普段から酒を飲む方ではあるが、目の前の人物は加減を知らないので浴びるように飲むのだ、相当酒臭くもなる。


「あ?あぁ、昨日と今日、俺は非番だからなー」


そういえば、昨日の夕飯に永倉の姿はなかった。
昼過ぎに見かけたのが最後だったから恐らくその時から一晩空けて今まで出ていたのだろう。


「僕は構わないけど、酒臭いままで千鶴ちゃんに近づくと嫌われるよ?」


目を細めて脅すように言えば、永倉は困ったように笑う。


「あー・・それは困るな、」

「で、千鶴ちゃん見たかもしれないのはどこ?」


先ほどの彼の言葉の中にあった「見たような、見ていないような」を拾って問いかければ「んー・・」と短い思案の後、



「そういや、左之と中庭にいたような気がする」

「・・・左之さんと?」

「ああ、俺が帰ってきたときに丁度、左之んとこの組が巡察から帰って来たとこみたいでよ、箒持った千鶴ちゃんと話してたような、」

「わかった、新八さん、ありがとう」


ような、とか気がするとかが多くて、会話の区切りが付かない。
酒臭い人とこれ以上一緒に居たら自分にも匂いが染みてしまいそうだ、さっさと追いやるに限る。


「いくら非番とはいえ、そんな酒臭いままで屯所をウロウロしてたら土方さんが鬼のような顔で追ってくるから気をつけてね」


置き土産を残して、さっさと踵を返せば後ろで新八さんの焦ったような声が聞こえた。
無視を決め込み僕は左之さんを探すべくふらりと中庭を目指して歩き出した。

彼女が箒を持って掃除、と言えば中庭が多い。
ここは風向きの関係で落ち葉などが溜まりやすい。
毎日掃いているようだが、それでも翌日になると荒れてしまう。
キリがないからしなくても構わないと言っても彼女は引かず、自分の仕事だとせっせと動き回っていたのをよく見た。

ぼんやりと彼女の姿を思い描いていたら、中庭についてしまった。




「・・・・・・」


まぁ、予想は付いていたけど、と総司はたいした感想もなくだれも居ない中庭を見つめた。
目撃情報としては有力ではなかったけれど一応の手がかりが途切れる。



「掃除をしてたってことは・・・、」


次は洗濯か針仕事か・・・。


「針仕事をするにしても部屋にいなかったし、洗濯は当番の奴がしてるのを見かけたし・・」

「なに一人でぶつぶつ言ってやがんだ?」

「・・・あぁ、なんだ左之さんか」

「なんだってのはねぇだろ・・」


んーーー・・・、と大して真面目にでもないが考え込んでいれば、そこに分かりやすい気配で近づいてきた人物、原田左之助。
新八の証言によれば千鶴と接触した一人だ。



「左之さん、ち「んなことよりよ、暇ならお前も道場来いよ。隊士たちに稽古つけてたんだけど俺一人じゃ全員見きれねぇんだ」

「え・・、ちょ、左之さん?」


人の発言を無理やり遮って問答無用で人の腕を掴んで引きずるように道場へ向かおうとする。
冗談じゃない、と総司はその腕を張り払う。


「何勝手に決めてるの?僕は今、千鶴ちゃんを探してて、」

「・・千鶴?」


振り払われたこと自体は全く気にしていない様子で、目を数回瞬く。
それから、千鶴、千鶴と何度か名前を唱え、あぁ!と何か思い当たったのか顔を上げた。



「そういや、千鶴もお前のこと探してたみたいだぜ」

「え・・?千鶴ちゃんが?」

「ああ。少し前だけどよ、巡察から帰ってきたときに会って少し話してたんだが、なんかお前のこと探してるって言ってたな」

「へぇ、千鶴ちゃんが僕を・・。で、どこに行ったわけ?彼女は」


未だに痕跡を各所に残すだけの彼女に苛々しながらも、それでも自分を探していたという事実に総司は少しだけ張っていた気を緩めた。
しかし、次の原田の言葉に、ピクリと眉をひそめた。



「千鶴なら、斉藤と一緒に出かけたぜ」








@あとがき

今日は失踪事件の方を更新しました!
こっちはもはや、行き当たりばったりなんで書いてて楽しいです!
いつもは「沖田さん!なんで追いかけてくるんですか!」と逃げる千鶴ちゃんを「君が逃げるからだよ」と楽しそうに追いかける沖田ですが、今回みたいに焦らされるのは我慢ならない、はず!きっと、見つかったらお仕置きってことであーんなことや、こーんなこと、されちゃったり・・・、あれ、疲れてる?私・・?

されませんから、お仕置きとか。ギャグなんで、エロご法度ですからね。
おさわり厳禁ですからね!ね!沖田君!お願いだから私を無視して暴走しないでください・・・。


あーっと、そういえば、昨日はキッズ?アニマックス?か、どこかで「ぼのぼの」映画放送してたらしいです。妹が張り切って録画してました。
幼い頃からぼのぼの大好き姉妹なのです。兄がアライグマ君で、私がぼのぼの、妹がシマリス役で声マネとかして遊んでました。「シマリス君、シマリス君、アライグマ君がぁ~・・」とか言うのが私の役!(笑)
仕事に区切りが付いたら一緒に見ようって約束してます。たのしみー!!

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その場に残された平助は肩を押された反動で地面に尻を付いたまま呆然としていた。


「・・・左之さん、」

名を呼ばれ、しかし平助は千鶴の去った方に目をやったまま動かない。
返事をする代わりに沈黙で先を促す。


「・・・・やっぱ、俺、嫌われちゃったのかな・・」

「今の態度を見て、本気でそう思ってんなら、お前は本物の馬鹿だな」


普段ならムキになって馬鹿じゃない!と騒ぎ立てるくせに、さすがに今はこくんと素直に頷くだけだった。


「・・俺、分かってる。今のが、どういう意味なのかって・・でも、」


煮え切らない言葉。
平助は泣き出してしまいそうなほど、くしゃりと表情を歪める。


「ごめん、左之さん。この芋さ、新八っつぁんにでもあげてよ」


まだいくつも落ち葉に埋もれている芋をそのままに、平助はゆっくりと腰を持ち上げた。
そうして、千鶴を追うでもなくとぼとぼとその場から去っていく。

その背を見ながら、俺はなんとも言えずため息を漏らした。


「・・・ほんと、ガキだな」







+++


どうしよう、どうしよう、

平助君にあんな態度を取ってしまって、

私の頭の中はぐちゃぐちゃで、ただひたすらに目的もなく屯所の奥へと進んでいた。
廊下をどう進んで、ここはどの辺りなのかだって分からない。

自分の混乱具合に、急に怖くなって誰の部屋かも分からぬ部屋の前でしゃがみこんでしまった。


「・・・雪村、」

「さい、とう・・さん」


崩れ落ちたように不恰好なまま廊下でしゃがみこんでいた私の前に、ほんの微かに眉を寄せて立つ斉藤さんがいて、思わずその着物の裾を握り締めていた。


「どうした、何かあったのか?」

「あ・・、いえ、すみません」


気遣うように優しい声が耳に届いて、サッと頭の中が冷えた。
自分が握ってしまったせいで少し皺になった裾を気にするでもなく、彼は私の横に静かに腰を下ろす。


「ゆきむ「あ、あの!斉藤さんはどうしてここに?」


追求されたら、甘えてしまう。
こんな自分でもよく分かっていない感情を相談するなんて、そんな迷惑なこと出来るわけがない。
無理やりにでも彼の言葉を遮って、私は話題を変える。


「どうしてもなにも、ここは俺の部屋の前だ」

「え・・・、そう、だったんですか・・」


斉藤さんの顔とすぐ傍の戸を見比べて、そんなところまで歩いてきてしまっていたんだ・・と驚く。
私がいた中庭は斉藤さんの部屋とは随分離れていたはずだ。


「・・話したくないのであれば何も口にする必要はない」

「え・・、」

「見当はついている。大方、平助のことで悩んでいるのだろう」

「・・・・・」

「俺はその一件に関して大して知っているわけではない。ただ、」


まるで、励ますように、斉藤さんは言葉を選んでくれているようだった。
私は、不謹慎にもその声を聞き和んで、心が絆されていくのを感じていた。


「平助は、そんなに子どもではない」


ぼんやりと斉藤さんを見上げる私に、彼はほんの僅かな微笑みを作る。


「あいつの口から出る言葉はいつだってお前に関してだ。総司がうるさいと言っても止まず嬉しそうにお前のことを話している」

「・・平助君が」


いつもの元気いっぱいの彼の姿が頭の中に浮かんで、
でも、複雑な自分の心を整理するのが難しい。


「お前たちの問題だ。俺は関わるつもりはない。だが、」


ぽんぽん、と私の頭を優しくなでながら斉藤さんは、微笑む。


「お前は、落ち込む顔よりも笑っている方が似合っていると、思う」


不器用に、慰めてくれる様に、心の中が充たされて、
私は今の自分に出来る精一杯の笑顔で答えた。







@あとがき

本当は、斉藤さんじゃなくて沖田を登場させるつもりでした。
いつものように沖田のちょっかいがはじまって・・って、でも、今回は慰めてくれる人、を考えて一君にチェンジ!不器用な慰め方ですが、きっと千鶴ちゃんは沖田君より一君の方が癒されるんじゃないかなーっと(笑)


TOPでも明記してありますが、ウイルスがとても問題になってきています。
関連サイトのURLもぺたりしてあるので、サイトを運営なさっている方は一度ご確認なさってくださいね。


あの日から、私は少しおかしいです・・。


「ちーづーるー!!」

「っはい!」


ビクビクーと思いきり肩を震わせれば、私の名を元気に呼んだ彼がおかしそうに笑いながら首をかしげた。


「なになに?どしたー?」

「・・ううん、なんでもないの。平助君こそどうしたの?」

「あ、そだそだ。」


すぐに気を取り直して、彼は両手に抱えた山のような芋を私に差し出す。


「これでさ、焼き芋しよーぜ!」

「わぁ!すごく沢山!!」

「近藤さんがくれたんだー。新八っつぁんたちにバレるとうるせーからあっち、あっちに行って焼こーぜ!」


平助君が顎で指した方は裏庭で、責務に忙しい近藤さんや土方さんが来ることは滅多にない。
顔いっぱいに嬉しそうな表情を浮かべる彼にどこかでホッとしつつ、私は掃き掃除で集めた落ち葉を裏庭に移動させた。


「おいおい、こんなとこで焚き火か?」

「あ、左之さん」


まだかなーまだかなーと焚き火の前で座り込む平助君にお茶の準備をしてくると告げて傍から離れたのは、ほんの少し前。
途中で原田さんに会って、世間話をしながら一緒に裏庭までやって来た。
彼は、平助君がしゃがみこんで見ている焚き火に気づいて目を丸くした。


「ん・・、なんかいい匂いだな。・・・芋、か」

「そそ!近藤さんに貰ってさ、普通に蒸かすよりこうして食ったほうがうめーじゃん?」

「まぁ、そりゃそうだが・・お、このあたりいいんじゃねぇ?」


裏庭に設置された腰がけに湯飲みを置き、原田さんと一緒に平助君の横にしゃがみこんだ。
そうして、落ちている枝で焼き加減を見る。

ふんわりと、甘い匂いが一帯を充たして食欲をそそる。


「ちょっと左之さん!そのでっかいの、俺が狙ってたやつ!」


と、大きな声を上げて平助君は原田さんが手に取った芋を奪い取る。


「・・お前さ、んなことばっか言ってると新八みたいになっちまうぜ?」

「・・・え、えぇえ!?」


呆れたようにため息を吐き出した原田さんは、奪われてすっかり寂しくなった手元に視線を落とす。
奪われたことに関しては大して気にしていない様子で別の芋を漁って、いい焼き加減の芋をひょいっと掴む。


「とと・・、あっちぃな」

「大丈夫ですか?」

「お、ありがとよ」


今まで焚き火の中にあった芋を直接掴むだなんて、熱いに決まっている。
珍しくそそっかしい原田さんに笑みをこぼしながら、私は布を差し出した。


「千鶴、俺にも布!」

「うん、どうぞ」


枝に刺したままの芋を私から受け取った布でくるりと巻いて、平助君は勢いよくかぶりつく。


「あっっつーーー!!でも、うめー!」

「お前ってほんと、騒がしいな」


ほくほくと熱い芋を口の中で冷まして、平助君はガツガツと口に含む。
その様子を横目で見ていた原田さんは私が差し出したお茶の湯飲みを受け取りながら少し小声で言う。


「だって、マジでうめーんだし!」

「んな騒いでっと新八に見つかっちまうぜ?」

「うわ、そーだった!新八っつぁんにだけは隠し通さねぇと!」


こんなに騒いでいたのだし、永倉さんに見つかるのも時間の問題だとは思うけれど、それでも平助君は見つからないように、とお行儀よく食べ方を改める。
そんな様子が微笑ましくて、思わず口元に笑みを浮かべれば、少し小さめの芋が目の前に差し出される。


「ちーづる、これ、もうそんなに熱くねーと思うから」

「あ・・、ありがとう」


平助君から差し出された芋を手に取れば、布を巻かなくても平気なほど丁度いい熱さに冷ましてあった。
些細な気遣いが、胸の奥までじんわりと伝わり嬉しくなる。

食べやすいように芋の両端を持って半分に割れば、表面とは違い内に留まった熱がふわりと頬を掠めてぎゅっと目を瞑る。


「・・・、」

「千鶴、どうした?」

ぎゅーっと目を瞑ったままの私に原田さんが気遣うように声色を優しくして問いかける。
しかし、熱気を受けて目がじんじんするだけですぐに収まるだろうと「大丈夫です」とだけ返して首を振る。


「目、痛いのか?」

「あ、でも、もう・・」

大丈夫、と瞼を持ち上げれば視界いっぱいに平助君の顔がある。
思いがけず近すぎる距離に驚いて無意識に私は手に持った芋を落とし彼の肩を強く押していた。



「・・・ご、ごめんなさ・・」


思わず、赤くなった頬を見られまいとして俯いた。
平助君がどういう顔をしているか、分からない。
傷つけて、しまったかもしれない。呆れてしまったのかもしれない。

それでも、今、彼とまっすぐ向き合うことが出来なくて、私はそのままぺこりと頭を下げてその場から逃げ出した。






@あとがき

「逢引日和」より数日後のお話です。
初々しい感じで、千鶴ちゃんが奮闘します!
お付き合い、よろしくお願いいたします(*^◇^*)


@お知らせ

 日時:2009年5月20日(水) 01:00~07:00 

上記の日程にブログのメンテナンスが行われます。
メンテナンス作業中は編集はもちろん、閲覧も出来ませんのでご注意ください。

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HN:
千尋
性別:
女性
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薄桜鬼二次創作
小説はシリーズで連載しています。

        
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