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期間限定。薄桜鬼小説ブログ。
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「さーてと、じゃあ一旦ここで別行動、な!」

「う・・うん、頑張ってきてね」


江戸までの道中は平助君を意識しないように内心必死だったけれど、それでも他の隊士たちもいるからある程度は自然に振舞うことが出来たと思う。
隊士募集の場に私がいては何かと問題だと考えて、江戸での滞在はほとんど父様探しを中心に行った。






+++

実家に帰って、一番最初に感じたことは落胆だった。
父様がいるなんて、そんな夢を見ていたわけじゃない。
それでも、せめて家に一度でも立ち寄ってくれていたらって思った。

足取りが全くつかめていない現状に微かにでも光を差し入れたかったけれど、そんな期待はあっさりと崩れた。
埃がたまった家の中に私が留守の間に変化したものはない。私が家を出てからここはずっと真っ暗だったのだと思うと少し寂しい。


「・・・?」


しばらくぼんやりしていたみたいだった。
家の玄関口で何か音がした。

カタカタと控えめな音はどうやら外で人が戸を動かしている音のようだ。
しばらく留守にしていたから滑りが悪いみたい。


「・・だれか、いるの?」


声をかけると小さく千鶴?と返ってくる。


「・・平助、君?」

「入っても、いいかな」


一応は他人の家、ということで玄関口で迷っていたらしい。
勝手に開けて入るのもなぁ、でも千鶴なら笑って許してくれそうだし、なんて・・そんな風に悩む姿が容易に想像ついてなんだか可笑しかった。


「どうぞ、入って!埃がいっぱい溜まっちゃってて、今から掃除しようかなって思ってたの」

「おじゃましまーす!」

戸を開けば、少し控えめに挨拶して平助君が家の中に足を踏み入れようとした。が、
彼はその一歩をそっと引っ込めて戸より外側で動きを止めた。


「どうしたの?」

「・・・あの、さぁ・・」


罰が悪そうに頭を掻きながら、平助君の視線はあっちにこっちに彷徨い歩く。


「何か、あったの?」

なんとなく、嫌な感覚を感じ取って眉を寄せながら問えば、平助君は曖昧な笑みを浮かべた。



「あー・・別にさ、なんかあったわけじゃねぇよ?ただ、さ・・」


彼は首を傾げる私に笑いかけながら、ま、気にすんな!と私の背を押す。
ぐいぐいと、問答無用に会話を終わらせる平助君の様子を不思議に思いながらも頷いて素直に玄関口を通り家の中に入った。


「それで、隊士集めはどうしたの?組長の平助君がこんな所に来ちゃっていいの?何か急ぎの用事とかあったの?」


畳みかけるように問えば彼は一歩、後ずさる。


「平助、君?」


普段だったら一気に聞かれても困るし!なんて言って笑うのに、今日に限っては口を噤んだままだ。
もしかして体調が悪かったのだろうか、と急に心配になり私のあとに続いて家の中に入った平助君との距離を詰める。


「平助君?・・・大丈夫?体調が、悪かったの?」


元気がない彼の顔を覗き込むと、少しだけ肩を揺らして、でもふるふると頭を振った。


「別に、体調は全然平気なんだけど・・、あーー!なんか俺らしくねぇ!千鶴!」

「う、え、あ・・はい!」

「えーっと、隊士集めは時間かけてじっくりやるから江戸についてすぐ行動!ってわけじゃねーんだよ。で、他の連中は江戸での滞在用の宿にいる。俺は・・千鶴のこと気になったから、こっちに来たんだ!」


息継ぎする暇もないほど、一気に私の問いに答えた平助君に・・私は口を挟む暇もなく、ぐっと息を詰めた。



「そ、そうなんだ・・えっと、気に掛けてくれて有難う!」


目を丸くして思わず呆けてしまったけれど、平助君が私を心配してここまで来てくれたことは素直に嬉しかった。だから、ほんの少し様子のおかしい彼を疑うことはせずに笑顔で家の奥へと誘った。


「で、親父さんは居たのか?」

「・・・・ううん、やっぱり、帰ってないみたい」


私のあとに続いて少し家の中を見回していた彼は、私が口に出すことを躊躇していたことをあっさりと口にする。
少しの苦笑を浮かべながら首を振れば、彼はそっかー・・、と罰が悪そうに頭を掻いた。


「あ、でもね、大丈夫だよ!元々・・そんなに期待していたわけじゃないし、江戸で情報集めだって張り切ってるし!」


なんだか、父様のことで平助君が落ち込んでしまうのは居心地が悪くて、私は努めて笑顔に徹した。
私の笑顔を受けて平助君も緩く微笑む。


「そっか、俺も手伝えることは何でもするし、隊士集めも親父さん探しもがんばろーな!」







@あとがき

お待たせしました。と、言っても展開的には中間点なので大した深い意味はないシーンですが、これからどどーと濃くなっていくと思いますので!!ちなみに、

>「笑顔で家の奥へ誘った」の「誘った」は「いざなった」と読んでください。「さそった」ではありません。

それで、ですね、当初から予定していましたが、これからの展開次第では大人向けの表現が入っちゃうかも、しれません。ので、元気でわんこな平助君が好き!って方は閲覧を控えていただいた方がよろしいかと、思われます・・。なんていうか、余裕がなくてがっついちゃう平助君、です(ーー;)でも、千鶴ちゃんへの愛はあるんですよ!私もえろっちぃ平助君より元気いっぱいで千鶴大すきーって抱きしめる平助君が好きですが、余裕のない・・でもいっぱいいっぱいな感じは平助君が適任かな、とも思うので・・それでも大丈夫だよ、って方はどうぞお楽しみくださいませ!


@にっき

お仕事始めの最初の一週間は無事に、終えました!
入社初日で残業でした!(^∀^)
忙しくて、覚えることもいっぱいですが、すっごくすっごく憧れて入社を希望していた会社だったので忙しくても楽しくて楽しくて頑張っていけそうです!どんな仕事なの?って質問にはちょっと答えづらいのですが、気づく人は・・気づくかも、しれません。

気づく人が居たら、よく見てるんだなーってビックリです。
私は、基本的にああいうのは見ないで飛ばしちゃうのです(^^;)

来週から休日出勤もするかもしれないので、更新は不定期ですが、頑張ります!!
あ、来週の乙女祭は12時からなので一般でふらりと参加できそうです。恐らく1時間も居られずに仕事に行かなくてはいけないかもしれませんが・・何箇所かお目当てを回って本買えたらいーなーって、思ってます(^v^)

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「そんな、恋仲になんて「なるわけがないって?」


まっすぐぶつけられた言葉に、戸惑い、すぐさま反論を返せば投げ捨てるような口調で私の言葉を遮る。


「じゃあ、この前何があったか、僕の目を見て話せるわけ?」

「この前って・・」

「君と、平助君が僕らに隠れて逢引してたときのこと」

「・・・っ、あ・・・いびき、なんかじゃ、ないです」


さっと、頭の中にあの日の出来事が浮かんで慌てて掻き消した。
顔に熱が集まっていって、自分ではどうしようもないくらい唇が震えた。


「目を逸らしながらの発言は説得力がないからやめたほうがいいよ」

「っ・・、では、はっきり言わせてもらいます!私と平助君は別に、やましいことなど何もしていません!」


なんで、こんなにも責めるように冷たく鋭い眼差しを向けられなければいけないのだろうか。
そう考えると悲しくて、同時に無性に腹が立った。
平助君も私も、不安定で、今の状況に困惑して、それでも・・・、

唇を噛み締めて俯く私の頭上で、微かに沖田さんが微笑を漏らす。


「・・沖田さん?」

「あ、ああ、ごめん。そんなにムキになることはないんだ。別に責めているわけじゃないんだから」

「え・・・?」

「少し、苛めすぎちゃった?誤解しないで欲しいんだけど、僕は君で遊ぶのは好きだけど本気で困らせたり苦しめたいってわけじゃない」


カラカラと、先ほどの雰囲気はどこにいってしまったのか・・
沖田さんはこらえきれずに、といった風にお腹を押さえて笑い出した。



「・・ねぇ、千鶴ちゃん」

ひとしきり笑った後、彼はゆっくりと私の名を呼んだ。


「・・・はい」

「君は父親を探すことと、平助君と仲直りすることだけを考えて江戸に行く。そうだよね?」

「・・・も、もちろんです!」

「うん、だったらいいんだ。僕は君を信じることにする」

「沖田さん・・」

もう、場違いなのは分かっていても胸にじんと来てしまう。
沖田さんから信じるなんて言葉が出てくるなんて、と少しおかしくて、でも少しホッとする。


「ただ、もしものときは・・許さないからね」

「・・・・・え?」

「例えば、そうだなぁ・・手を繋いで帰ってきたりとか、なんか二人の距離が縮まって、とか・・僕が見て苛々するから、そういうことになってたら、許さないよ」

にっこりと、満面の笑みで彼は締めくくる。
背筋に寒気が走り、私は表情を引きつらせた。


「も、もし・・前より仲が良くなっていると・・沖田さんが判断したら、どうなるのでしょう・・」

恐る恐る、聞いてみた。
答えは聞きたくないけど、でも、聞いておかなければならない。


「え、そうだなぁ・・、心配しなくても大丈夫だよ。殺すよ、なんて言わないから」


少しの思案のあと、彼は微笑む。


「ただ・・・、分かってるよね」

何を、とは聞かなかった。
・・聞け、なかった・・。
にっこりと笑っている。沖田さんが、満面とはいかなくても普通に、普通に微笑んで「分かってるよね」って。

「・・・は、はい」


はい、という以外の返答は許されるはずがなかった。









「千鶴ー・・・!!」

「あ、はーい!今行きます」


翌日、朝食を終えてから土方さんと話をしていた平助君がバタバタと走りながら広間にまで届くような大声で私の名を呼んだ。

「では、行って来ます」


大広間で朝食後、くつろいでいる永倉さんと沖田さん、斉藤さんに向かって挨拶をする。
原田さんの隊は昼の巡察なので先に挨拶を済ませた。
その際に、少し私を心配するように困ったように微笑んでいて、うまく笑顔を返せていたか、それだけが心残りだった。


「おう、頑張ってこいよ」

「はい、平助君のお手伝いも、父様探しも、頑張ります!」

「こちらでも引き続き、綱道さんに関して捜索は続ける。有力な情報が掴めずとも気を落とす必要はない」

「お気遣いありがとうございます」


永倉さんと斉藤さんの言葉に精一杯、頭を下げて返事を返す。
沖田さんは、ただ深い笑みを浮かべていってらっしゃい、とそれだけ口にした。

その深い笑みを背に受けて、ちょっと息を詰めるも私は気を取り直して元気に平助君のもとまで走った。






@あとがき

とりあえず、次回からはまた平助オンリーになっていくかと・・思われます!
それにしても・・総司は書いてて楽しいなぁ・・、動かしやすい。どんな無茶させても、沖田だからってまとめられるし、左之さんメインのお話でも平助メインのお話でも登場させやすいし、あー楽しい!(笑)

それで、話は変わりますが・・謝らねばならぬことが、あります。
すみません・・1月に行ったアンケートで沖田と同率一位の斉藤の御礼夢、すっかり忘れておりました・・執筆途中で放置してありました・・(--;)ただいま、急いで書き上げている最中ですので今週中ぐらいには更新できると思います!また期間を設けてフリー配布させていただきますので、もうしばらくお待ちくださいませ!


「君が言う優しいって、なんなの?」

「え・・?」


唐突に変わった声色に戸惑いつつも、けれど彼のこうした変化は日常によくある。
私は心音が騒ぎ出さぬように必死に落ち着こうと努めながら口を開いた。


「・・すごく、曖昧な答えになってしまいますが・・、沖田さんに話を聞いてもらって、甘えてもいいんだよって言ってもらえて、私はどこかホッとしたんです。それが嬉しかったから、優しいって思いました」

「・・・・・ふぅん、そっか・・」


たっぷりの間をとって、彼は目を細めて、笑った。


「千鶴ちゃんらしいね」

そう言い、彼はピタリと足を止める。
気がつかない間に私の部屋の前まで着いていたらしい。

彼はスッと戸を引いて「入らないの?」と首をかしげる。


「あ、入ります。送ってくださって有難うございました」

「気にしないで。最初からここに来る予定だったし」

「え・・?」


戸を引いたままの彼を見て、待たせたら悪いと慌てて室内に入り振り返って丁寧にお礼を述べた。
そこで、うん、じゃあまたねって、そういう流れになると思っていたのに・・彼はすんなりと私の思い描いた流れを切り捨てる。

自らも、まるで自分の部屋のように室内に踏み込んでスッと戸を閉める。


「あ、の・・」

「さっき会ったときね、君の部屋に行こうかなーって思ってたところだったんだ」

「あ、そうだったのですか」


なるほど、だったら納得がいく。
もともと何か用事があったと言う彼は、畳の上に腰を下ろした。


「平助君と一緒に江戸に行くんだって?」

「え・・」


唐突にふられた話題。
私の頭の中の大部分を占めるソレを、沖田さんは器用に突っつこうとする。


「えっと・・、はい。土方さんから江戸で父様の情報を探って来いと・・、」

嘘じゃ、ない。
本来はその理由の方が大きいはずだ。
ただ・・、今、少しだけ平助君との間にわだかまりが出来てしまっているから・・、それも一緒になんとかしてこいって、そういうことなんだと思うけれど。


「・・・へぇ、土方さんがそう言ったんだ」

「えっと、」


沖田さんは口元に緩く笑みを浮かべる。
しかし、目は決して笑っているわけではなく、細められた瞳に背筋にゾクリと痺れが走る。


「解決策のつもりなんだろうけど、いい迷惑だよね」

「それは、どういう意味でおっしゃっているのですか?」


本気で沖田さんの意図するところが見えなくて首をかしげる。
彼は呆れたようにこちらを見遣り、ため息を吐いた。


「・・はぁ、君のその鈍感さってたまに本気で苛々するんだけど」

「す、すみません・・」


厳しい声色に反射的に謝罪を返す。

「・・・別に、怒ってるわけじゃないんだ。あーっと、・・迷惑っていうのはさ、」

「はい」


慌てて頭を下げた私を見て、沖田さんは少し控えめに笑った。
あ・・しょうがないなぁって、顔。
彼のこんな顔は、どこか好きだった。


「・・・・・・」

「沖田さん?」


彼の言葉の続きを幾ら待てども、彼は何かに気づいたかのように口を半開きのまま固まる。



「・・・沖田さん?」

もう一度呼びかける。
彼は一度、二度、瞬きをしてからうん、と頷く。


「平助君と、君が前みたいに仲良くなれるといいね」

「え・・?」

「今みたいに、子どもの恋愛みたいなうじうじしたの見せられるのって、結構しんどいんだ」

「れ、恋愛って・・、そうい「でも、恋仲とかになって帰ってきたらダメだからね」


一方的な会話と言葉に、私の口を挟む隙はない。
それどころか、返答の困る言葉をさらりと彼は私にぶつけた。






@あとがき

・・・沖田を出すと、無駄に会話をさせたくなるのは何故だろう。
平助と沖田は会話や台詞を考えなくても自然とすらすら執筆が進むのでとても可愛い子たちですね!ただ、パターン化してしまうからなぁ・・沖田が嫉妬して悪戯しかけるのもアリかもしれませんが、沖田だって子どもじゃないので毎回そんなことはしないでしょうし・・うぅむ・・、いつの間にか平助よりも出張ってるし・・・(--;)


@にっき

明日は妹の高校最後の体育祭なのですが・・雨ですね、このままじゃ・・。
私の出身校に妹も通っているのですが、その学校では体育祭に代々高校三年生による扇をもった舞いっていうのかな・・創作ダンス?が行われます。高校2年生の時から1年以上ずっと練習を続けてきたもので、毎年少しづつ変わるのですが卒業生の私としては感慨深い行事です。せっかくだから見に行ってあげたいなーって思ってるのですが、日曜日に延期かな・・・。日曜日も雨だったら中止だそうです。
せっかく長い間朝練を続けてきたのに、可哀相ですよね・・そうなってしまったら(;へ;)

私も、入社したばかりなので雨で服装が崩れるとイメージが悪くなってしまうし、体調も悪くなるので・・梅雨が怖いです・・・。雨って嫌いではないのですが・・外出や仕事をするときは、何よりも嫌な天候ですね;

プロフィール
HN:
千尋
性別:
女性
職業:
社会人
趣味:
ゲーム
自己紹介:
薄桜鬼二次創作
小説はシリーズで連載しています。

        
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